【中学受験2023】先取り!時事問題(3)ロシアとウクライナの問題を小学生目線で解説-後編

前回に続きウクライナ情勢に関連する予想時事問題を出題します。ロシアはウクライナが「北大西洋条約機構」へ接近していることに強い反発を示してきました。昨今はニュースでもよく耳にする「北大西洋条約機構」について、中学受験の社会科専門塾 スタディアップ代表の野村恵祐さんに解説していただきました。

北大西洋条約機構に関する問題に挑戦!

問題

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いているが、2021年の秋ごろからロシアの( a )政権は、アメリカ主導の軍事同盟である「北大西洋条約機構( b )」が自国の安全保障にとって重大な脅威となっているとして、「ウクライナを加盟させるな」と求めていた。( a ) ( b )に当てはまる語句を答えなさい。なお、bにはアルファベットが入るものとする。

※解答はページの最後でご紹介しています。

解説と関連キーワード

前回のロシアとウクライナのお話の続きになります。前編では「ロシアもウクライナもソ連を構成する国の一つだった」というお話で、その後、1991年にソ連が崩壊してしまいますが、それとは別に、世界の大きな枠組みとして、NATO(ナトー)というものが存在していました。

そもそもNATOって何?

1945年に第2次世界大戦が終わった後、資本主義のアメリカと、ロシアを中心とした社会主義のソ連は激しく対立していました。実際に軍隊同士が衝突するような戦争にはなりませんでしたが、ヨーロッパの西側の国はアメリカの味方、東側の国はソ連の味方となって、お互いをにらみ合う冷戦状態が続きました。

そこで、アメリカを中心にイギリス、フランス、カナダなど12か国の国々は、「北大西洋条約機構(NATO:ナトー)」という軍事同盟を結びました。この同盟を簡単にいうと、同盟国(仲間の国)が万が一ソ連側から攻撃を受けたときはみんなで協力して対抗しようという同盟です。

それに対し、ソ連と東ヨーロッパの国々は「ワルシャワ条約機構」という軍事同盟を1955年に結成し、NATOに対抗してきました。ところが、1989年の米ソ首脳による冷戦終結も宣言されたことをうけ、この軍事同盟は1991年に解散となります。

旧社会主義国もNATOに加盟

1991年にソ連が崩壊すると、旧社会主義国が次々にNATOに加盟していき、2004年には旧ソ連のバルト3国も加盟しました。そんな中、2000年に誕生したロシアのプーチン政権は、アメリカやヨーロッパとの協調路線を取っていましたが、やがてNATO側に対し、「NATOが東方に拡大しないとの保証が重要と考えるという当初の約束をアメリカ側に破られた」と強調するようになります。

ロシアがクリミアを編入

2014年2月、ロシア寄りだったウクライナのヤヌコビッチ政権に反発するデモがキーウで激しくなり、政権は倒れ、その結果、ヨーロッパやアメリカに親近感を持つ政権が誕生します。

それをみたロシアは、ウクライナが自分たちの敵になるのではないかと危機感を持ち、ウクライナ南部のクリミア半島へ部隊を送り込こんで制圧し、翌月には自国領に編入してしまったのです。

これを機にロシアとウクライナの関係は悪化してしまいます。ウクライナ東部では、政府側とロシア寄りの武装勢力との紛争が始まってしまったのです。

ロシアは、現在もNATOを意識している

始まりは12か国だったNATO加盟国も、現在30か国に増えています。そのため、ロシアとしては、ウクライナなどの自国に近い国がNATOに加盟しないように働きかけてはいましたが、結果的に、状況がどんどん変わっています。

現在のNATO加盟国(30か国)

上記の図は、現在のNATO加盟国になっています。このようにロシアの周辺で新たにNATO加盟の動きが出ているのです。現在のロシアは、ウクライナへの軍事侵攻と同時に、NATOをより警戒しないといけないという状況になっています。

解答はこちら

( a )プーチン ( b ) NATO

次回の「先取り!時事問題」は、9月22日(木)に公開予定です。次回もお楽しみに。

野村 恵祐(のむら けいすけ)さん

野村 恵祐(のむら けいすけ)さん

群馬県生まれ、広島県育ち。愛光高校、慶應義塾大学商学部卒業。
中学受験 社会科専門塾「スタディアップ」代表。家庭学習で社会全分野の効率の良い授業がたった13時間でマスターできるCD教材「コンプリートマスター」や、社会の最重要キーワードをまとめた一問一答問題集「プラチナインプット」、最新の時事問題を収録した「時事問題ターゲット」などの教材開発を行い、通販を通じて年間に3,000名以上の受験生、及びその父兄と関わっている。

スタディアップ 公式サイト

主な著書に『中学受験は社会で合格が決まる』(講談社)や、『中学受験 社会 合格への家庭内戦略』(小学館)、『中学受験 第一志望に合格したいなら“社会”の後回しは危険です』(学研プラス)などがある。

また、「あなたが探す中学受験情報の答えがここにある!」をコンセプトに掲げたメディアである「中学受験アンサー」も運営しており、中学受験生の保護者のために情報提供も行っている。

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