「考えることを止めない」ということ

絵本「動物会議」(写真は小型版でタイトルは「どうぶつ」とひらがなになっています)と展覧会パンフレット
絵本「動物会議」(写真は小型版でタイトルは「どうぶつ」とひらがなになっています)と展覧会パンフレット

こんにちは、秀鈴です。

暖かい日も多くなり、我が家の猫様・すずりさんは、毛が夏毛に変わる換毛期に入りました。

すずりさんが動くたびにフワフワした冬毛が部屋を舞い…、花粉症でもないのにくしゃみを連発する毎日です。

ある展覧会を通して改めて考えた戦争について

さて、私が担当する業務の一つに、小学生向けイベント情報コーナーがあります。
このコーナーでは、主に小学生のお子さま、そして保護者のみなさまが楽しみながら参加できるイベントや、学習に役に立つオンラインコンテンツなどの情報を中心に、毎週3〜4件ほど紹介しています。

これまでさまざまなイベント情報をご紹介してきましたが、そのなかには個人的にも実際に「参加したい!」「観に行きたい!」というものもあり、本当に、実際に行ってみることもしばしばありました。
最近では、3月18日に掲載した「どうぶつ会議展」(立川市の「PLAY! MUSIAM」で4月10日まで開催)という展覧会に行ってきました。

この展覧会は、ドイツの詩人であり作家、エーリヒ・ケストナー、挿絵を担当したヴァルター・トリアーによって書かれた絵本『動物会議』がもとになっています。(この2人は『エミールと探偵たち』をいう本も書いています。大人世代には懐かしい本では?)
『動物会議』は、会議はやるけど争い事をやめようとしない(やめられない)人間の大人たちに、あきれ、そして怒った世界中の動物たちが団結し、「子どもたちのために!」というスローガンのもと、動物会議を開くというストーリーです。出版されたのは第二次大戦後の1949年。まだ戦争の記憶も生々しく残っているような時代です。日本では1954年に発売されました。

展覧会では『動物会議』を8つの場面に分けて、8人のアーティストたちによって、絵や映像などのインスタレーションで表現されています。

作品の中で、個人的に特に印象に残ったのは、画家のjunaidaさんによる「闇の世界 夢の世界」という5つの絵で構成された作品でした。それぞれの絵には「NO BORDER」「NO WAR」「FOR PEACE」「FOR US」「FOR FUTURE」の文字が大きく描かれ、今起こっている世界の状況とも相まって、しばらく絵の前から離れることができませんでした。

また、今人気のイラストレーター・ヨシタケシンスケさんによる、原作では描かれない動物会議が終わったあとの様子を子ども側の視点で描いた作品群も、「そうだよな」と思いながら見ていました。
(どんな作品かは実際の展覧会で、ぜひ)

この原稿を書いている今現在、連日トップニュースで流れてくるのはロシアによるウクライナ侵略のニュース。胸が痛むような状況を目にするようになってしまいました。
戦争が辛く、悲しいことしか生み出さないということを、私たち大人は、さまざまな作品や体験談を見聞きした経験からも学んできているだけに、このようなことが起こるたび、なぜ戦争が起こってしまうのか、起こしてしまうのか、止めるためにはどんなことが必要なのか、そもそも何か大事なことが抜け落ちているんじゃないか? ということを考えます。
もちろんこのようなことを、戦地より遠い場所にいる、1人の外国人が考えたところで、何かが劇的に変わるものではないと思います。でもこの「なぜ」を考えることを止めてはいけないのではないか、この展覧会を通して、改めてそう思う機会になりました。

(「どうぶつ会議展」については「小学生向けエデュ厳選!リアル&オンラインイベント、学習支援コンテンツ」ページにてご紹介しています)