わが子が「面白い!」を見つけ、将来に生かしていくには? ~ロボット工学の世界的権威者に聞く~【前編】

わが子が好きなことや面白いと思うことを見つけて、将来の生き方や職業につなげることができたら…と親は願います。では、その興味関心を、どのように伸ばしていけばよいのでしょうか。そのヒントを探るべく、ロボット工学の研究開発において数多くの実績を納め、2006年には紫綬褒章も受賞した、東京工業大学名誉教授の廣瀬茂男先生と、同大学院の「廣瀬研」での愛弟子、瀧野川女子学園中学高等学校副校長の山口龍介先生にお話をうかがいました。
前編では、お二方の対談で語られた工学への熱い思いをお伝えします。ものづくりが好きなお子さまがいるご家庭は必見です!(取材:2020年9月)
廣瀬茂男先生

廣瀬茂男
東京工業大学名誉教授、
HERO(極限環境ロボティクス)研究所 所長、瀧野川女子学園 理事・アドバイザー。
ヘビ型ロボットや四足歩行ロボットなど災害現場・原発現場で役立つ、多くの独創的なロボットやロボット技術を開発している世界的権威者。

山口龍介先生

山口龍介
瀧野川女子学園中学高等学校 理事・副校長
東京工業大学大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻にて、ロボット工学の世界的研究者の廣瀬茂男教授に師事。
博士後期課程在籍中の2010年に着任
創立者山口さとるのひ孫

ものづくりが好きな子の進路選択のヒント

手を使って「体全体で考える」ことが将来に生きてくる!

山口先生:廣瀬先生が工学部やものづくりの道に進もうと思ったのは、何がきっかけでしたか?

廣瀬先生:子どもの頃は、親がどこかに行こうと言ったときも、家で何かを作っていた方がいいと思うぐらい、ものを作ることが好きでした。ロケットや人工衛星は当時から興味がありました。アマチュア無線や時計の分解にも興味があったので、工学部や「ものづくり」の方向に進むというのは、始めから決まっていたような気もします。

山口先生:機械を分解するのは、ものづくりが好きな子の典型的な行動ですね。分解して、ご両親に怒られたことはありましたか?

廣瀬先生:いいえ、真面目に怒らなかったので、理解はあったと思います。親戚からも「こういうものに興味あるでしょ?」とか言ってプリズムをもらったこともありました。

山口先生:ものづくりが大好きなお子さんが、中学受験を目指すとなると、小学生のころから「勉強」が大きなテーマになります。塾に通い、家庭学習に時間を取られますが、ものを作って遊んだり、作りながら考えたりを続けると、その後に生きてくると思います。その点、廣瀬先生はどうお考えでしょうか?

廣瀬先生:そのとおりですね。今3Dの図面を大学院の学生に書かせていますが、やはり、手を使ってきた人とそうでない人は、ものの認識の仕方がかなり違うと感じています。手を使っていた人は3次元の具体的な世界を、感覚的に理解できるのです。

「考える」というのは、「頭で考える」部分と、「体全体で考える」という部分があるので、子どものうちから手を使ってものを作ることは、とても重要なことだと思います。