無理して東大行く意味ってあるんですか？｜掲示板スレッド

研究の道様に少し伺いことがあります。

バイオに関しては、(東大に限らずということでしょうか)医学部とのことですが、私の最近の見た限りでは、化学会社に限らず、電機、自動車、食品医薬品会社、他当然エネルギーやインフラも含め、研究から商品開発需要は高いと感じています。

これらに携わる人、また研究の道を進んでいる人は多くが医学部とは限らず、ケミカル系の、あるいは書かれている東大だけでなく農学部出身者も多いのではと思ってます。

という以前に、なかなか医学部出身者は、企業病院とか産業医以外に、企業の研究開発部門に、そもそも多く?いるのか、という疑問がありますが。

バラード様

おっしゃることは、たぶん、正しいです。
いくつかの要素があります。

まず、バイオ研究者の生産？について
２０００年前後のバイオブームと、ポスドク１万人計画で、バイオ系博士は、爆発的に増加しました。

しかし、研究者の需要、という面で考えると、バイオブームの前の、理学部、薬学部、農学部などの卒業生の数で、今のバイオ研究者需要は充足している、と、大雑把には言えるでしょう。バイオブームに踊ったのは大学だけで、産業界は、そちらに（急速には）動きませんでした。

今のところ、バイオ系の専攻でも、下記の２つの進路であれば、何とかなりそうな気がします。

東大などの超一流のバイオ系学科（修士など）から、製薬会社など企業の研究者としてバイオ研究を継続する
同じく（超でなくてもいいけれど）一流の工学系学科から、分析装置や診断装置や機器の開発からバイオにアプローチする

これであれば、何とかなるかな（それでも、競争率は高く、電子工学や機械工学や情報工学から一流メーカや文系就職するよりは大変）という感じがしています。

問題はアカデミアで、ここでは、医師と非医師が、同じポストを争うことも少なくありません。ここで、すぐに臨床に応用できないような基礎研究のポストであれ、医師が勝つことが多いです。正規ポストは、十年単位の雇用になるので、ゆくゆくは臨床応用を期待（または、もっとプラクティカルに、臨床応用をうたった研究プロポーザルには格段に研究費が集まりやすいし、非医師は臨床応用はできません）という事情があります。

一方、医学部には基礎医学の講座があり、その口座数は、全講座数の３割か４割くらいあります。医学部幹部は、基礎医学の教員も医師にすることを希望しています。しかし、臨床医の処遇が良すぎ、基礎医学を志望する学生は、超一流の医学部であっても多くて１年に１人か２人、中堅以下の私立医学部ではゼロ、という感じで、基礎医学講座の医師は枯渇気味です。従って、まともな研究能力のある医師が基礎医学をやる決心をすると、かなりの高確率で、どこかの医学部の基礎医学講座の正規ポストを得られます。

医師が、企業の研究部門にフルタイムで勤務する例は、今のところ、かなり例外的存在と思います。希望すればかなうかと思いますが、特段の興味が無い限り、進路として考慮する必要はありません。

こんなところで、お答えになっていますでしょうか。

＞まじめにやってれば行きたいとこ行けます。
＞ 大学入試終わったら遊びくらしたい、という人には向かない学校ですが。

今、話をしているのは、無理して東大に入る生徒の話

無理をした反動で、大学入学後、勉強以外に活動の場を求め、学業が疎かになる可能性が高くなる。

学部にもよりますが、人気の高い学科の評点は高く、希望しても届かないことは毎年起きていることです。

例をあげておきましょう。

オボちゃん問題で揺れた理研、研究員３０００人を擁する大研究機関です。
しかし、正規雇用の研究員ポストは４００弱しかありません。
２０００人以上の非正規研究員で成立しており、理研の非正規研究員は、理研の正規研究員になるチャンスはほとんどありません。
そして、ほとんどの非正規研究員は、バイオ系の研究に従事しています。

オボちゃんも、リーダーでしたけれど、５年契約の非正規ポストでした。

山中先生の京大IPS細胞研究所、２００人を超える俊英が研究していますが、９割は、非正規雇用です。山中先生が、ノーベル賞受賞後に、にこりともせずに、研究員の安定雇用が必要、と繰り返したのは、こういう背景があります。
政府は山中先生の研究所に巨大な研究費を投下し、この研究費の中で、比較的長期、５年や１０年の有期雇用ポストをつくれるようにしたようです。
世紀の教授や准教授のポストは増えません。

というような状況ですので、医師でない方は、バイオ系アカデミア、正規ポスト１００人に一人の世界に入る前に、ちょっと考えてください。

大学入試で学歴、学校の名前さえ手に入れてしまえば、もう勉強したくない、という人には進振りは厳しいでしょうね。
そういう意味で、同じことを言っているのだと思います。
ただ、受験学力的にギリギリであっても、希望する学科にどうしても行きたい、というやる気と根性がある人は、進振り大丈夫ですよ。授業をまじめに受けて、試験勉強すれば、平均７５までは大丈夫です。８０は苦しいでしょうね。だから、普通の人気学科なら大丈夫と言っています。

東大にはいって力尽きるようなら、入らないほうがいいでしょう。
そんなに甘い大学ではありませんし、教官側に、落ちこぼれを救済しようという考えはほとんどありません。
自分の研究室に来て、研究室の業績のかさ上げする可能性のある学生にしか興味がない、というような教官が多数派でしょう。

進振りについては、なぜそのように心配されるのか、心配のし過ぎです。

たとえば、建築、土木、獣医など、特殊な分野を絶対にやりたいのであれば、駒場時代に手を抜きすぎると危ないかも知れません。

しかし、進振りの点数と、その学科の学会における強さ、官界への影響力、産業支配力の間には、ほとんど何の相関もありません。

たとえば電子情報系、私の時代には中位の人気でしたが、今は、ほとんど誰でも行ける点数と聞きました。
ここ、半導体物理もできるし、レーザー光学もできるし、情報処理もできるし、ネットワークも電力もできます。信じられない巨額の研究費が流れ込んでいます。
官界は言うに及ばず、重電、家電、インフラなどの業界への影響力もすさまじく、多くの社長を輩出しています。
相当に低い成績でも、進学できますよ。

東大に行っても疲れそうだからやめとく、というのは、まだ理解ができるのです。下位には冷たい大学ですから。
進振りは、東大を忌避する理由にはなりえないと考えます。

研究の道　先生

興味深く拝読させております。
息子の話によると、確かに先生のおっしゃる通り、
８０％以上の理Ⅲ生は臨床希望のようです。

息子は脳神経外科に興味を持っているようで、
この辺の成功可能性・将来性など、教えて頂きますでしょうか。

進振はともかく、東大はある程度自信がないと行くべきではないでしょう。

子供が受験について言っていたのは、「受験は簡単。東大合格レベルかどうかを争うだけのものだから」でした。

一方、合格後の争いにについては、「受験ほど簡単じゃない。相手も東大生だから」でした。

受験の段階で四苦八苦しているようなら、あまりお勧めできない大学です。