軽度の自閉症児が中学受験「算数」を克服するには?工夫するべきポイントを小川大介先生が解説

「自閉症児」という言葉を聞くと、どうしてもネガティブなイメージを持たれる方が多いことでしょう。とくに中学受験を目指すとなると、その道は険しいように感じてしまいかねません。しかし、教育専門家の小川大介先生は、こうした考えを覆してくださいます。キーになるのは、周りの大人のとらえ方と、お母さま自身の視野のもち方です。

【お悩み】軽度の自閉症児が苦手な算数を克服するには?

小学3年生男子のお母さまのお悩み

軽度の自閉症児が苦手な算数を克服するには?

息子は、軽度の自閉症児です。障害特性は、ちょっとしたこだわりや、空気を読めない、癇癪、非常に多弁だけど自分の気持ちや困り事はうまく人に伝えられないなどです。

勉強は出来るほうで、小1から近所の塾へ通い、そこの塾長さんに中学受験を検討していることを話した際、灘中も夢じゃないと言われました。親以上に本人がその気になっていたので、試しに日能研の灘特進ジュニアクラスの選考テストを受験したところ、好成績で合格したので、小2の2月から通っています。
しかし、元々国語が得意で、算数が苦手だったのですが、それに拍車がかかり、算数は平均点以下の時もあります。宿題もきちんとこなし、テスト前には間違えた問題を複数回やり込んでも、このような状態です。

このまま勉強自体が嫌いになってしまわないか心配です。ただその反面、塾でめいっぱい息子の能力を高めてほしいとも思っています。
苦しくなり過ぎず、算数が出来るようにならないでしょうか。単元としては、逆算、消去算、つるかめ算などに躓いています。

【回答】小川先生からのアドバイス動画

苦しんでいるのは子ども?それともお母さん自身?
周りの大人がお子さんを理解して工夫してあげましょう

動画ダイジェスト

小川先生: 1番のキーとなるのは、お子さん自身の特性や、感じ方、アンテナの使い方の特性を周りの大人が理解して、本人がキャッチしやすい説明の仕方になるよう工夫をしてあげることです。

このお子さんは、物事に敏感なのだと思います。型にはめていく学習ではなく、自分で感じたことや理解したことを確認する時間を設けた勉強の仕方がいいのではないでしょうか。算数の計算が苦手なら、得意な国語を糸口にした勉強スタイル。物語のように問題を一緒に音読して、整理しながら考えていく方法もいいと思います。
「自閉症」という言葉にとらわれず、この子の使える力を応用して苦手をカバーするという考え方ができる大人に見てもらえるといいですね。そして、親御さんご自身も、お子さんをどうとらえているかという視点を見つめなおしてみてください。この視点を知ってもらえると、苦しい勉強にはならないはずです。

お子さんを理解するチャンスが来ているのだという気持ちで、取り組まれたらいいと思います。

お子さまの特性のとらえ方や、関西圏と首都圏の中学受験文化の違いについても、動画でお話してくださっています。
YouTubeで視聴する方はこちら≫

今回の回答者:小川 大介(おがわ だいすけ)先生

今回の回答者:小川 大介(おがわ だいす)先生

教育家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。
京大法を卒業後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。メディア取材も多く、「親も子も幸せになれる はじめての中学受験」(CCCメディアハウス)など著書も多数。

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