中学受験での親の関わり方とは?(2ページ目)

中学受験を糧になるような時間に

-中学受験では、親が感情的にもなり自分を責めるような思いもたくさんします。それを乗り越えていくには、親も自分自身と向き合い、家族と協力していくことが大切ということ。さらに小川さんは、このような中学受験の取り組み方が家族を育てていくと言います。

家族の絆が深まるような中学受験を

小川先生_02

小川さん:感情に振りまわされ、怒りを生む要因のほぼすべてが、自分自身の中にあり、自分が何を欲していて、何を不安がり、どこに不満があったのか、または何に自信があるのか、そういったところをまず自分自身で見つめようとすることをおすすめします。一人で見つめるのは難しいことですから、夫婦や家族で会話して、相手がどういうことを感じているのかも聞くといいと思います。

わが子がどんな人で、わが子の親をさせてもらっている自分はどんな人で、自分のパートナーがどんな人で、それぞれ共通点もあれば違うところもあって、そういう人たちで家族というものが作られている。それを確認し合い、理解し合って他に変えようもない家族というものを再発見して育てていくんです。

中学受験はあくまで手段、家族にとって何が大事なのかを考えて

小川さん:中学受験というハードなプロジェクトに真剣に向き合い、一つひとつを乗り越えていけば、もっと子どものことを好きになるし、子どもに信頼してもらえるようになるし、夫婦も仲良くなります。中学受験をすると決めたならそれは家族にとって糧となる時間にしてほしいし、そうし得るものだと私は確信しています。ちょっとした心の踏ん張りをすれば、どなたにでも叶うことです。

中学受験は家族の一大プロジェクトですが、でも「たかが中学受験だよね」です。受験はあくまで手段で、子どものために家族のために大事なこととは何かを、これから中学受験をされるご家庭は先に考えていただきたいなと思います。

小川大介(おがわ だいすけ)さん
教育専門家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。1973年生まれ。
京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、中学受験専門のプロ個別指導塾SS-1を設立。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。同時期に中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の創設にも参画し、情報発信を開始。受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中。そのノウハウは自らの子育てにも活かされ、一人息子は中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書多数。

書影「親も子も幸せになれる はじめての中学受験」

小川大介さん新著:「親も子も幸せになれる はじめての中学受験」(CCCメディアハウス)
首都圏では、いまや4人に1人の小学生が中学受験をする時代。公立と私立、どちらを選ぶにせよ「中学受験」が頭に浮かばない親はいません。本書は、公立、私立どちらの中学を選ぶか、から、夫婦での意見のすりあわせ(ここがいちばんキモです)、子どもとの話し合い、塾生活の過ごし方、子どもの心と学力の伸ばし方まで、中学受験が頭に浮かんだときに、気軽に手に取っていただける親目線の中学受験本です