センター試験速報 数学Ⅰ・数学A

2020年度

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全体概観

大問ごとの出題に大きな変化はないが、一般的な事柄や、個々の事象に対する確率の正誤判定を行う問題が出題されたことが目新しい。

難易度:やや易化

数学I分野の第1問は3問、第2問は2問の中問に分かれ、第2問[2]の「データの分析」では、昨年と同様にヒストグラム、箱ひげ図、散布図の読み取りを中心とした問題が出題されたが、一般的な事柄の正誤判定を行う問題も出題された。第3問の「場合の数と確率」は、2つの中問に分かれ、[1]では、個々の事象に対する記述の正誤判定を行う問題、[2]では、これまでと同様の形式の確率の問題が出題された。第4問の「整数の性質」は、まず10進法で循環小数を分数で表し、同様の流れで7進法の循環小数について考える問題であった。第5問の「図形の性質」では、チェバの定理、メネラウスの定理などを利用する問題が出題された。大問数の変化はなく、分量も大きく変わっていないものと思われるが、計算量が全体的に減少したため、昨年よりも取り組みやすかったものと思われる。

設問別分析

【第1問】 2次不等式・集合と命題・2次関数
[1](数と式)

直線の傾きやx切片の符号の条件から2次不等式を解く問題。(2)で分数式が現れるが、本質的には分子の2次式の符号を考えることで解決する。

[2](集合と命題)

3つの数の倍数の集合について、包含関係を考察する問題。4、6、24の最小公倍数である24までの自然数の分布を考えることで結論が得られる。(3)で与えられている値が選択肢のいずれの命題についての反例であるかを問われており、目新しい。

[3](2次関数)

放物線の平行移動に関する問題。放物線の軸と頂点を正しく求めることができれば、解きやすいと思われる。

【第2問】 図形と計量・データの分析
[1](図形と計量)

三角形が与えられ、それぞれの角の三角比や辺の長さなどを求める問題である。角の二等分線の性質を利用できるかどうかがポイント。

[2](データの分析)

(1)は個々の事柄に対する正誤判定を行う問題、(2)は平成27年の男女の市区町村別平均寿命のデータを利用したデータの分析の問題である。47都道府県のデータが箱ひげ図で与えられている。与えられた散布図を正確に読み取り、平均寿命の差のヒストグラムを選択する問題は、目新しい。

【第3問】 場合の数と確率 (選択問題)

[1] 選択肢の中で正しい記述を指摘する問題。これまでにはない出題形式である。それぞれの選択肢について、確率を丁寧に求めていけば難しくはない。

[2] コインを投げ、表裏で得点の増減がある試行に関する問題。(3)までは個々の事象に関する確率の計算、また、(4)で条件付き確率に関する出題があった。典型的な問題である。

【第4問】 整数の性質 (選択問題)

n進数の循環小数に関する問題。(1)で簡単な場合である10進数の計算を行い、これをヒントに(2)で7進数の循環小数に関する考察を進める。1次不定方程式の整数解を決定する問題に帰着される。題意が読み取れれば計算は少ないが、躓く受験生も多かったことだろう。

【第5問】 図形の性質 (選択問題)

線分比と面積比、角の大きさの関係などを、平面図形に関する基本的な定理から導く問題。チェバの定理、メネラウスの定理などの基本的な定理を正しく運用していけば解き進められる。標準的な内容である。

2019年度

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全体概観

大問ごとの出題に大きな変化はないが、第3問から第5問の選択問題で選択肢から答を選ぶ問題が出題されなかった。

難易度:昨年並み

昨年と同様、数学I分野の第1問は3問、第2問は2問の中問に分かれ、第2問[2]の「データの分析」では、箱ひげ図、ヒストグラム、散布図の読み取りを中心とした問題が出題された。第3問の「場合の数と確率」は、4年連続で確率のみの出題となった。第4問の「整数の性質」では、一次不定方程式の整数解と、それを利用した連続3整数の決定がテーマの問題が出題された。第5問の「図形の性質」では、チェバの定理などを用いる問題が出題されたが、三角比の値が与えられているところが目新しい。大問数は変化なく、分量も大きく変わっていない。

設問別分析

【第1問】 数と式・集合と命題・2次関数
[1](数と式)

根号、絶対値を含む式の整理と、これを含む方程式の解を求める問題である。根号と絶対値のそれぞれの性質を正しく理解できているかが試される。絶対値を外す際に場合分けの条件を満たすか否か、確認することを忘れないようにしたい。

[2](集合と命題)

2つの自然数の偶奇に基づく条件に関し、必要条件・十分条件の判定を行う問題である。比較的平易な出題であり、pの否定を正しく書き出しておけば難しくない。

[3](2次関数)

文字の定数を含む方程式で表された2次関数のグラフに関する問題。(1)では頂点を求め、(2)では与えられた条件から定数a,bを決定し、そのときのグラフの平行移動を考える問題である。計算ミスにさえ注意すれば平易である。

【第2問】 図形と計量・データの分析
[1](図形と計量)

三角形が与えられ、それぞれの角の三角比や辺の長さ、面積を求める問題。前半の計算の結果から、点同士の位置関係を正しく理解し、図示することが後半を解ききるポイント。

[2](データの分析)

ソメイヨシノの開花日、モンシロチョウやツバメの初見日についての分析結果に関する問題。箱ひげ図やヒストグラム、散布図の基本的な見方を理解していることが大切である。また、後半は変数の変換に伴う平均値や標準偏差の変化に関する理解が求められる。

【第3問】 場合の数と確率 (選択問題)

最初にさいころを1回投げて出た目によって赤い袋か白い袋を選び、その中から球を取り出すときの確率の問題である。2回目以降は、最後に取り出された球の色による確率計算になる。結果が煩雑なので、丁寧に計算を行う必要がある。

【第4問】 整数の性質 (選択問題)

一次不定方程式の整数解を求める問題からスタートし、最終的には連続する3つの自然数の積が6762の倍数となるための条件を考える問題。誘導は丁寧だが、最後の設問につながる意図に気づかなければ解きにくいかもしれない。

【第5問】 図形の性質 (選択問題)

三角形とその内接円に関する問題である。第5問としては珍しくsinやcosの値が与えられており、それにより面積計算などを行う。しかし、問題としては頻出タイプであり、図を丁寧に描いて考えることができれば標準的である。点Qが円と三角形の接点に一致することに気づきたい。

2018年度

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全体概観

大問ごとの出題に大きな変化はないが、正誤の組み合わせや、数値間の大小関係等を選択肢から選ぶ問題の出題が多くなった。

難易度:やや難化

昨年と同様、数学Ⅰ分野の第1問は3つ、第2問は2つの小問に分かれ、第2問[2]の「データの分析」では、散布図、ヒストグラム、箱ひげ図の読み取りを中心とした問題が出題された。第3問の「場合の数と確率」では、3年連続で確率のみの出題となり、積事象の確率や条件付き確率が出題された。第4問の「整数の性質」では、自然数の正の約数の個数、一次不定方程式の整数解がテーマの問題が出題された。第5問の「図形の性質」では、昨年と同様、角の二等分線の性質、方べきの定理、メネラウスの定理などを用いる問題が出題された。大問数は変化なく、分量も大きく変わっていないが、正誤の組み合わせや、数値間の大小関係等を選択肢から選ぶ問題が多く出題された。

設問別分析

【第1問】 数と式・集合と命題・2次関数
[1](数と式)

誘導で与えられた等式と式の置き換えを利用して式変形を行い、整式Aの値を求めさせる問題。誘導の等式でn=0、1、2を代入した形がAに現れていることに着目して式変形を行う。誘導の意図を素早く読み取れたかがポイント。

[2](集合と命題)

前半は、3つの集合A、B、C間の包含関係、共通部分、和集合に関する正誤の組み合わせを答える問題。後半は、xの不等式の解に関して、必要条件・十分条件の判定を行う問題。どちらも、集合の要素やxの範囲を具体的に書き出せるので、落ち着いて取り組めば難は無い。

[3](2次関数)

2次関数の最大値・最小値問題である。最高次の係数に文字aが含まれていることから、計算が少々煩雑になる。最大値・最小値を求める考え方自体は標準的なものである。

【第2問】 図形と計量・データの分析
[1](図形と計量)

四角形の辺と対角線の長さが与えられたときの図形の計量を行う問題。四角形が台形になったときに辺の長さと垂線の長さを比較することで、平行な辺の組を求めさせる問題は目新しい。

[2](データの分析)

前半は、種目別・男女別の身長および体重に関するヒストグラム、箱ひげ図、散布図から読み取れることがらの正誤判定をさせる問題。後半は、2つのデータの偏差の積の和を式変形させる問題。中央値、四分位範囲、四分位数など、基本的な用語の意味が正しく理解できているかがポイント。

【第3問】 場合の数と確率 (選択問題)

大小2個のさいころを投げて出る目について、3つの事象A、B、Cが与えられており、それらを利用した条件付き確率を求めたりする問題。出る目は全部で36通りしかないことから、全て書き出す方法でも時間はかからないであろう。2つの事象B、Cが同時に起こらないことに気づき、それを利用できるかどうかがポイントである。

【第4問】 整数の性質 (選択問題)

144を素因数分解し、その正の約数の個数を求める問題、そして144を係数にもつ一次不定方程式の整数解を求める問題、そしてその結果を利用して、正の約数の個数から元の数を求める問題である。数値計算も難しくないので、直接数値を入れてみて検証するような方法でも時間はかからないだろう。

【第5問】 図形の性質 (選択問題)

三角形と円が絡んだ問題であり、方べきの定理やメネラウスの定理を利用して長さや比を計算していく。角の二等分線の性質から、内分比などが計算できる。長さの比の大小関係を比較することで、交点が図形のどちらの側にできるのかを問う問題は目新しい。

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