センター試験速報 地理A

2020年度

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全体概観

分量・形式・出題分野・難易度、いずれも昨年並みだった。

難易度:昨年並み

分量

大問数は例年通り5題である。設問数とマーク数は前年同様、ともに34である。

形式

組合せ式の設問は前年と同じ11問(うち6択式7、4択式4)。図版数は前年と同じ28点となったが、そのうち写真資料は前年より1つ減って3点であった。

構成と内容

各大問の設問数・解答数、配点は前年から変わらなかった。
第1問は4年続けてAとBに分かれ、Aは「地理の基礎的事項」、Bは「日本の自然環境と防災」であった。
第2問も4年連続して「世界の生活・文化」に当てられた。
第3問は地誌の大問であるが、「ヨーロッパ」が扱われたのは2006年以来である。
第4問は2018、19年同様に「世界の結びつきと地球的課題」の分野から出題された。
第5問は、例年通り地理B(第6問)との共通問題となる「地域調査」であった。

難易度

いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる。常識的に判断しやすい設問も多いが、やや細かい知識を要する設問もあり、昨年並みの難易度だったと思われる。

設問別分析

【第1問】地理の基礎的事項および日本の自然環境と防災

例年同様に、図や写真などを多用して基礎的な知識を問う総合問題である。A・B2つの分野を組み合わせており、全体として標準的な大問である。

問1 時差計算に関する文章の空欄補充組み合わせ。方位に注意。

問2 4地点の土壌を説明する文章の判別。J付近はチェルノーゼム。

問3 4地点の季節別降水量グラフの判別。ケ付近は南半球のサバナ気候。

問4 3地点のプレート境界に関する説明文の判別組み合わせ。海嶺と海溝の区別がポイント。

問5 4地点の景観写真の判別。チはタワーカルストの桂林(コイリン)。

問6 自然災害に対する備えに関する文章の正誤判定組み合わせ。常識問題。

問7 日本各地の気象に関する統計地図の判別組み合わせ。ラとルの判別が鍵。

問8 新旧地図による変化や予測に関する説明文の判別。複雑に見えて単純。

【第2問】世界の生活・文化

4年続けて同じ分野からの出題であった。標準的な知識を活用することで高得点を目指したい。

問1 3作物の供給量に関する統計地図の判別組み合わせ。ライ麦は寒冷地。

問2 4カ国の品目別食料供給に関するグラフ判別。熱帯アフリカは芋類。

問3 各国の民族や宗教に関する説明文の正誤判定。④は昨年のW杯で見た?

問4 3カ国の使用言語に関する表の判別。いずれも頻出の多言語国家。

問5 異なる宗教を信仰する隣国ペアの選択。ヒンドゥー教とイスラーム。

問6 日本の都市と姉妹都市提携する4都市の説明文判別。嘘は饒舌になる。

問7 世界遺産に関する文章の空欄補充組み合わせ。ダージリンは紅茶の銘柄。

【第3問】ヨーロッパ地誌

「新大陸」からの出題が3年続いていたが、本年は2006年以来のヨーロッパが取り上げられた。やや細かい地誌の知識が必要となる。

問1 4地点の地形に関する説明文の正誤判定。スカンディナビア山脈は古期。

問2 4地点の雨温図判別。イは年中偏西風の影響下にある西岸海洋性気候区。

問3 食文化・農業生産に関する説明文の正誤判定。夏は高地が過ごしやすい。

問4 4カ国の発電源割合グラフにおける発電源の判別。全て特徴のある国。

問5 4カ国の賃金水準と乗用車生産との相関・変化の統計判別。面白い1題。

問6 住民がカトリックを信仰する国の選択。ラテン系民族。単純な設問。

問7 4都市の水辺の景観写真の判別。ドックランズの再開発は頻出事項。

【第4問】世界の結びつきと地球的課題

3年続けて「地球的課題」と「世界の結びつき」との組み合わせで出題された。6問中5問が統計の判定であり、時間をかけて丁寧に解きたい。

問1 4空港に関する統計データの判別。韓国は国土が小さいので・・・。

問2 4カ国間の訪問客数を示す流線図における国名判別組み合わせ。米英の関係の深さが決め手。

問3 経済水準と送金受取額に関する相関図の判別。貧国は出稼ぎ者が多い。

問4 3指標の統計地図の判別組み合わせ。カ・キの判断を丁寧にしたい。

問5 プラスチックごみの排出量グラフの判別。②と③の判別がポイント。

問6 世界の環境問題への取り組みに関する文章の正誤判定。用語に注意。

【第5問】地域調査(山梨県甲府盆地周辺)

例年通り地理A(第5問)との共通問題である。会話文形式の出題が定着した一方で、3年続いて新旧地形図の比較が出題されなかった。全体として、常識で対応できる取り組みやすい問題が並んでおり、取りこぼしは避けたい。

問1 3地点の気候に関する資料の判別組み合わせ。頻出の内容・形式。

問2 鳥瞰図における方位選択。特別な知識は不要で、きわめて易しい。

問3 地形図中の土地利用に関する説明文の正誤判定。4つとも決めれば楽。

問4 養蚕業に関する資料に関する会話文の適語補充。常識で判断可能。

問5 小売店の分布を示す統計地図に関する説明文の正誤判定。読めば分かる。

問6 人口統計に関する説明文の正誤判定。人口増加=社会増加+自然増加。

2019年度

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全体概観

分量・形式・出題分野・難易度、いずれも前年並みだった。

難易度:昨年並み

分量

大問数は例年通り5題である。設問数とマーク数は前年同様、ともに34である。

形式

組合せ式の設問は前年(12問)並みの11問(6択式9、4択式2)。図版数は前年(28点)から増えて30点となったが、そのうち写真資料は前年と同じ4点であった。

構成と内容

各大問の設問数・解答数、配点は前年から変わらなかった。
第1問は3年続けてAとBに分かれ、Aは「地理の基礎的事項」、Bは「日本の自然環境と防災」であった。第2問も前年と同じ「世界の生活・文化」に当てられた。
第3問の地誌の大問では、2017年にも出題された「南アメリカ」が扱われた。
第4問は前年同様に「世界の結びつきと地球的課題」の分野から出題された。
第5問は、例年通り地理B(第6問)との共通問題となる「地域調査」であった。

難易度

いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる。常識的に判断しやすい設問も散見されたものの、やや細かい知識を要する設問も多く、難化した前年並みの難易度だったと思われる。

設問別分析

【第1問】地理の基礎的事項および日本の自然環境と防災

例年と同様に、図や写真などを用いて基礎的な知識を問う総合問題である。A・B2つの分野を組み合わせているが、全体として標準的な大問である。

問1 4地点の特徴的な地形に関する文章の正誤判定。
問2 4緯線上の年降水量を示すグラフの判別。標準的。
問3 国家や領域に関する文章の正誤判定。易しい。
問4 3地点の日の出・日の入りに関する資料の判別。
問5 GIS(地理情報システム)に関する文章の正誤判定。考えにくい。
問6 日本の4地点におけるイチョウ黄葉日の資料の判別。勘違いに注意。
問7 GISの災害対策における活用に関する文章の正誤判定。
問8 自然災害の対策用施設の写真の判別。常識的に判断したい。

【第2問】世界の生活・文化

前年と同じ分野からの出題であった。基本的な知識の運用で高得点を目指したい大問である。

問1 4地点の祭礼・伝統文化を示す写真の判別。背景の景観にも注意。
問2 2カ国の国章に関する説明文の判別。地理Aらしい設問である。
問3 3カ国の水資源に関する統計の判別。日本とメキシコで迷いやすい。
問4 イモ類生産量の統計地図の判別。タロイモとキャッサバの判別が鍵。
問5 訪日外国人旅行者の統計グラフに関する文章の正誤判定。易しい。
問6 国境と民族・国民のかかわりに関する文章の正誤判定。
問7 各国の文化に関する文章の正誤判定。正しい用語の理解が必要。

【第3問】南アメリカ地誌

2017年に出題されたばかりの南アメリカが扱われ、3年続いていわゆる「新大陸」からの出題となった。

問1 4地点の雨温図の判別。頻出タイプの問題である。
問2 4つの世界遺産登録地域の景観写真の判別。景観から判断できる。
問3 アンデス山脈における高度別の農畜産物生産に関する資料の判別。
問4 漁業および畜産業の生産統計における国名判別。
問5 鉱産資源の産地分布図における凡例の判別。標準的。
問6 スペイン語を公用語とする国の選択。単純な形式の設問である。
問7 ブラジルと日本の人的交流に関する文章の正誤判定。

【第4問】世界の結びつきと地球的課題

第4問は例年、「地球的課題」に関する出題となっている。前年同様に「世界の結びつき」との組み合わせで出題された。標準的な内容だが、統計の判定には時間をかけて丁寧に解きたい。

問1 加盟国中にOECD加盟国を含まない国際機構の選択。
問2 4カ国の交通機関に関する統計表の判別。4カ国とも判定したい。
問3 携帯・固定電話の普及率に関する国名選択。近年頻出の主題。
問4 4カ国の高齢者人口割合推移の統計グラフの判別。やや難。
問5 人口・移民等に関する統計地図の判別。イとウの判定が難しい。
問6 発展途上国の都市問題に関する文章の正誤判定。慌てずに判断したい。

【第5問】地域調査(宮崎市)

例年通り地理B(第6問)との共通問題である。2年続いて新旧地形図の比較が出題されず、地形図読図のウエイトが低下している。全体としては標準的な難易度の大問である。

問1 3都市の交通の発達に関する資料の判別。ユニークな題材である。
問2 宮崎市の観光統計に関する説明文の正誤判定。特別な知識は不要。
問3 地形図と景観写真に関する説明文の正誤判定。
問4 土地利用を示した新旧数値地図に関する説明文の正誤判定。
問5 市町村別農作物生産を示す統計地図の判定。
問6 口蹄疫に関する会話文の適語補充。過去の出題と比較して斬新な内容であった。

2018年度

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出典:東進ドットコム

全体概観

図表の点数が大幅に増加し、やや難化か。

難易度:やや難化

分量

大問数は例年通り5題である。設問数とマーク数は前年同様、ともに34である。

形式

組合せ式の設問は前年(10問)から大きく増えて16問(6択式12、4択式4)となった。図版数も前年(25点)から大きく増えて35点となったが、そのうち写真資料は4点であった。

構成と内容

前年同様に第1問がAとBに分かれ、Aは「地理の基礎的事項」、Bは「日本の自然環境と防災」であった。第2問も前年と同じ「世界の生活・文化」に当てられた。
第3問の地誌では、「オーストラリア」が扱われた。
第4問は例年通り「地球的課題」の分野から出題されたが、一昨年と同様に「世界の結びつき」との組み合わせであった。
第5問は、例年通り地理B(第6問)との共通問題となる「地域調査」であった。

難易度

いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる。全体的に標準レベルの設問が多いが、資料の読み取りに時間がかかるだろう。難易度としては易化した昨年に比べてやや難しくなったと思われる。

設問別分析

【第1問】地理の基礎的事項および日本の自然環境と防災

例年と同様に、図や写真などを用いて基礎的な知識を問う総合問題である。A・B2つの分野を組み合わせているが、全体として標準的な大問である。

問1 地形における最高点と最低点の差に関する判定。やや難しい問題。
問2 2地点の気候グラフと作物の組み合わせ。ライ麦を除外できれば早い。
問3 旅客機の飛行時間と恒常風に関する判定。逆風になるのはどれか。
問4 地形図上の登山ルート判定。面倒だが1文ずつ確認していくこと。
問5 経線に関する文章の正誤判定。やや微妙な誤文を的確に選びたい。
問6 防災・減災に関する正誤判定。「正・正」「誤・誤」は選びにくいが…。
問7 地震の2タイプに関する正誤判定。①や②も知識ではなく理屈で判断。
問8 過去の絵図と災害の予測。常識を働かせて判断したい。

【第2問】世界の生活・文化

前年と同じ分野からの出題であった。基本的な知識の運用で高得点を目指したい大問である。

問1 生活と交通に関する文章判定。4都市とも判定しておきたい。
問2 住居に関する写真の判定。地理Aでは頻出のテーマである。
問3 動植物の油の利用に関する正誤判定。アブラヤシは熱帯に産する。
問4 家畜の分布に関する統計地図の判定。豚肉は宗教との関係も重要。
問5 砂糖やカカオ豆に関する空欄補充。基本的な知識である。
問6 世界の文字に関する正誤判定。隣国のことだが、やや判断しづらい。
問7 国ごとの宗教別人口統計。基本的な問題なので4つとも判定したい。

【第3問】オーストラリア

前年のラテンアメリカに次いでいわゆる「新大陸」からの出題。標準的な内容であった。

問1 4地点の雨温図の判定。頻出タイプの問題である。
問2 アボリジニーの文化に関する問題。ブーメランは狩りの道具であった。
問3 3都市の説明文の組み合わせ。首都選定に関する背景を知っておきたい。
問4 外国生まれの居住者に関する統計判定。白豪主義撤廃の背景を考える。
問5 地下資源産地の分布に関する統計地図の判定。鉄鉱石は安定陸塊。
問6 土壌の塩性化に関する文章正誤判定。②の地名はやや細かい。
問7 観光と人的交流に関する文章正誤判定。文中の用語の理解が前提。

【第4問】世界の結びつきと地球的課題

第4問は例年、「地球的課題」に関する出題となっている。一昨年同様に「世界の結びつき」との組み合わせで出題された。標準的な内容だが、統計の判定には時間をかけて丁寧に解きたい。

問1 日本の輸入貿易に関する流線図の判定。米国以外の国が判定の鍵。
問2 食料問題に関する正誤判定。誤りの内容が明白である。
問3 森林に関する統計の判定。薪炭材の意味を知っておきたい。やや難。
問4 国際線運航便に関する図の判定。面白い題材だが、判別は難しい。
問5 日本の都市問題に関する正誤判定。用語に惑わされないようにしたい。
問6 ODAに関する統計判定。植民地支配の歴史を想起して判断する。

【第5問】地域調査(岐阜県高山市)

例年通り地理B(第6問)との共通問題である。設問数は、昨年一つ増えたものが、元に戻されて6問となった。例年出題される新旧地形図の比較がなかった。全体としては標準的な難易度の大問である。

問1 3都市の気候判定。日本海側・太平洋側・内陸の特徴をつかむ。
問2 統計地図における指標の意味が分かっていれば、常識で判断できる。
問3 会話文の判定。会話内容を丁寧に読解しないと混乱しそうである。
問4 地形図の判読。基本的な地図記号の知識で判定可能である。
問5 観光に関する統計の読み取り。下線部だけを見ていると間違いやすい。
問6 標高と植生帯との組み合わせ。一般的な理解を当てはめて考える。

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