【第3回:成績UPに役立つ!参考書・問題集の選び方】受験のプロ教師が算数の学習法を伝授

受験のプロ教師・州崎真弘先生が、エデュナビ読者の皆さまへ特別にお送りする算数の学習法。第3回目は「成績UPに役立つ! 参考書・問題集の選び方」です。
どんな参考書がいいのか、問題集を選んだら良いのか、悩みますよね。洲崎先生が厳選したオススメの参考書や問題集をご紹介しています。ぜひご参考ください。

塾のテキストと市販の参考書・問題集の違い

塾のテキストと市販の参考書・問題集の違い

書店に行くと、多くの参考書や問題集が並んでいます。どうせ選ぶなら、お子さんに役立つものを選びたいですね。
ここではオススメする問題集・参考書と選ぶ際のポイントを示していきます。

まず、塾で使われているテキストと市販の参考書・問題集では、単純な比較ができません。
塾にもよりますが、多くの塾のテキストは、分冊になっています。それだけ範囲が広く、多くの問題パターン(例題や類題)や反復用の問題でページ数が多くなっています。そういう意味では、網羅性の高いほぼ問題集に近いものです。

一方、市販の参考書や問題集は独学や家庭学習用として想定されているので、説明や解説で文字がぎっしりです。レイアウトを見やすく整えようとすると、ページ数がかさむので、ものによっては詰め詰めで書かれています。まずはお子さんに実際、手にとってもらい、見やすいかどうかを注意して選ばせましょう。見にくいだけで勉強意欲は絶たれ、すでに購入したものは自宅の本棚に眠ることになります。

州崎先生オススメの算数の参考書は?

では、オススメしたい参考書を紹介しましょう。ここでは『小学高学年 自由自在算数』(受験研究社)について説明します。
塾に行かない独学する子には、これが一番オススメです。近年(2年前)にカラーで改訂されて、内容も大幅に受験用にシフトされました。受験に必要な基本テーマをほぼ網羅しています。
参考書では網羅性が重要です。問題集ではこの役割は果たせません。
先ほど書いたように参考書は塾でいう「授業」に当たるものです。ここで漏れがあったら、今後どこで溢れたテーマや論点を拾えるかは分かりません。たまたま問題集や模試で出くわして潰せたらいいですが、そんな賭けはできません。したがって、基本を丁寧に見やすく集めてくれている本書は、基本に立ち帰れるものとして非常に役立ちます。
塾に籍を置く子たちにも使えます。授業時間に限りがあり、担任の先生にも当たり外れがある塾の授業には、アナがある可能性は十分にあるため、補充用として使えます。特に、受験勉強し始める3、4年は、初めはこれ一冊で十分かもしれません。この自由自在には3、4年用もありますが、この高学年用から使っても構いません。そして、土台を完成に近づけたい5年生で算数が苦手な子にもふさわしいと思います。

オススメ問題集厳選6点

次に、問題集についてです。ここでは厳選6点を紹介します。
参考書の説明でも述べましたが、せっかく勉強するのにアナはなるべく作りたくありませんよね。したがって、少しでも多くのパターンや別解を丁寧に分かりやすく書かれているものがいいに決まっています。そうなれば、選ぶ際の基本としては「単元別」になっているものです。
膨大で深い学習が必要となる受験算数を1冊に閉じ込めるなんてありえないからです。

『中学入試 基礎固めシリーズ』(東京出版):レベル易

入試に必要な基本問題や頻出問題がテーマ別に載せられています。何より、解説が分かりやすい。無駄な文字(言葉)がないので、子ども一人でも勉強できます。レイアウトも左右に問題解答があり使いやすく、補充用、練習用、確認用に使えます。

『難関中学入試ココで「差がつく」速ワザ算数』シリーズ(文英堂):レベル標準〜少し難

左右に問題解答を載せてあり、ページをめくる手間が省けるだけでなく、解説が手書き調で子どもに馴染みやすい。こちらもキチキチに書かれていないので、非常に取り組みやすいです。またテーマごとにポイントチェックのページが割かれていて、そこで学習すべき事項をハイレベルにまとめてあります。掲載されている問題も一捻りしているものが多く、典型問題の羅列にはなっていません。

『カードで鍛える 図形の必勝手筋【平面図形編】【動く図形・立体図形編】』(東京出版):レベル易〜難

東京出版らしく解説がスマート。一見簡単な問題に見えても、結構頭を使わせるものでタイトル通り幾何の力を鍛えてくれます。本書から切り離して使うカードを何度も繰り返してみることで、典型問題はもちろん、自然と高度な図形問題をも氷解できる力がつきます。本のサイズが大きめで書棚に収まりにくく「え?」と思うかもしれませんが、中身は素晴らしいです。

次に紹介するのは、単元別になっている問題集です。良書なので、必要な受験生にはぜひ使ってほしい3点(4冊)を挙げておきます。

『中学入試 最高水準問題集 算数』(文英堂):レベル難

『合格へのチャレンジ演習(東京出版)』と並んで難易度の高い問題集。これ1冊のため、網羅性には欠けますが、こちらを使う目的はそこではありません。ほぼすべての学習を終えた受験生、算数が得意で難問をより深く勉強したい受験生向けです。先述の『速ワザ算数シリーズ(文英堂)』と同じ粟根秀史先生が書かれています。
したがって、解説に無駄な言葉がなく、それにもかかわらずハイレベルな問題をうまく解説されています。模試前の6年生の力試しや季節休み中など、どのタイミングでも使えます。

『中学入試 思考力問題集』(旺文社):レベル標準〜難

典型的な問題の羅列にへきえきしている保護者やじっくり考える問題に取り組みたい生徒にオススメ。今年6月に発売されて、個人的には久々の良書と思います。巷では、思考力、思考力と言いつつも、受験勉強に使えそうなものがそれほどなかったですが、条件把握と整理、図示して解く子どもの力を存分に引き出し、鍛えてくれるものです。

『栗田哲也先生のスピードアップ算数【基礎】【発展】』(文一総合出版):レベル易〜標準

最後に、こちらはこれまでになかったテイストの問題集です。見開き左右に問題とイラストを載せてあり、イメージによって問題の認識スピードを上げる訓練ができる優れものです。是非、成績、学年問わず、一度は子どもに使ってほしい2冊です。

今回の7点以外にも、素晴らしいものがありますので、またどこかで内容も含めて取り挙げてみたいと思います。

州崎 真弘先生のプロフィール

中学受験算数/数学講師、受験Lab 代表。授業一本で生徒と向き合い、型にはまらない授業スタイル・生徒を引き付ける独特の口調での解答へのアプローチは、ほかの講師と一線を画し、内容はもちろん、楽しさと厳しさで振り向かせる授業を展開する。『州崎先生の授業は休みたくない』と常に高い人気と支持を集める。開成中、灘中をはじめとすると難関中学志望者、医学部受験を目指す大学受験生を中心に、キャリアアップを目指す社会人や大学生まで、28年以上で指導した生徒は4800名を超えている。現在は受験Lab代表として、中学受験の算数Web講座・オンライン授業・リモート個別指導・添削指導の他、保護者向け受験コンサルティングなど、トータルな受験指導者として活動している。

『中学受験は算数で受かる』

すばる舎・刊、1,540円(税込み)
『中学受験は算数で受かる』

中学受験をするために、塾通いをしているものの、勉強量の多さに圧倒され、宿題も手つかず、復習も中途半端で知識が定着しないお子さまに向けて、効率的で成績が伸びる学び方を指南。受験の要である「算数」の学び方を軸に、家庭での勉強法や塾の活用法、過去問の解き方など、中学受験のプロ・州崎真弘先生が「受かる勉強」のコツを具体的に教えます。

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