【中学受験】ユニークな入試がある首都圏の私立中高一貫校

中学受験の入試は、従来の4教科入試だけでなく、適性検査型入試、英語入試、思考力入試など多様化しています。特に思考力入試は、学校の個性や教育方針を反映した大変ユニークな入試として広がりを見せています。今回、注目の入試を取り上げ、そこから見えてくる共通点を探ります。

設問を“レゴ®ブロック”で表現し説明する「ものづくり思考力入試」

聖学院中学校・高等学校(東京都・男子校)

聖学院の「思考力入試」は2013年にスタートし、2科・4科の枠にはまらない新型入試の先駆けとなりました。

2022年度の「ものづくり思考力入試」は、募集人数15人に対し、受験者数が31名、合格者が19名と、少人数募集となる思考力入試の中でも人気のある入試です。
「ものづくり思考力入試」では、まず「最高の食事」をレゴ®ブロックで表現、その後、作品を作文で説明する設問、資料を参考に解答する設問がありました。最後にはグループに分かれ発表し合い、他の人の意見を聞いて気づいたことをまとめ、自分の解答を振り返る「協働振り返り」が実施されています。
課題を見出す力、自分との関わりを見出す力、アイデアを形にできる力が評価されます。2023年の入試でも実施予定です。

2枚の写真から考察し論述する「ナショジオ入試」

成立学園中学・高等学校(東京都・共学校)

成立学園が、日本で唯一の「ナショナル ジオグラフィック教育実験校」として取り組んでいる「ナショジオ学習」。写真が示す問題や課題を発見し、グループで調査・分析を行い発表することで、グローバルな視点で主体的に発信できる力を養う学習です。
その教育に基づいた試験として設けられたのが「ナショジオ入試」です。試験では、2枚のナショナルジオグラフィックの写真から情報を読み解き、共通するテーマについて自分の経験を踏まえて文章で表現します。入試に学校からのメッセージが表明されています。2023年入試でも実施の予定です。

「謎検型」と「脱出ゲーム型」の二つからなる「ナゾ解き入試」

藤村女子中学・高等学校(東京都・女子校)

入試の変化もここまで来たか!と驚きを隠せなかった藤村女子の「ナゾ解き入試」。『リアル脱出ゲーム』で有名な株式会社SCRAPとのコラボレーションで実現した入試です。前半に「謎検型」、後半に「脱出ゲーム型」の試験が実施され、2つの得点の合算で合否を判定します。

謎検型」はSCRAP社が主催する「謎解き検定」を中学入試用にアレンジしたもので、国・算・理・社の4教科の基礎的な知識とひらめきを試す問題が出題されます。「脱出ゲーム型」はグループで取り組みます。お互いに相談しながら暗号を読み解き、宝のありかを見つけます。結果での判定だけでなく答えを導き出すプロセスを重視し、藤村女子が求める力「考察力・発想力・行動力・会話力・洞察力」が見られます。

授業を聞いて学び、ロボットを指定通りに動かす「プログラミング入試」

相模女子大学中学部・高等部(神奈川県・女子校)

相模女子大学小学部の校長を務める川原田先生は、日本で初めてPepper(人型ロボット)を使ったプログラミング教育を実施したロボティクス教育研究の第一人者です。
中学部の2022年度の「プログラミング入試」では、はじめに川原田先生が導入授業を行い、その内容を踏まえたプログラミング、発表・ディスカッション、最後に基礎計算力テストが実施されました。中学部のプログラミング授業では、先生がゴールを”教える”のではなく、生徒自身が楽しみながらゴールを”見つける”プロセスが重視されています。そういった思考力・創造力が入試で試されるのでしょう。

4つのタイプから自分の得意を活かせる「ラーナーズ型入試」

品川翔英中学校・高等学校(東京都・共学校)

ラーナーズ入試」の“ラーナー”は、「Learner」からきています。品川翔英のカリキュラムポリシーである自主性・創造力・貢献する力を育てるために、「自律したLearnerを育てる」という意味が入試に込められています。入試には「グループワーク入試」「英語インタビュー入試」「自己PRプレゼンテーション入試」「プログラミング入試」の4つのタイプ(選択制)があり、課題に対して自分の考えを発表する、あるいはグループで話し合いプレゼンをする形式です。試験では知識や技能だけでなく、熱意や協働性などの非認知能力を見るとのこと。プログラミング入試では過去に「ドローン」を作動させる課題もあり、受験生の興味を引き出す試験ともなっています。

ユニークな入試は学校の校風も反映。学校選びのポイントにもなる

ユニークな入試は学校の校風も反映。学校選びのポイントにもなる

これらの入試からは、テストの点数では計れない受験生の個性や、これからの時代を生きるために必要な「思考力・判断力・表現力」のポテンシャルを計る目的が見えてきます。
また、ユニークな入試には、学校独自の教育やポリシーが強く反映されていることもわかります。入試との相性が良ければ、入学してからの学校生活も充実することでしょう。学校を選ぶポイントの一つとして、「ユニークな入試」にも注目してみてはいかがでしょうか。

■参照元
・思考力入試 | 聖学院中学校・高等学校
・ナショジオ学習 | 成立学園中学・高等学校
・ナゾ解き入試 | 藤村女子中学・高等学校
・中学部カリキュラム/プログラミング| 相模女子大学中学部・高等部
・中学入試関連資料 | 品川翔英中学校・高等学校