中学受験を人生の糧に!親から子に伝えたいこと ~二月の勝者×おおたとしまさ~(2ページ目)

言葉一つひとつに共感と発見が

言葉一つひとつに共感と発見が

では、わが子の中学受験を数年前に終えた筆者にとって、心にズシンと響いた項目を、いくつか引用しながら紹介しましょう。

まず、「そうそう、そうだよね!」と大いに共感したのは第8講「勉強の成果はいつどんな形で表れるかわからない」と、第46講「テストの成績がいいというのはカッコいいけれど、もっとカッコいいのは努力を続けられること。それは人生最強の武器になる」。

勉強でも仕事でも趣味でも、何かに取り組んだら、すぐに結果を欲しがっていませんか。こんなに時間をかけたのだから、こんなにお金を使ったのだからと、わかりやすい見返りを求めてしまう気持ち、よくわかります。この傾向は、受験の真っただ中にいると、特に顕著に表れます。筆者自身もそうでした。新小学4年生から大手塾に通い始めたわが子は、6年生になると、平日は週4日の塾通い、さらに週末や長期休暇には「○○特訓」や「▲▲模試」のようなオプションも数多く受講し、これだけ頑張っているのだから(=お金をかけているのだから)、成果が出ないわけがない、偏差値はもっと上がるはず……と信じて疑いませんでした。

けれども、そう思い通りに事は運ばず、意気込んで受けた模試で偏差値が下がってしまうこともありました。『二月の勝者』でも、「夏休みの頑張りが9月の模試に反映されていない!」と憤ったり、号泣したりする親子の姿が描かれています。そんな親子に対し、黒木講師は「今は力を溜めてかがんでいる状態だと思ってください。夏に頑張り切れた者には大ジャンプの時が必ず来ます。いいですか、夏の成果は9月には出ません」ときっぱり語っていました。

いま、高2になったわが子を見ていると、あのころの頑張りや努力の積み重ねが、さまざまな場面で力になっているのを感じます。毎日の学習習慣に始まり、部活や学校行事における集中力や粘り強さは、中学受験によって養われたものでしょう。また、難しいことや大変なことに果敢に挑戦する度胸やたくましさ、たとえ目標に届かなくても、「それならこれをやってみる」という切り替えの早さやメンタルの強さ(面の皮の厚さ?)もなかなかのもの。そう、あんなに頑張った見返りは、テストの点や入試の合否だけでなく、着実にわが子の心身の成長に寄与し、血や肉になっていたのです。なぜか、学習面の成長については、今のところ際立った成果は現れていないようですが……。