【中学受験2023】1月学校をお休みする場合の過ごし方・親の関わり方~富田佐織先生~(2ページ目)

子どもが学校を休みたくない場合はどうする?

子どもが学校を休みたくない場合はどうする?

中学受験が盛んな地域では、受験直前期は学校をお休みするお子さまも多く、休みづらい雰囲気はありません。しかも、今年は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念され、学校をお休みするご家庭も多いでしょう。
しかし、お子さまが学校を好きで休むのを嫌がる場合は、保護者が一方的に決めてお休みさせることのないよう、お子さまの気持ちを尊重しつつ、どうするのが良いのかを一緒に話し合うことが大切です。

今何をすべきか、プライオリティを自分で決められる機会にする

「学校へ行きたいけれど、中学受験が間近に迫っている…」
この状況は、今何を優先すべきかを自分で考えて決める、お子さまの精神を成長させる1つの良い機会です。

保護者はお子さまに、入試までにやらなければならない過去問がいくつ残っているかや、ウイルスに感染し、体調不良が続いたら本番に力が発揮できない可能性があることを伝え、今どう行動するのが良いかを、お子さまの意見を尊重しつつ一緒に考えましょう。

お子さまが「図工や体育がある日だけは学校に行きたい」と言ったら、登校する日以外にどのように過去問演習を組み込むかを一緒に考えて計画を立てましょう。そうすることで、お子さまは中学受験が自分のこととなってやり切る力が湧いてきます。

受験本番までの1か月で、親が絶対にやるべきこととは?

ネガティブな言葉を吐かない、笑顔でお子さまを励まし続けること

この時期に保護者が発する言葉は、お子さんにとって、良い意味で「まじないの言葉」になることもあれば、悪い意味で「呪いの言葉」になることもあります。
いかなる状況においても、ネガティブなことはポジティブワードに変換してお子さまに伝えることが大切です。

例えば、毎朝行う計算で3問中2問に間違えがあったとしても、「大丈夫だよ! 明日はきっと1問に減るよ!」と「1問できていたから良かったね!」という勢いで、あらゆることをポジティブに変換して伝えるようにしましょう。

また、ご家族の間で、受験生の生活や接し方に共通認識を持てるように、話し合っておきましょう。これまで中学受験に携わってこなかったお父さまが急に、「合格点に届いてないじゃないか」「こんなんで受かるのか」と口出しをし、お子さまが自信を失ってしまったというケースもあります。

物は言いようで、お父さまが励ましの気持ちでお子さまに伝えるのであれば、「あと10点あれば合格点だね」とポジティブな言葉にするように、ご家族で気をつけていただきたいと思います。

お子さまの仕上がりを見定め、やるべきことを明示すること

1月は、過去問の出来具合や1月受験の成績を見て、弱点の補強に努めましょう。保護者はこれまでの教材からやるべきものをピックアップし、お子さまに明示します。

私が指導に入っているご家庭では、12月までに過去問で間違えた問題のなかから必ずできなければならない問題を1冊のノートに貼り、自分だけの参考書を学校ごとに作るように伝えています。
ノートにはお子さまが解答や解説を書き込むだけでなく、保護者も問題のポイント等を書き込むことをおすすめしています。

お子さまが1月にこのノートを繰り返しやることで、入試前日や当日にこのノートを見たとき、「この学校の過去問をこれだけやって、これだけ対策したから大丈夫!」と安心し、お守り代わりになります。

入試前の1週間は新しい過去問を「絶対に」やらないこと

過去問がたとえ終わっていなくとも、最後の1週間に新しい過去問やるのは禁忌です。分からない問題があっても塾の先生や家庭教師に質問はできませんし、もし点数が悪い場合には、不安を抱えたまま入試に突入することになるので、絶対に避けてください。

今回の回答者:富田 佐織(とみた さおり)先生

富田 佐織(とみた さおり)先生

アートオブエデュケーション関東指導部長。中学受験カウンセラーとして年間120件超の学習カウンセリングをし、的確な分析力で志望校合格に導いている。桜蔭学園卒。四谷大塚に飛び級入塾し、公開模試1位。元大手塾算数講師。著書に「中学受験算数 教え方のコツ」(PHP研究所)。朝日新聞EduAにて『親子で挑戦 ・ 中学受験算数』を連載中。プレジデントファミリー等各教育誌で取材多数。