男女双子の中学受験。女の子は頑張っていますが、男の子が全然勉強しません

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.53

Q.男女双子の中学受験。女の子は頑張っていますが、男の子が全然勉強しません

小6男女の双子の子どもがいて、今年度受験します。女の子はコツコツ勉強し、目標の学校目指して頑張ってます。一方男の子はなかなか勉強しません。元々勉強は得意でなく、何でも面倒くさがる性格で、女の子に比べると精神的にも幼い感じです。

小4から塾に行き、全然成績が上がらないため小5の夏に塾を変わりました。やはり成績はふるわず、家庭教師をつけ、6年になってからは偏差値40前後まで下がりました。最低限ここだけはやろうと声かけてもしません。あまり執拗に言うと癇癪をおこし、親子でバトルになります。どうしてそこまでしたがらないのか不思議です。

前回の模試でも試験前には少しはやってたのですが、その結果はふるわず、やってもムダだったとの結論になってしまいました。

勉強自体、取りかかるまでの時間がかかり、やる気がないから時間ばかり経って頭に入ってないようです。本人は「勉強した」と主張しますが、外から見るとプリントや宿題をただやりこなしただけで、本来の学習にはなってないです。指摘すると癇癪をおこしやる気がさらになくなり、何にも手につけなくなります。

そんな事が続くため、受験を辞める方向の話になりましたが、私としては最後までやりこなして欲しい気持ちで、塾や家庭教師の先生に相談しました。自宅では私は勉強について口出ししない事にして、勉強に関する交渉は塾や家庭教師の先生に任せることにしました。

その結果、家庭教師の先生との話し合いで、塾をやめて家庭教師で受験勉強をすると言って来ました。塾を続けたほうがよいと家庭教師の先生も勧めたのですが、本人は塾をやめたいようです。ただ受験はする意志だけはあるみたいです。

それでも受験勉強する気になったから良いと思ったのですが、楽な方に逃げたがる本人が安易な選択を選んだ気がして不安です。どっちにしても自宅での勉強は必要なのに家では全くしません。

塾を辞めるリスクや、余計大変になると説明しても、ちゃんとやると今は言いますが、現実、家ではしてません。そんな、やる気がないが受験はしたい子供の勉強を見る事に疲れてしまいました。

女の子の勉強を見てやりたいのですが、女の子の勉強内容を見ると、「男の子は勉強ができてないのでは?」と不安が強まり、女の子の勉強も見れてないです。私自身未熟な親のために不安が強く子供にぶつけてしまいます。最近はそれはしなくなったのですが。

受験が全てではないと思ってはいますが、どうすることが男の子にとって良いのか悩みます。(アユアユ)

回答はこちら

A.おそらく息子さんはつらい。その気持ちに共感して味方でいてあげてください。そして女の子にもベストのサポートを

中学受験生が一人いるだけでも神経がすり減るもの。それがお二人同時なんですから大変に違いありません。お母様のご心労は想像するにあまりあるものがあります。

特に双子の中学受験というのは色々と難しい点が多いことでしょう。成績に差が付くと、親としては「同じように接しているのになぜ?」と考えてしまいがち。成績が悪いほうは余計に劣等感を感じてしまう場合もあるようです。しかも男女の双子。性格もまったく違うようですね。比較してはいけないと思っても、ついつい比較してしまう親心は理解できます。かつては親の不安をお子さんにぶつけてしまっていたことがあったようですが、今はそれもしなくなったということ。自分の不安を子供にぶつけているという状況を自覚できること自体が立派ですし、それを修正することができていることも親として成熟している証拠です。親も子供に鍛えられるんですよね。

さて、どうしても勉強に身が入らない息子さん。見ていて歯がゆいことでしょう。しかしたぶん本人がいちばんつらい。やらなければいけないことはわかっているけれど、机に向かうことができない心境なのでしょう。不安、恐れ、悲しみ……いろいろなネガティブな感情が息子さんの邪魔をしているのかもしれません。おしりをたたいてもかんしゃくを起こすばかりで逆効果とのこと。効果がないことはくり返さないほうがいいでしょう。ますます悪くなる可能性だってありますから。

大変残念ですが、今の状況から急に息子さんがやる気を出して勉強し始めるようになるための魔法を、私は知りません。カウンセラー的な立場から理想を言えば、息子さんの気持ちに寄り添い、つらさに共感してあげることが、息子さんが自分の力で持ち直す可能性を少しでも高めることだと言えます。持ち直すためにそうするのではなく、たとえ持ち直さなかったとしても、ありのままの息子さんを認めることが肝心です。どんなときでも親が味方でいてくれる。それが子供の勇気になります。

6年生の夏ですから、中学受験に必要な一通りのことは塾で習っていると思います。このタイミングで家庭教師に絞るという選択は、もしかしたら功を奏するかもしれません。弱点克服や過去問対策など、集団授業を受けるよりも効率良く課題の解消ができるかもしれません。

一方、娘さんに対しては娘さんにとってベストなサポートと思うことをしてあげてください。「それぞれ得意分野も勉強の仕方も違うのね」などと言って、双子の両方を認めてあげてください。

本当に子供の数だけ中学受験があるのですね。大切なのは中学受験という機会から何を学び取るかです。

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