「当たり前の行動」に注目すると反抗期のリスクが減る理由【反抗期を科学する・11】

反抗期の子どもは、問題ある行動しかとらないのでしょうか? もちろん、そんなはずはありません。学校が終わったら帰宅して、食事をして、就寝していますよね。この「当たり前」の行動が今回のお話のポイントです。

反抗期が気になる理由

反抗期が気になる理由

今回の連載のテーマ『反抗期』は、多くの親にとって、気になるワードであることは確かなようです。
ですが、なぜそんなに多くの親が『反抗期』を気にするのでしょうか? 私たち自身も成長過程の中で経験していることですから、そんなに注目しなくてもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。

おそらく、そう質問すると、多くの親が、以下のように答えると思います。
――だって、心配なんだもの、と――。

そして、心配する理由もはっきりしていて、自身の経験や様々なところで得た情報から、思春期(反抗期)にリスクがあると知っているからなのでしょう。
つまり、ちょっとした親への反抗が、そのままエスカレートし、家庭内暴力、家出、引きこもり、リストカット、ゲーム依存など、より深刻な問題に発展していきそうな気がして、怖くてたまらないのではないかと思うのです(実際、残念なことに、そうしたリスクは存在します)が、こんな風に『すごく心配になる』ことのもう1つの理由として、私たち、ヒトの脳の特徴があると考えることができます。

脳はリスクに敏感!

脳はリスクに敏感!

当たり前ですが、私たち、ヒトも動物です。そのため、私たちの脳は、『自分の安全』を最優先します。つまりリスクに敏感にできています。
たとえそれが自分の生命の危機に発展しなくても、得にならないこと、大きな問題に発展しそうなことについては、すぐに脳が察知できるようになっています。その結果、私たちの脳は、子どもの反抗的行動、思い通りにならないことに大きく反応します。

考えてみてください。

お子さんが、当たり前のことを当たり前にしているときは、何も感じないでしょう? 一方で、お子さんがほんのちょっとした失敗、いつもと違う言動をしたら気になりませんか。そして、注意したり叱責したりしていませんか?