「国内屈指の強豪校」日大藤沢の水泳部顧問に聞く強さの背景【エデュスタッフ訪問記】

大学に隣接する広大なキャンパス内で、さまざまな部活動に打ち込むための施設・設備に恵まれている日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校(以下、日大藤沢)。陸上競技・サッカー・硬式野球などの強豪校として名を馳せているイメージがありますが、日大藤沢で最も多くの有名選手を輩出してきた水泳部に着目し、練習の背景や銀メダリストになった本多灯選手が在籍していた当時の様子などをレポートします。

人の手本になる選手を育成してきた水泳部

水泳部顧問であり、生活指導部主任・英語科教諭としても生徒たちを導いてきた植村弘先生からお話をうかがいました。

水泳部全体・個人が掲げる目標は?

水泳部顧問・生活指導部主任・英語教諭の植村弘先生
水泳部顧問・生活指導部主任・英語科教諭の植村弘先生

植村先生:水泳部では「克己心」を持つことを目標として、日々活動しています。これは、己を律し、甘えや誘惑に打ち勝つ強い心を培うことを意味しており、スポーツだけでなく、大学入試に必要とされる偏差値や学力に近づくために努力する点でも同様に大事なことです。試合に際しての目標は、全国高校総体水泳競技大会(インターハイ)などの全国大会で優勝することですが、個人ごとにさまざまな目標が掲げられています。水泳とは一緒に泳ぐ相手に左右されない競技であり、今のレベルを上回りつつ、ベストタイムを縮める努力が求められます。内省的な姿勢で自己の限界を突き詰める点は、勉強にも共通するところがありますね。メンバー各自の目標を達成するために、顧問がサポートする立場にあると考えています。

近年の試合実績やメンバー構成は?

2019年のインターハイで女子総合優勝、男子総合準優勝を果たした水泳部のメンバー
2019年のインターハイで女子総合優勝、男子総合準優勝を果たした水泳部のメンバー

植村先生:2019年のインターハイでは、女子が総合優勝、男子が総合準優勝となりましたが、2020年は大会自体が中止となりました。2021年は種目変更があったことで女子が総合4位、男子が総合3位となっています。本校の水泳部では、まったくの初心者から全国大会での上位入賞者まで、幅広いメンバーが所属しており、学生寮は設置されていないので、地方から引き抜くようなことはなく、他の部活動と同じように神奈川をはじめとした首都圏から通学する生徒たちで構成されている点が特徴です。初心者であっても、上位のレベルに合わせて練習しなければいけないので当然苦しい場面もあるでしょうが、憧れの選手が在籍していた水泳部でみんなと切磋琢磨することは、本人の成長にとって大きな意味を持つことになるでしょう。

練習への取り組み方は?

校舎を目の前にした屋外プールが水泳部の主要練習場です
校舎を目の前にした屋外プールが水泳部の主要練習場です

植村先生:出場する大会ごとに目標を持たせていますが、水泳の練習だけでなく、その先に何があるのかを考えるように指導しています。なぜなら、言われたことしかできないのであれば、何事に関しても上達するには時間が必要になるからです。日大では「自主創造」をスローガンに掲げているので、自分で考えながら練習する姿勢を大切にしています。

本校の屋外プールだけでなく、県立プールを借りて練習に取り組む場合があり、メンバーによっては個人でスイミングクラブに通ったり、トレーナーの協力を受けている者もいます。日本代表になるためには、規定の記録に達する必要があるので、試合中のペース配分を調整するなど、さまざまな要素をアドバイスして練習に落とし込んでいます。ときには大会でライバルになると予想された選手の動向にも注目して対策を練るなど、練習について科学的な分析が発達しており、過去のレースを参考にする場合もありますね。