小5の息子にサピックスαの入室許可。転塾させたほうがいいでしょうか?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.4

Q.小5の息子にサピックスαの入室許可。転塾させたほうがいいでしょうか?

日能研に通っていますが、サピックスが気になっています。目と鼻の先にあるので、通塾の条件はほぼ同じです。
日能研では、宿題が少ないので、宿題以外の勉強をほとんどせず、4年のときは平均60半ばだった偏差値もじりじりと下がってきました。
それで「もっと宿題の多い塾にすればよかった」と焦ってしまい、サピックスの入室テストを受けさせたところ、意外にも最上位クラス(α)の入室許可が出ました。

子どもは競争好きで勝気なのでサピックスに向いている気がしますが、大量の宿題をこなせるか心配です。 また、入室説明会や入試分析で、サピックスは「受験の成功」=「難関校合格」という文脈で語られてる印象を受けました。小学生のうちから激しい競争心をあおって勉強させるのには抵抗があります。きれいごとかもしれませんが、中学受験の成功は結果(合格)よりも子どもが成長できるかどうかと考えており、その点では日能研の企業理念に共感しています。

ただ、授業や教材、少人数制という点も、サピックスに魅力を感じ、転塾するなら5年の夏前までと思うと気になってしまうのです。

サピックスでαの資格を得られたということは、日能研でも力がついているということでしょうか? 現在は、宿題をしてもかなり余力があり遊んでばかりなので、日能研に相談して、個別に宿題を追加してもらえばいいのでしょうか。

子どもの憧れ志望校は聖光学院で、サピックスでは開成の滑り止め扱いだというのにも衝撃を受けました。日能研で安穏としていていいのかと感じた一因です。

塾(日能研)に相談するわけにもいかず、おおた様へご相談させていただきました。ご著書はほぼすべて拝読していると思います。

転塾うんぬんということより、こんなふうに「受験や偏差値に踊らされたくない」と思いつつも、実績のいい塾が気になってしまうような親のわたしのブレブレなところに悩みの根源があるような気がします。

ご意見いただけましたら、同様の保護者様のお役に立つこともあるかと存じます。 なにとぞよろしくお願い申し上げます。(しゃんしゃん)

回答はこちら

A.どのような決断をしても、それが「善き決断だった」と思えるよう親子で最善の努力をしてください

私の著書をすべてお読みいただいているとのこと、本当にありがとうございます。

5年生になって成績が下がり始めている。宿題が少ないからではないか。もっと大量の宿題を出してくれる塾に行ったほうがいいんじゃないか。それで転塾がちらついているのですね。

個別の塾の善し悪しについてはコメントを控えさせていただき、あくまでも一般論としてご回答させていただきたいと思います。

心理学のアプローチの方法の一つに「うまくいっていることは変えるな、うまくいっていないことは変えてみろ」という至極当たり前な原則があります。今、息子さんの成績は、下がっているとはいえ、おできになるほうのようですね。まわりの子どもたちもがんばりますから、成績のアップダウンはどうしても起こり得ます。

慌てて転塾をしなければいけないような状況ではないように、ご相談の文面からは感じました。宿題の量が少ないと感じているのであれば、しゃんしゃんさんご自身がおっしゃるようにまずは今の塾の先生にそのことを伝えてみるのが正攻法のような気がします。

しゃんしゃんさんはとても冷静にご自身のこともお子さんのことも見ていらっしゃいますね。「転塾うんぬんということより、こんなふうに『受験や偏差値に踊らされたくない』と思いつつも、実績のいい塾が気になってしまうような親のわたしのブレブレなところに悩みの根源があるような気がします」とのこと。おっしゃる通りかと思います。

でもみんな、そんなもんです。「もしあっちの塾を選んでいたら……」「もしあの学校を選んでいたら……」。こればっかりは何が正しい選択かわかりません。

ただ一つ私が信念としていることがあります。どんなにいい決断をしても、その後努力を怠れば、結果は失敗に終わります。仮に間違えて回り道を選んでしまったとしても、その後努力を重ねれば成功が待っています。

何か大きな決断をしなければいけないとき、決断の善し悪しを決めるのは、決断するときの判断力ではありません。決断した後の努力が、決断の善し悪しを決めるということです。

今迷うのであれば存分に迷っていいと思います。どちらの塾がいいのかは、私にもわかりかねます。でも決断したら、それを「善き決断だった」と言えるように、親子で最善の努力をすればいいのではないでしょうか。

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