中学受験を人生の糧に!親から子に伝えたいこと ~二月の勝者×おおたとしまさ~(4ページ目)

中学受験を親子の成長ストーリーに

中学受験を親子の成長ストーリーに

最後に紹介したいのは、第83講「決断のあと、それを活かす努力をどれだけできるかでその決断の価値は変わる。つまり人生における『決断』の良し悪しは、決断したあとに決まる」。第一志望の学校に合格した子。第一志望に手が届かず、第2志望以下の学校に合格した子。中学受験の真っただ中にいると、前者は幸せを手にし、後者はその逆のように思えてしまいます。

しかし、おおたさんはこう解説します。「絶対にここがいちばんいい学校だと思って選んだ第一志望に進学できたとしても、そこで努力を怠ったらその道を選んで失敗だったことになってしまいます。逆に、いちばん行きたかった学校ではないところに進学することになっても、そこでこそ得られる経験から最大限に学べば、その道が正解だったことになります」。それはつまり「決断した時点ではその良し悪しはわからない。決断したあとの努力によって事後的に決定する」のであり、これこそが「人生の鉄則」だと語ります。

第一志望に合格したからといって、バラ色の未来が約束されているわけではありません。自分の人生を正解にするのも不正解にするのも、自分の努力次第だというわけです。

さあ、おおたさんからの挑戦状(?)ともいえる100の言葉を、どのように受け止め、活用するか。それは私たち大人や、それぞれの家庭の判断にゆだねられています。最初にお伝えしたように、本書に綴られた言葉を、右から左に子どもに棒読みで話しても、何の意味も持ちません。「ママは本に書かれたきれいごとを言っているだけで、本心ではいい点を取ってほしいと思っているんでしょ?」とすぐに見破られます。

本書に綴られた一つ一つの言葉を手がかりに、わが子の状態や家庭の受験方針と照らし合わせるところからスタートしましょう。自分の頭で考え、しっかり咀嚼し、腑に落ちたら、あなたの言葉で伝えてください。

ちょっぴり説教くさいけれど、温かくて、やさしくて、不思議とスーッと心に入ってくる100の言葉。中学受験を選んだ親子にとって、それぞれの成長ドラマを生み出すきっかけになるはずです。

中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉

大ヒット中学受験漫画『二月の勝者-絶対合格の教室-』と気鋭の教育ジャーナリストのコラボレーション。「中学受験における親の役割は、子どもの偏差値を上げることではなく、人生を教えること」と著者は言います。決して楽ではない中学受験という機会を通して親が子に伝えるべき100のメッセージに、『二月の勝者』の名場面がそれぞれ対応しており、言葉と画の両面からわが子を想う親の心を鷲づかみにします。

おおたとしまさ さん
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中学・麻布高等学校卒業、東京外国語大学英米語学科中退、上智大学英語学科卒業。
株式会社リクルートから独立後、数々の育児誌・教育誌の編集にかかわる。教育や育児の現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。
中高の教員免許を持ち、私立小学校での教員経験もある。著書は『名門校とは何か?』(朝日新書)、『ルポ塾歴社会』(幻冬舎新書)、『ルポ教育虐待』(ディスカヴァー携書)など60冊以上。