ほぼ全員が早稲田大学進学の「早稲田実業」が目指す教育(2ページ目)

修学旅行がない⁉ 「フィールドワーク」のための校外学習の機会

エデュ:早稲田実業には、修学旅行がないと伺ったのですが。

菱山先生:そうです。本校は、修学旅行はかなり昔からやっていません。中学3年生では、「古京教室」で飛鳥京や藤原京、奈良市内(平城京)を中心とした関西方面に出かけます。単なる物見遊山ではなく、総合の時間を使って下調べをし、現地で実物を見てレポートにし、発表をします。

高校2年生では、「校外教室」を実施しています。年によって行く場所が変わります。産業、地理、文化、歴史といったものをテーマに、各グループで研究をします。そして実際に足を運び、専門家に取材し、文集や記録集にまとめます。

一言でいうと「フィールドワーク」ですね。本校では昔から、「実物を見る」ことを大切にしています。写真集や資料集で見るだけではなくて、やはり実物を見て、触れられるものは実際に触ってみる。そこでどう感じるか、何を思うか、それを最大限重視しているのです。

大学受験がないメリット! 幅広い知識を身に着け、深く追求する学習ができる

蔵書も多数で早実生の学びをサポートする図書館。

エデュ:大学受験がないことで、カリキュラムも進学校とは異なるのでしょうか?

菱山先生:そうですね、大学受験を視野に入れたカリキュラムではありません。高校2年生から理系と文系に分かれますが、文系に行っても数学Ⅲを勉強します。文系でも、数学の知識は必要です。

エデュ:文系でも、数Ⅲを学ぶ機会があるのですね。

竹林の庭も見渡せ、心が落ち着く空間。勉強もはかどりそう。

菱山先生:さまざまな知識を持っていると、1つのことを追求する時にも役に立つと思います。文系、理系には分かれますが、理系だから「日本の歴史のことを知らなくても良い」というのは違いますよね。文系でもやはり地球科学のことは知識として必要だし、宇宙のことも知っておく必要があります。公害問題も意識しないといけないですよね。

社会に出たら文系、理系の区別はないと思います。さまざまな知識をきちんと勉強した上で、その中で「自分はこれだ」というものを見つけ、深く探究していけるような教育を行っています。