「伸びる子」に育てる親の関わり方とは?(3ページ目)

「立派な親」より「成長する親」をめざそう

子どもと接していると、自分が子どもだった頃のことを自然と思い出します。自分がこの年齢の時にはこうだったなと、子どもを鏡にしては、今の言動を振り返ろうとされている親御さんは「成長できる親」です。

成長できる親は、自分の小さい頃を思い返して、「今の自分がこうなのは、昔母親がこういうふうに言っていたからなんだな」と、自然に感謝の気持ちが湧きます。反対に、「こういうふうに育ててくれていればもっと良かったのかもしれないな」と考えて、自己分析も始めます。
その中で、自分の目の前にいるわが子に対して、「どんなふうに対応してあげたらいいのかな」という気持ちにもなります。

立派な親でいようという気持ちはなくても、日々の生活の中で子どもと接するうちに自分の中に湧き起こった気持ちと向き合うことで、自然と自分の行動を変えようという意識も芽生えます。すると、親御さん自身の行動や表情が変わってくることでしょう。

たとえば、受験勉強を子どもと一緒に取り組むうちに、何となく公式として知っていたことが、「本当はこういう意味だったのね」というような新たな発見があったりします。
そういったときの親の表情の変化を子どもは見逃しません。結果、「新たにわかることって楽しいことなんだ」と子ども自身が学習をしていきます。

子どもは親の姿や立ち振る舞いからも学習し、自ら伸びていく子どもになるのです。

edu’s point

学習というと、早くから計算や漢字、文章が読める力を身につけることに目が行きがちですが、知識の受け皿を作る“土台作り”に目を向けることが、お子さまに本当の学力をつけさせる重要なポイントになると感じました。
また、高学年だからもう遅い…ということでもありません。西村先生の近著、「わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール」では、先生の今回のお話を踏まえた、中学受験真っ最中のご家庭へのアドバイスも満載です。ぜひご参考になさってください。

西村 則康(にしむら のりやす)先生

西村 則康(にしむら のりやす)先生

プロ家庭教師・名門指導会代表、中学受験情報局主任相談員、塾ソムリエ。 40年以上、中学受験指導を一筋に活動し、開成、麻布、桜蔭中学などの最難関中学に2500人以上を導く。受験学習を、暗記や単なる作業だけのものにせず、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で切り込んでいく授業は親からの信頼も厚い。『御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方』(アスコム)、『中学受験は親が9割 最新版』(青春出版社)、『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)など著書多数。