塾に行かせることが子どもの幸せになる?中学受験をしない家庭に読んでほしい「今日から塾をやめてみた」(2ページ目)

親の不安の正体は「昭和の価値観」

みなさんは、わが子に幸せとは何かと尋ねられたとき、どのように答えるでしょうか。

幸せにはいろいろな形があるということは頭では分かっているものの、やはり「良い大学に行って安定した仕事に就くこと」が幸せへの近道と考える人は多いでしょう。
しかし、親が思っている幸せの常識は、子どもの幸せに通じるのでしょうか。

「はじめに」で述べられているように、宝槻さんは、「幸せになること=勉強ができる」というのは昭和の価値観であり、親の不安の正体であると述べています。
今は、ユーチューバーなどの10年前にはほとんど認知されていなかった仕事が台頭している時代です。

このようにさまざまな物事が目まぐるしいスピードで変化している現代において、親が昭和の価値観に縛られ続けることは、子どもの可能性を狭め、「幸せ」を逃してしまうことになりかねないと宝槻さんは警鐘を鳴らしています。

宝槻さんは、「幸せになる=勉強ができる」という価値観を疑い、勉強ができることが唯一絶対の条件ではないと納得できれば、塾に行かせなくてはならないと焦る気持ちをやわらげることができると訴えています。

今、そしてこれからは、昔と違って「勉強ができる」ことのみならず、「自ら学び、考え、判断し、解決策を導き出す」力が必要とされている時代です。
この力を身につけるためのヒントは、本書の至る所に散りばめられていますが、最大のヒントは「あとがき」にあるこの言葉にあります。

「子どもが幸せになるための第一歩はたぶん、親がその不安を手放すことなのだと思います。」

このヒントを念頭に置いて本書を読めば、宝槻さんの微言に秘められた大きな意義に気づくことができるでしょう。