私立に行きたいと言いながら、全く勉強しない息子にどう向き合ったらいい?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.27

Q.私立に行きたいと言いながら、全く勉強しない息子にどう向き合ったらいい?

小6男子です。私立の中学校に行きたいと言いながら、全く勉強をしない息子にどう向き合ったらいいのか悩んでいます。

少し遅めですが、息子は小5の9月から進学塾に通い始めました。それから半年、成績はほとんど上がらず偏差値も45あたりをウロウロしております(学校の成績は良く、全く問題ありません)。

それもそのはずで、塾には嫌がらずむしろ進んで行くものの、予習、復習はおろか宿題でさえまともにやろうとしません。定期的に行われる学力テストも、それに備えるようなこともなければ、結果を悔しがるということもありません。塾の無い日は弟と一緒にゲームをしたり、見たいテレビはしっかり見ていますし、それらは親の口出しがないと際限がありません。

初めは励まして応援していましたが、いつになっても自分ごととして取り組む姿勢のない息子に、ほとほと疲れてきました。たとえ今回の受験に失敗しても、やってきた勉強が無駄になることはないとの考えで、いわゆる「お受験ママ」的な対応はしていませんが、あまりにも適当な生活をしている様子にさすがにイライラしてきます。

さすがの主人も業を煮やし、「お前はまだ受験をするほど(強い意思を持って自分の将来を考えるほど)成長していない。今、塾にかかっている費用は全て貯金しておいてやるから、高校受験にまわしたらどうだ」と言い出す始末。確かに、日々のお弁当作りも、駅までの送り迎えも、いい加減な生活をしている息子を前にしては夫婦とも虚しくなってきます。

そんなこんなで家庭の雰囲気が悪くなることもしばしばですし、何より本人が、遊びも勉強も生活そのものも中途半端になってしまっている事が気に病まれてなりません。親から怒られ、弟からも罵られ、睡眠不足や、やりたいことができないイライラなどからチックの症状も見られますし、いっそのこと受験などやめてほしいと思っています。

が、そう切々と訴えても、地元の中学には行きたくない、私立に行きたい、との思いは強いようで、本当に訳がわかりません……。

親としてどう判断して良いのか、また、どうサポートしていったら良いのか、途方に暮れています。アドバイスをお願いします。(とっち)

回答はこちら

A.本人がいちばん辛いのかもしれません。塾の先生の力も借りて小さな目標をクリアしていくことを試してみてください。

お母さまとしては大変辛い状況ですね。「高校受験に回したほうがいいんじゃないか」と言いたくなるお父さまの気持ちもよくわかります。しかし、「たとえ今回の受験に失敗しても、やってきた勉強が無駄になることはないとの考え」でいらっしゃるとのこと。その心構えはとても大切です。この状況でご両親が「勉強しなさい!」と怒鳴り続けても逆効果でしょう。

遊びも勉強も生活そのものも中途半端になってしまっていること、たしかに気になりますね。ご本人が中学受験を望んでいなくて、チックが出てしまっているようなら、方針転換も考えるべきだと思います。しかしあくまでもご本人は中学受験を望んでいらっしゃるのですよね。実は本人がいちばん辛い状況なのかなと思います。きっと息子さんご本人も、「やらなきゃいけないことがたくさんあるのはわかっている。でも、何からはじめればいいのかわからない」状態なのかなと想像します。

学校の成績は良好とのこと。自信もあったことでしょう。でも入塾のタイミングが遅かったということで、それまで1年半以上塾で訓練を積んできたまわりの生徒さんたちに圧倒されてしまったということもあるかもしれません。それで、何をしたら追いつけるのか見当も付かなくて、途方に暮れているのかもしれません。

もしそうだとするならば、“ちょうどよい目標”を設定してあげることが必要である気がします。どんなに小さな目標でもいいので、まず目標を掲げ、それを達成する喜びを感じてもらうことが大切かなと思います。そのためには、塾の先生の力が不可欠ではないかと思います。今の状況を塾の先生につぶさにご相談されて、塾の先生の力も大いに借りるべきだと思います。

かなりの部分、想像でお答えしてしまっていますが、もし私の見立てが外れていないようであれば、塾の先生の力も借りて、小さな目標をクリアする体験を積んでいくことを試してみてください。

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