脳の発達と反抗期 わが子に何が起きているのか?【反抗期を科学する・3】

前回も取り上げたように、反抗期には「脳の発達」が大きく関わっています。キーワードは「ホットブレイン」と「クールブレイン」。なんだか興味が湧いてきませんか? 公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田学先生に、詳しく教えていただきましょう!

2つの脳。ホットブレインとクールブレイン

クールブレインとホットブレインのイメージ
クールブレインとホットブレインのイメージ

脳の発達について、簡単に説明しましょう。
まず、私たちの脳が、大きく2つに分かれている、と理解してください。左脳と右脳とか、そういう問題ではなく、ここではホットブレインとクールブレイン、つまり、熱い脳と冷たい脳の2つです。専門的に言うと、ホットブレインが大脳辺縁系、クールブレインが大脳皮質(前頭前野)となりますが、この際、ホットブレインとクールブレインで話を進めさせていただきます。

ホットブレインは、感情の脳です。
その名の通り、ちょっとしたことで熱くなり、怒ったり泣いたり、悔しがったり、興奮したり、非常に激しく反応します。これを「古い脳」とか「動物の脳」と言うこともあります。

一方、クールブレインは、冷静な思考の脳です。
何しろクールなんです。冷めてます。ホットブレインと違って、どんなことがあっても、冷静に理性で対応しようとします。これはヒトにしかない脳で、「新しい脳」と言うことがあります。

肝心なのは脳のバランス

さて、ここまでを読んで、皆さん、どんな感想を持たれたでしょうか?

皆さんの中にも、ホットブレインとクールブレインの両方があるんじゃないでしょうか。
私たちは、この2つの脳のバランスの中で生きています。どんなに冷静沈着な人にも感情的になる瞬間はあるものですし、感情豊かな人でも、じっくりと物事を考えるときがあるはずです。
もっともホットブレインだけ、クールブレインだけでは一人の人間として、おかしなことになります。

考えてみてください。ホットブレインだけですと、感情のままに行動することになります。怒りにまかせて暴力を振るったり、悲しみの中で泣きわめいたりすることになりますし、欲望のままに行動することになり、犯罪者になってしまうかもしれません。
逆にクールブレインだけですと、コンピュータみたいになってしまいます。その上、「好き」とか「やりたい」のような気持ちもなくしてしまい、とても面白みのない状態になってしまいます。
もちろん、そこまで極端ではないにしても、ホットブレインが活性化しやすくて、怒ったり喜んだり、感情が豊かで、とても忙しい人もいるでしょうし、逆にクールブレインが発達していて、いつも冷静沈着、何にも動じない人もいるかもしれません。