塾に行かせることが子どもの幸せになる?中学受験をしない家庭に読んでほしい「今日から塾をやめてみた」(3ページ目)

巧妙に子どもを誘導することの恐ろしさと「自分が変わろう」と思うことの大切さ

親というものは、子どもの意志を尊重したいと思いつつも、最善のレールに乗せようと巧妙に誘導してしまいがちな生き物です。

学校や塾についても、「楽しそうだよね」「行ってみないと思わない?」などと誘導的な言葉を投げかけると、子どもは「うん」と言ってしまうことも多いでしょう。しかし、子どもの本音は「うん」という返事と裏腹であることが少なくありません。そして、そのような子が学校や塾でやる気を出すことは、ごく稀でしょう。

ところが、多くの親は「あなたが行きたいと言ったんだから」と追い込んでしまい、子どもとの関係がギクシャクしてしまったり、子どもが勉強嫌いになってしまったりしてしまいます。もし、このような状況に陥ってしまったとしたら、どうすれば良いのでしょうか。

本書では、さまざまなエピソードがマンガで紹介されています。その1つをご紹介しましょう。

巧妙に子どもを誘導することの恐ろしさと「自分が変わろう」と思うことの大切さ

あるワンパクな男の子のお母さんは、私立小学校に入れればわが子も少しは落ち着いた性格になるだろうと考え、幼児教室に通わせて私立小学校の合格を掴み取りました。

ところが、ワンパク気質は小学校に上がってからも変わらず、穏やかな子どもたちの集まる学校では問題児扱いされるようになってしまったと言います。

男の子自身も思い悩んでいたようで、ある日、お母さんに向かってこう言ったそうです。
「電車を見ると飛び込みたくなっちゃうから、迎えに来て」
この言葉を聞いたお母さんは、変わらなければならないのは子どもではなく自分自身だと気づきます。

そして、ワンパクなわが子が興味を持ちそうな戦国英雄についての体験授業を見つけて参加してみました。すると、男の子はすっかり戦国にハマり、苦手な算数も戦国に関するものに当てはめることで克服。
ついには城郭考古学者になるという夢を語るようになったそうです。

また、「自分には戦国がある」という自信をつけたことによって学校でのトラブルも減り、楽しく学校に通えるようになったと言います。

宝槻さんは、この事例を取り上げ、親自身が「自分が変わろう」と思い、わが子のとんがった部分をどんどんとがらせることが大切だと述べています。

この他、本書には、塾に行かずに自分の好きなことに打ち込んだことにより、自分らしい生き方を見つけて輝き出した子どもたちの事例が多数掲載されています。

掲載されている多くのエピソードから、わが子だったらどうすれば良いのか、より具体的な方策を知りたいと考えている人にとって、本書はこの上ない指南書となるでしょう。

『マンガでわかる 今日から塾をやめてみた』

宝槻泰伸・監修 イラスト・ナナイロペリカン 主婦の友社刊 1,300円+税
マンガでわかる 今日から塾をやめてみた

これから必要な学力は、従来の塾通いで得られるものと別物!
わが子を「食べていける幸せな大人」にするための学び方、教えます。

みんな塾に行っているのに行かせないと不安、
わが子が勉強で遅れをとるのではと不安、
このままではまともな学校に行けないのでは不安……と、
小学生を持つ親は不安でいっぱいです。

なぜなら「勉強ができる」ことが、安定した将来への切符だと考えているから。
けれども、AI化やグローバル化が進んで便利になっていく未来では、
今までの学力はこれまでの価値を持たなくなっていくと、
宝槻泰伸先生(探究学舎代表)はおっしゃいます。

これからの世の中で必要とされるのは、
「夢中になれるもの」「好きなもの」をとことん深堀りしていける力。
子どもは1つ好きなことを見つけると、そこから様々な興味が広がり、自ら学び始めます。

本書では、子どもが自ら学び始めるためには親はどのような働きかけをすればよいのか、
マンガでわかりやすく解説。

「ゲームばかりしている」「本を読まずネットばかり」など、
ごく普通の小学生の知的好奇心をくすぐる方法教えます。

宝槻 泰伸(ほうつき やすのぶ) さん
京都大学経済学部卒業。探究学舎代表。
「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」をモットーに幼少期から実父より教育を受ける。高校を中退し京大に進学。弟ふたりにそれに続き、リアルおやじギャグ「京大三兄弟」となる。現在では、日本はもちろん世界からも参加親子が年間3,000人集まる人気授業を開発・講義を行っている。5児の父。