【第4回:算数が得意になる学習法】受験のプロ教師が算数の学習法を伝授(2ページ目)

速さ

3つ目に、「速さ」です。
「速さ」は一にも二にも図です。線分図やダイヤグラムを書いて解きましょう。図に必要な条件を書き込んで、速さ・距離・時間の比、をいかに駆使するかで8割がた解けます。なお、8割がたと言っていますが、正解を出すための図が書けるようになるまで、それ相当の演習量が必要です。

「速さ」には、旅人算、通過算、流水算、時計算があります。大きく分けるとこの4つです。
よくテキストや参考書にほかのテーマとして、周回算やダイヤグラム、角速度もありますが、これらは先に挙げたテーマに含まれます。
周回算は旅人算の一部です。多くの旅人算は、2地点間の設定で問題を作成されているのに対し、周回算はその2地点をくっつけて円周にしたもの。よって、多くは直線の線分図でカバーできます
角速度は同じ円周上の動きですが、距離を角度として捉えるので時計算です。
ダイヤグラムは「速さ」全般に適用される解法の一つです。旅人算であれ、流水算であれ、往復移動や出会いや追い越しの回数を調べるのに適しているため、問題に応じて書きます。
したがって、ダイヤグラムを1つのテーマとして変に独立させるより、線分図とダイヤグラムの両方で解く練習をすれば抜群に効果的で、各々の解法も相乗的に理解できます。面倒くさがらずに図を書くようにすれば、そのうち安定的に「速さ」で点が出ます。

平面図形・立体図形

ラストは、「平面図形」「立体図形」です。
図形は範囲が広く、入試での配点や塾のテキストに割かれるページ数でも算数全体の約半数にも及ぶほどの量です。それだけ範囲が広いというだけでなく、空間把握力を苦手とする生徒がいかに多いかという表れと言えます。
僕は浪人生も含めて、現在大学受験生にも数学を教えていますが、それくらいの年齢になっても「幾何(図形)は本当にキライ」と生徒はよく言っています。つまり、どの年代でも図形が得意な子は少なく、実際模試などのデータでもほかの分野より明らかに点が低い傾向にあります。
その原因は、自分で作図をしないことです。図形が苦手な子のほぼ全員、図が書けません。ここで言う図とは、“解くための図”です。
ぜひ、図を自分の手で書かせる癖をつけてほしいと思います。問題に与えられている図をそのままノートに写して、“よっこらしょ”と腕組みして考えるのは良くありません。まず、問われているモノ(長さ・面積・角度など)を求めるために何を使うのか?
相似? 合同? 平行線は何に関係しているか? と図の方々に目を走らせ、焦らず正確に図を書くようにしましょう。
このときは、必ず3色以上のマーカーを使って、視覚的にも図形にメリハリを持たせて書くとその残像の蓄積が力となって、いざテストのときに難問に出くわしても「あ!」と氷解できるはずです。

そしていざ算出していく際、先に触れた「割合と比」が活躍します。
特に、円が絡む問題では円周率がつきものなので、どうしても煩雑な計算が出てきます。その際、比であっさりと料理して、手持ちの解説よりスマートな解答を作ってほしいです。「なんだ、解答より自分のほうが全然簡単に解いているぞ!」となれば、俄然自信となって着実に実力が上がっていきます。

州崎 真弘先生のプロフィール

中学受験算数/数学講師、受験Lab 代表。授業一本で生徒と向き合い、型にはまらない授業スタイル・生徒を引き付ける独特の口調での解答へのアプローチは、ほかの講師と一線を画し、内容はもちろん、楽しさと厳しさで振り向かせる授業を展開する。『州崎先生の授業は休みたくない』と常に高い人気と支持を集める。開成中、灘中をはじめとすると難関中学志望者、医学部受験を目指す大学受験生を中心に、キャリアアップを目指す社会人や大学生まで、28年以上で指導した生徒は4800名を超えている。現在は受験Lab代表として、中学受験の算数Web講座・オンライン授業・リモート個別指導・添削指導の他、保護者向け受験コンサルティングなど、トータルな受験指導者として活動している。

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中学受験をするために、塾通いをしているものの、勉強量の多さに圧倒され、宿題も手つかず、復習も中途半端で知識が定着しないお子さまに向けて、効率的で成績が伸びる学び方を指南。受験の要である「算数」の学び方を軸に、家庭での勉強法や塾の活用法、過去問の解き方など、中学受験のプロ・州崎真弘先生が「受かる勉強」のコツを具体的に教えます。

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