6年の娘が受験を希望しています。親は中学受験について何も知りません

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.2

Q.6年の娘が受験を希望しています。親は中学受験について何も知りません

中学受験をさせるつもりはなかったのですが、今度6年生になった娘が、受験したいと言い出しました。中学受験のこと何も知らないので悩んでおります。

仲の良いお友だち2人が受験することになったからです。4年のときからその2人と近くの小さな塾に通っていました。宿題をやったり復習や予習をする塾です。少しでもいい成績をとってほしいと思って通わせたのですが、友だちと一緒ということで2年間楽しく通っていました。学校の成績は◎と○が半々ぐらいで国語はとても得意です。

この1年で中学受験するからと、塾の生徒が半分ぐらい大手の進学塾に移っていきました。娘の友だちのひとりも夏ごろ中学受験するといって四谷大塚に変わりました。そしてこの1月、ついにもうひとりのお友だちも進学塾(早稲アカ)に転塾してしまいました。おとなしい子ですが、それでも何となく取り残された感があってさびしいのは、親としてわかる気がします。

でも私も主人も、娘が中学受験するとか私立に通うとか考えたこともありませんでした。夫婦とも地方出身で中学受験の経験はありません。中高は公立が当然ぐらいに思っていました。でも娘が願っているのなら、私立に行かせてやりたいと思います。

でも娘の成績でいい学校にいけるのでしょうか? 小学校はごく普通の区立です。これから受験の準備をして間に合うのか、受験するとしたら親は何をすればいいのか? 私にわかるのは受験用の進学塾に通わせないといけないぐらいで不安でいっぱいです。進学塾に通わせたら塾のほうできちんとやってくれるのでしょうか?

本当に中学受験したほうがいいのでしょうか? 何を手がかりに親として娘の思いに答えてやったらいいのか、どうぞアドバイスをお願いいたします。(まりんこ)

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A.勉強の仕方は塾が教えてくれますが、相当な精神的負荷がかかるので、親子で覚悟を決める必要はあります

親が先に中学受験を考え、子どもが気付けば中学受験進学塾に通っていたというパターンはよくありますが、娘さんの場合、自分で、中学受験をしたいと言い始めたのですね。しっかりした娘さんですね。

通常、小3の2月から塾に通い始めるというのが現在の中学受験のスタンダードです。小6になってから中学受験をすることを決めるのは「かけこみ受験」などといいます。小6の4月となると、中学受験塾ではすでに演習中心の授業に移行しつつあり、今から突然普通の中学受験塾に入って、いきなりついていけるという子どもは少ない。

ですからかけこみ受験の場合、個別指導塾を利用するケースが多いようです。いずれにしても、小3から努力を積み上げてきた子どもたちに追いつかなければいけないのですから、間違いなく大変です。

それでも親子ともに覚悟を決めてやる気があるのなら、今からはじめてもいいでしょう。勉強の仕方は塾が教えてくれます。その点に関しては心配は要りません。むしろいろいろ知りすぎている親御さんよりも塾の指導に素直に従う親のほうが結果が出やすいのではないかと思います。

さらに、現在、首都圏の中学受験は「全入時代」といわれます。総受験者数と総応募定員がほぼ同数なのです。つまりえり好みしなければどこかには入れる計算です。

ただし、中学受験をするとなると、予想以上の精神的負荷が、親子共々にかかることは覚悟してください。覚悟がないまま始めて中途半端になるのはいちばん怖い。まず、娘さんがなぜ中学受験をしたいと思ったのか、しっかり気持ちを聞いてあげてください。「なんとなくみんながやっているから」というのでははっきりいって弱いです。

そのうえで、中学受験のメリット・デメリットをまず親が理解し、なんのために中学受験をするのかを、家族でよく話し合いましょう。拙著『中学受験という選択』が参考になると思います。

それで仮に中学受験をしないという選択をしたとしてもいいでしょう。その場合でも、「公立を選ぶ」という決断をしたこと自体に意味があります。何も考えずに地元の公立に行くことと、自分で選んで地元の公立に行くのとでは、意味合いが違います。そのことも拙著をお読みいただくとおわかりいただけるのではないかと思います。

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