今の子が秘めている悩みや疑問がわかる

あなたはわが子を、そして21世紀に生まれた今の子どもたちを、どれくらい理解していると思いますか? うちの子のことなら何でもわかっていると自信を持っている親御さんは、それほど多くないのではないでしょうか。
今回ご紹介する新刊は、令和の時代の子どもたちのリアルを知るのにとても役立ちます。タイトルは、『だれにも聞けない!ヒミツのしつもん180-先生が本気で答えました-』。
内容は、「Yahoo!きっず」に届いた小中学生からの、人には聞きにくいタイプの質問に対して、教師向けWEBメディア「みんなの教育技術」の協力者である学校教師や教育関係者80名が本気で答えた回答です。「Yahoo!きっず」に届いた質問は、予想をはるかに超えて2805件もあったとか。その中から「みんなの教育技術」編集部が180の質問と回答を厳選して本書ができあがりました。
子どもたちが勇気を出して質問した内容からは、今の子どもの裸の心が見えてきます。教育関係者が本気になって出した回答には、同じ大人として、うーんそういう対処法があったのかと、うなってしまう内容が多々ありました。
あらゆるジャンルに広がる子どものモヤモヤ
本書は以下のような8章だてで、180の質問と回答が掲載されています。参考までに、各章の質問&回答の数も記しておきます。
第1章:家族の悩み → 14問
第2章:先生・学校へのギモン → 39問
第3章:勉強・授業のモヤモヤ → 25問
第4章:自分への不安 → 32問
第5章:友だちのこと、いじめのこと → 34問
第6章:イライラ・悲しい……どうしようもないネガティブ感情 → 12問
第7章:体・性・恋愛のこと → 13問
第8章:ほんとうに素朴な疑問 → 11問
実は、本書は総ふりがな付きで子ども向けに編集されています。編集部には、子どもたちに自分と同じ悩みを持つ子が他にもいることを伝えたい、その悩みに真摯に向き合って答えた先生たちのメッセージを伝えたいという切なる願いがあったのだろうと思います。実際、誰にも言えないモヤモヤを心に抱えた子にとっては、本書が救いとなる可能性も高いような気がします。
さらに子を持つママ・パパにとっても、この本はとてもためになると思いました。最初に書いたように、今の子が何を心に秘めているのかを知ることができ、加えて教育に精通した先生の真剣な回答を知ることができるからです。
第1章には、「両親がいつもけんかしている」「弟と比べられてつらい」といった悩みがのっています。こうした悩みに、家庭の現場を知らない先生ががんばって回答しています。どう答えているのか気になりますよね。
第3章には、中学受験に関する質問もありました。「落ちる不安を抱えている子」「勉強がつらくてしかたがない子」。そんな子たちを先生はどんなふうに励ましていると思いますか?
担任の先生との軋轢(第2章)や、友だち間のいじめ(第5章)なども、実際の現場を知らない立場で、いったいどんな回答ができるのか? それらの回答にも、多くの子どもたちを知っている先生ならではの幅広い視点と包容力がありました。なるほど納得! 本当に脱帽ものです。


先生方の回答の共通するものは?
本書に掲載されている質問のほとんどは、テストのように正解がはっきりわかるタイプのものではありません。子どもから聞かれたら、なんと答えたらいいのか困って、ついごまかしてしまいそうな質問ばかりです。そういう質問にどう答えるといいのか、大人としても親としても、ぜひ目を通しておきたいのではないでしょうか?
通読して、先生方の回答にひとつの共通項があることに気づきました。それは質問してきた子どもを、まずは「認める」ということです。たとえ、いじめたくなる気持ちを告白してきた子に対してもです。どんな回答にも、言いにくい思いを伝えてきたことに対する敬意がありました。これ、すごく大切なことではないでしょうか? 身近な関係だとついうっかり忘れてしまいがちですよね。
加えて、言いにくいことを、当事者である親や先生、友だちにどんなふうに伝えるといいのかのアドバイスがたくさんありました。親子の間でも、言ったほうがいいと思うけれど言いにくいことって案外あります。子どものほうにもあるし、親のほうにもある…そういうとき、本書にある先生方のアドバイスは参考になるはずです。もちろん、大人同士の関係にも有効です。


親子関係をさらに深めるきっかけに
本書が家にあって親が読んでいることを知ったら、子どもはどんな気持ちになるだろうかと想像してみました。もちろん親子関係はさまざまですから、反応もさまざまだとは思いますが、「読んでみなさい」というよりは、黙って置いておいたほうがいいような気がします。本書を目にした子どもは、おそらくパラパラをめくってみるだろうと思うからです。
ざっくばらんにこの本の話ができる幸せな親子関係が築かれているご家庭なら、「あなたがどの質問と同じ疑問を持っているか当ててみようか」と、お子さまを誘ってみてはいかがでしょうか? いつもと反対にお子さまが採点者になるのです。お子さまからは、「それって違う!」「当たり!」といった反応が出てきて、親御さんの子ども時代との違いがはっきりと見えてくるでしょう。そんな幸せな親子関係を目指したいですよね。
だれにも聞けない!ヒミツのしつもん180
-先生が本気で答えました-
編/小学館「みんなの教育技術」編集部、定価1,980円(税込)

令和の小中学生の質問に、先生が本気回答!「学校では、なぜ同じことをしなければならないの?」「家のことを、誰にも知られずに先生にだけ相談できる?」「好きな人を誰かに言いたい。でも広められたくない」「心の性別は男子でも女子でもなくてモヤモヤします」「人に飽きられるまでの時間を遅くするには?」
毎日、たくさんの問いを抱えている子どもたち。そんな問いに、本気で向き合う教育者たちがいます。本書は、教員向けWebメディア「みんなの教育技術」と「Yahoo!きっず」の共同企画『先生、しつもんです!』を通して全国の小中学生から寄せられた2805件の質問をもとに、編集部で選定・再編成した180の質問と回答を収録したものです。
学校や家庭、人間関係、自分自身のこと――。さまざまな経験をもつ80人の教育者たちが、子どもたちの質問に、それぞれの立場から本気で答えました。
子どもが一人で読む本として。親子で語り合うきっかけとして。先生が子どもの気持ちを知るための一冊として。「ねえ、これどう思う?」この本が、そんな一言から始まる対話のきっかけになれば幸いです。
<編集者からのおすすめ情報>
何でもすぐにAIに聞ける時代だからこそ、「人が、人に向き合って考えた答え」には、これまで以上の価値があるのではないでしょうか。本書で回答している教育者たちには、一人ひとりにそれぞれの経験があります。先生であると同時に親である立場から答えている人もいれば、自身の子ども時代の経験やこれまで出会ってきた子どもたちとの時間を重ねながら答えている人もいます。そして何より、日々子どもたちから予想もしない問いを投げかけられているからこそ、安易に「答え」を渡そうとはしません。
その問いの奥に何があるのか。その子はいま、どんな場所に立っているのか。そこまで想像しながら、その子が自分の力で次の一歩を踏み出せるように言葉を届けています。
この本を編集しながら、改めて思いました。先生って、やっぱりすごい! この本は、長い時間をかけて全国の子どもたちから寄せられた、たくさんの問いがもとになっています。そこには、今を生きる子どもたちが何に悩み、何を知りたいと思っているのかが表れています。子どもたちはもちろん、子どもと接する全ての大人の方にお読みいただきたいと思います。