成績が落ちて落ち込むしっかり者の娘。どう励ましたらいいのかわかりません

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.32

Q.成績が落ちて落ち込むしっかり者の娘。どう励ましたらいいのかわかりません

娘の中学受験のことでご相談させてください。もともと中学受験は主人が自分もそうだったからと提案したことでした。私は経験がなかったので迷ったのですが、学校のお友達も多数受験すると聞いて、それならと賛成しました。娘もその気になって4年生から進学塾に通い、少し前までは塾通いも楽しいらしく、塾の宿題はたくさんあって夜遅くまで勉強して、テストの結果もまあまあでした。

それが5年生になってから点数がとれなくなりました。自分が思ったより悪い点のようで、がっくりして落ち込んでいます。○○ちゃん(塾のお友達のことです)はいつもいい点なのに、私はいつもダメみたいなことを言い、宿題もやる気がおきないらしく、さぼるようになりました。かといって遊ぶわけでもなく、机にはむかっています。でも勉強がはかどっているようには見えません。塾にも行きたくないといいながらもちゃんと通っています。

私はもともとあまり子どもに干渉するほうではなく、手がかかる弟もいますので、しっかりものの娘のことは自主性にまかせていたのですが、そうもいかないのではと思い、塾はやめさせたほうがいいと思うと主人に相談すると、誰でもスランプはある、しばらくたったら元気になると言ってとりあってくれません。

でもそんな状態がもう3か月続いています。娘のことが今はすごくかわいそうな気がしています。励ましてやりたいと思って、いやならやめたらいいと言ったのですが、そんなに簡単に言わないで!と言われてしまいました。親として失格ですが、どう対処したらいいかわかりません。おおた先生、教えてください。(中学受験に悩む母)

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A.娘さんは主体的に受験に向き合っているようです。「お母さんもお父さんもついてるから」と励ましてあげれば大丈夫!

5年生になってから塾のテストで思うように点が取れなくなってきたのですね。5年生になると格段に難しくなりますからね。4年生のうちは、教えてもらった解法にあてはめて同じような問題を同じように解けばいいので、与えられた課題をコツコツ、ドリル的にこなすだけで点数が取れます。しかし5年生になると知識を活用する度合いが上がるんですね。公式や解法を覚えているだけでは応用ができなくて、点が伸びなくなってしまうということはまじめな子ほどよくあることのようです。

やらなければいけないことはわかっている。でもやっても思ったほどの成果が出ない・・・・・・。モチベーションが下がってしまうのはいたしかたありません。そんな状態でも、なんとか机には向かっているという娘さんのガッツは見上げたものです。「やめてもいいんだよ」というお母さまの慰めに「そんなに簡単に言わないで!」と言い返せる情熱もたいしたものです。5年生にしてしっかり中学受験に向き合っている感じがします。

お父さまのおっしゃるとおり、誰にでもスランプはあります。それを乗り越えて成長することも、中学受験という選択の価値の一つです。そのうえで、今の状態をどのように切り抜けたらいいか。勉強の仕方を変える必要があるかもしれません。そのことについては塾の先生とよく相談されるのがいいと思います。

お母さまの優しさから発せられる「やめてもいいんだよ」という言葉は、娘さんの主体性を覚醒したかもしれません。この機会にそういう段階を踏むことができたことはとてもいいことのように思います。6年生になっても主体的になれない受験生もたくさんいますから。でも、「かわいそう」というのはちょっと違うかもしれませんね。つらい状況でも娘さんは一生懸命食らいつこうとしているのです。そういう人に「かわいそう」は失礼です。

お父さまの冷静な目と、お母さまの優しさと、娘さんのそれだけのガッツがあれば、大丈夫。お母さまからの相談の文面を見るだけでも、娘さんはきっとこの状況を乗り越えると私は感じました。娘さんを信じて、励ましてあげてください。もし娘さんが弱気になるようなことがあったら、「大丈夫。お母さんもお父さんもついてるから」と励ましてあげてください。それだけで子供は、がんばれるものです。

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