成績のいい娘なのに、主人が娘の受験に反対。いくら話し合っても平行線です

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.19

Q.成績のいい娘なのに、主人が娘の受験に反対。いくら話し合っても平行線です

小5の長女の中学受験について夫婦で意見が一致しません。主人が冷静な人なので、けんかにはならないのですが、私は受験させたい、主人はさせたくないで、いくら話し合っても平行線です。

娘は勉強が好きで進んで勉強してくれています。学校でもとてもいい成績で、親としてはほこらしいくらいです。周囲も当然中学受験すると思っています。本人もその気は十分あると思いますが、親の意見が対立しているので、はっきり受験について話したことはありません。

大手ではありませんが、定評のある進学塾に通っていて模試でも難関私立の合格圏内にいます。今の学校教育が物足りないのは事実だからということで、主人は通塾には納得しています。それでも中学と高校は公立でいいと言うのです。自分が大学まで公立だったからというのと、3人きょうだいなので3人私立に通わせる余裕はないからだそうです。下の2人が男の子です。

私は男の子は公立でたくましく育ってくれるのがいいと思いますが、女の子はちょっと違うというのと、まわりの友達がみんな受験する中でうちの子だけ塾に通っているのに受験しないのはかわいそうだと思います。

娘は、受験のことでパパとママの意見が食い違っているのをわかっているようです。私としては、自分から「受験したい」とか「御三家に行きたい」とか言ってくれたらいいと思うのですが、娘はパパの前では塾の話も受験の話も一切しません。

勘の鋭い子なので、多分パパのいやがることは言わないと決めているような気がします。でもそろそろはっきりさせないと、娘のためにもならないと思って、ふたりがいるときにきちんと話をしようと思うのですが、今のままだと、娘はパパに向かって「受験したい」とは言わないでしょう。すると結論は「受験しない」になるだろうと想像がつくのです。母親の勘としては、娘は、パパさえ賛成してくれたら受験したいのだろうと思います。受験する気がないのであれば、友達と一緒だからといって模試を受けることもないでしょう。

ちなみに、ここに書いたことは、すべて主人にも言っていることです。それでもなお主人は、受験には反対だそうです。おおたさん、主人の考えって間違っていないでしょうか?

最後に娘は、基本的にパパっ子で、主人も幼い頃は目に入れても痛くないというほどのかわいがりようでした。最近は微妙な年令になってきたせいか、互いに少し距離があるみたいな感じです。どうか、いいアドバイスをください。よろしくお願い致します。(困ったママ)

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A.お子さまが両親の顔色をうかがって本心を話せないのだとしたら、私としてはそれがいちばん気になります

ご夫婦でお互いに、自分の考えに相手を合わせようとしてしまっていますね。それでは話は平行線です。お互いに、まず相手の考えをちゃんと理解しようという姿勢がなければ前に進みません。中学受験という選択にはいいことも、悪いこともあります。そこで判断が分かれるのは当然のことです。どちらが正しくてどちらが間違っているということはありません。

お子さまが両親の顔色をうかがって本心を話せないのだとしたら、私としてはそれがいちばん気になります。ご両親ともに、自分の意見は置いておいて、まずはお子さまの気持ちに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。だからといって、お子さまの意志だけを尊重すべきということではありません。まずはお子さまが「自分の思いを受け止めてもらえた」という安心感をもつことが大事だという意味です。

次に、お子さまの意見は置いておいて、ご両親でそれぞれの意見を理解し合う場を設けるとよろしいかと思います。相手を論破することが目的ではなく、「そういう意味で中学受験をさせたいのか」「そういう観点で中学受験をさせたくないのか」と相互理解することが目的です。

そのうえで、「中学受験をする・しない」に関してよくある誤解を私から一言だけ指摘するならば、中学受験は、いい大学に入るためにするものではありません。思春期を過ごす環境を自分で選びとるということです。

この学校で学びたいと思える学校があるのならば中学受験をすればいい。逆に公立の中学へ進み、高校受験をするほうが望ましいという考え方があってもいいと私は思います。そのほか、中学受験という選択の意味については、ここでは語りきれません。拙著『中学受験という選択』をお読みいただければ、参考になるかと思います。

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