娘は女子校希望ですが、共学に誘導したいのです。どう導けばいいでしょう?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.28

Q.娘は女子校希望ですが、共学に誘導したいのです。どう導けばいいでしょう?

子供(小5女子)は中学受験で女子校を希望しています。クラスではどうしても男子が子供っぽくて、規則も守らないことに嫌気がさすようです。

しかし、夫も私も子供が一人っ子なので、人間形成の上で共学がいいのでは?と勧めています。社会に出てから、女子校出身だと男性の心理がつかめないのでは?と心配だからです。それに、幼い男子も高校生くらいになるとしっかりしてくるので、その時に女子との違いを受け入れて欲しいのです。ですが、この話をしても、ピンと来ないようです。

都内共学はなかなかいいところがないのが実情ですが、それでも併願校としてはいいと思えるところがあります。文化祭に連れていったところ、子供は「嫌じゃないけどやっぱり女子校がいい」と言っています。

何とか共学に誘導したいのですが、どう導けばいいでしょうか?(シュークリーム)

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A.別学と共学には「異性に慣れる」以上の大きな違いがあります。それを調べ直してから娘さんと話し合ってみてください

娘さんは女子校を希望しているけれど、ご両親は共学校に進学してほしいということですね。ただし、ちょっと気になることがあります。ご両親が共学校をおすすめする理由として、「人間形成の上で共学がいいのでは?」ということですが、それは本当ですか?「女子との違いを受け入れて欲しい」とも書かれていますが、どんな違いでしょうか。ご両親の思い込みも強いような気がします。

男子校・女子校のような男女別学校には男女別学校の良さがあります。共学には共学の良さがあります。ごく簡単に言えば、男女別学校は、異性の目を気にせずに性別にこだわらず絶対的な「自分らしさ」を確立するために優れた環境です。一方で共学校は異性との関係の中で、相対的な「自分の役割」を学ぶのに優れた環境です。

共学校の教室には既存社会のジェンダー意識が入り込んでしまうけれど、別学校にはそれがないのでジェンダー意識が刷り込まれにくいという調査結果もあります。実際女子校のほうが理系進学者が多いという傾向もあります。

一般論として、性別の違いよりも個人差のほうが大きいので、「男だから」「女だから」という価値観には意味がないと思いますが、集団としてみた場合、男子だけの集団と女子だけの集団では明らかに違う傾向を見せます。学校という集団教育の場の環境としてみた場合、男女別学校にはそれなりの価値があります。

別学校にするか、共学校にするかは、単に「異性に慣れる」以上の大きな違いがあります。そのあたりのことを今一度客観的に調べ直してから娘さんと話し合ってみたらいかがでしょうか。拙著 『女子校という選択』および『男子校という選択』をぜひお読みください。

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