担任の先生が、通塾を快く思っていないようです。 親として何かすべきですか?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.21

Q.担任の先生が、通塾を快く思っていないようです。 親として何かすべきですか?

中学受験を目指して1年前から進学塾に通わせています。少しずつ勉強が難しくなってきているようですが、塾は、先生も友達もとても楽しいらしく、やる気をだしてくれています。それはいいのですが、担任の先生が快く思っていないらしいのです。

子どもの話で、はっきりとはわからないのですが、同じ塾に通っている友達と塾の話をしていたら、担任の先生から、「あなたたちは勉強は塾でするのよね。」というような嫌みを言われ、それからなんとなく冷たくされているみたいと言います。娘は以前から、学校の先生の説明はよくわからない、塾のほうがいいとよく言っていたので、友達とそんな話をしているところを聞かれたのかもしれません。

今のところとくに実害はないようですが、このままでほうっておいていいのかどうか、悩んでおります。ちなみに担任の女の先生は20代と若く、親からみても一生懸命なのはわかるけれど・・・みたいな感じがします。

娘は、「友達がいるから行くけど、学校は全然つまらない」と言っています。親にできることは限りがあると思いますが、何か親としてすべきことはないのか、アドバイスをお願いいたします。(アリサマ)

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A.よくあるケースですね。実害がないのであれば、「スルー力」を発揮してやり過ごしましょう。先生の悪口はNGです

学校の担任の先生が、娘さんの塾通いのことをよく思っていないということですね。これはよくあるケースです。

私は常々教育には多様性や多面性が必要だと申しております。学校には学校でしか学べないことがあります。一方で、塾でしか学べないハイレベルな内容もあります。学校での習い方と塾での習い方に違いがあることで、より立体的に理解できる側面もあります。本来学校と塾は補完し合う存在であり、どちらかを優先するというようなものではありません。そのことをまず学校の先生に理解していただきたいですね。詳しくは拙著『進学塾という選択』をお読みいただけると分かるかと思います。

たとえば塾で難しい漢字をいっぱい覚えて使いこなせるようになっている子どもに、知っている漢字をノートいっぱいに何度も書かせる宿題を出すというのは私の個人的な感覚としてはナンセンスです。学校の授業での理解度に差が出るのは当たり前。それをどうやって補うか、もっと弾力性のある宿題の出し方もあると思うのですが、現状は「皆が一律同じ宿題をする」という表面的平等主義が優先されているように思います。

そういう考え方をもとにしている先生にとっては、塾に通っていて周りの生徒よりもよくできてしまう生徒がいると、授業の組み立てや宿題の出し方が難しくなり、やっかいに思えてしまいます。先生自身が意識的にそう考えているのではなく、ほとんど無意識的に、そういう状態になるのを避けたいと思ってしまうようです。ただ、仮にそう感じていたとしても、生徒にそのような嫌みを言うというのは先生としてちょっと未熟ですね。

以上が私なりの分析なのですが、今のところ実害はないということ。であれば、娘さんには「学校の先生には先生の考え方があるんだろうね」などといって、うまくやり過ごすようにアドバイスしてあげればいいのではないかと思います。「スルー力」というやつですね。ただし先生の悪口を言うのはおすすめしません。

残念ながら学校の担任は選べません。中には考え方の合わない先生もいるでしょう。そういう先生と、なんとかうまくやっていく術を学ぶのも、実は塾では学べず、学校でこそ学べる社会的スキルの一部でもあります。もし実害が出るようであれば、対処法は拙著『オバタリアン教師から息子を守れ!』をご覧ください。ハズレ担任に当たってしまったときの対象法が書かれています。

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