「伸びる子」に育てる親の関わり方とは?

子どもに学力を身につけさせるために、早期教育に熱心なご家庭や、中学受験を見据えて、未就学、小学校低学年のときから先取り学習を行うご家庭があります。
しかし、学習する内容や量、時期を間違えた結果、高学年になって伸び悩む子どもたちを、プロ家庭教師の西村則康先生はたくさん見てきたそうです。では、「伸びる子」に育てるにはどういったことが大切になるのでしょうか。西村先生にお話をうかがいました。

知識の受け皿を作る「体験」が大事!

知識の受け皿を作る「体験」が大事!

新しい知識というのは、過去に脳に収納された知識と繋がり、体系化されることで定着します。高校生ぐらいになると、脳に蓄えてきた知識があるので、新たな知識が、すでに収納されている知識に結びつきやすいのです。
しかし、小学生のうちは過去に収納された知識の量が少ないので、繋がるのは「過去の体験」になります。つまり、過去の体験がその後に入ってくる知識の受け皿になるのです。

したがって、過去にたくさんの体験をしてきたお子さんの場合、新しく学んだことが「あの時のあのことか!」とハタと膝を打つ感覚とともに思い出して、知識として定着しやすくなります。
ですから、幼児期の学習というのは、その受け皿を作ってあげること。自分の目で見たり、聞いたり、さわったりという体験が重要なのです。

幼児期の体験として、習い事も当然効果はありますが、日常生活での全ての事柄が受け皿づくりに関わっています。たとえば、お手伝いをすること、風景を眺めること、匂いを嗅ぐこと、風のそよぎを感じるといった「身体感覚」を伴った体験が、全ての学習のもとになります。

机の前に座ってやる勉強を先行させれば、もちろん知識は増えていきます。しかし、それらが繋がらずに離れ小島の状態になっていると、利用できない知識として封印されてしまいます。
たとえば、「単子葉植物の葉は細長い」という知識は、イネやツユクサ、トウモロコシなどの多種多様な「細長い葉」を見た経験が結びついて、カテゴライズされていきます。

体験が伴っていないと、5年生、6年生で知識を何段にも積み上げていく段階になったとき、わからないことが増え、伸び悩むといったことも起きてきます。