読書好きな子をつくる親の必殺技とは?(3ページ目)

本はその子の一生をサポートしてくれる

ところで、インターエデュには教育熱心なママが多く来ておられると思いますが、そんなママたち自身は、最近読書をしていらっしゃるでしょうか? 忙しくてあまり…という声が聞こえてきそうですね。もしそうだとしたら、子どもの教育にもいい「読み聞かせ」で、ご自身の読書習慣を取り戻されるといいと思います。

といっても、子どもの頃から読書は好きじゃなかったという方もいるかもしれません。読書好きでない大人の多くは、本との出合いが義務感によるものだったケースが多いようです。読みたい本を自分で選んで読むのではなく、読書感想文を書くためなど、誰かから読みなさいと言われて本を読んだ思い出しかないという方々です。

何事もそうですが、義務感からすることは決して好きなことにはなりません。そして好きでないことが習慣になることはありません。ですから、子どもには、読書を強要してはいけないし、「この本を読みなさい」と特定の本を指定してもいけません。「読書をさせる」のではなく、「読書好きにする」というのは、こういう意味でもあります。

では、どうしたらいいか? 本書には、読み聞かせのほかにも、子どもを読書好きにするための親のサポート法が具体的に書いてあります。巻末には、「小学生なら読んでおきたい理想の本棚246冊」も掲載されていますから、本のプレゼントをするときなど、参考になさるといいでしょう。

読書の楽しみは、子どもも大人も同じ、自分の好きな本を選び、ワクワクドキドキしながら文字を追っていき、時間を忘れてその本が描く世界を楽しむことにあります。本のジャンルは物語・小説からノンフィクション、図鑑やマンガまでさまざま。子ども時代には、自分で選んだ本がよかったこともあれば、がっかりだったこともあるといった経験も必要です。お子さまには、できるだけ広いジャンルに出合ってもらい、その中から自然とその子が好きなジャンルが見つかるという流れがとても大切です。

さまざまな本との楽しい出合いによって、いつのまにか語彙力、思考力、読解力、表現力、想像力がついていきます。テストの点数で即座に判定される受験勉強と違って、読書の効用は数字では示せませんし、すぐには判定できません。でもその分、生涯その子を助けてくれます。数値で示せない能力(非認知能力と言います)こそ、これからの時代もっとも必要とされる能力であることは、今年スタートした教育改革でも強調されていることです。

ぜひ、本書を読んでわが子を読書好きに育ててください。この本を読めば、多忙で読書から遠ざかっているママも、子どもと一緒に心から楽しい読書習慣を身につけることができますよ。

『子どもを読書好きにするために親ができること』

白坂洋一著 小学館刊 1,500円+税
子どもを読書好きにするために親ができること

読書指導の研究に力を入れている筑波大学附属小学校現役国語教師が、「小学生は本で育つ」ということを、あますことなく語る。これまでの指導経験から、「読書には人そのものを変える力がある」と確信した著者は、子どもが、自ら「読書好き」になっていく、さまざまな方法を提案している。また読書の魅力である「語彙が豊かになる」「知識が得られる」「心が穏やかになる」「表現力が高まる」「読解力がつく」「人間性を高められる」「物語を楽しめる」「集中力がつく」「感受性が高まる」などを、実例をあげて解説。我が子によい読書習慣を身につけてほしいと願う親にとって必読の書。巻末には特別付録としてブックガイド「小学生なら読んでおきたい理想の本棚246冊」を収録。

白坂洋一 さん
筑波大学附属小学校国語科教諭。1977年鹿児島県生まれ。鹿児島県公立小学校教諭を経て、2016年より現職。学校図書国語教科書編集委員。『例解学習漢字辞典』(小学館)編集委員。全国国語授業研究会理事。「子どもの論理」で創る国語授業研究会会長。著書に『言語活動を充実させるノート指導』(学事出版)、編著に『「子どもの論理」で創る国語の授業―読むこと―』『「子どもの論理」で創る国語の授業―書くこと―』(明治図書)などがある。現在は特に、「書くこと」の指導と読書指導の研究に注力している。