反抗期は親目線でしかない!?正しく理解すれば怖くない【反抗期を科学する・1】(2ページ目)

科学で理解するってどういうこと?

子育て、教育の話に『科学』というと、場違いに思う方が多いかもしれません。でも、そうじゃないんです。子育て、教育にこそ科学が必要です。

なぜなら、子育て、教育は、全ての人が子ども時代に体験し、そして親になった人全てが当事者になるからです。その結果、誰もが、自分はこうだった、ああだった、わが子はこんな風だった、と言いたい放題になるのですが、ここに科学が登場する理由があります。

というのは、子育ては全ての人が当事者であるがために、それぞれ言い分がありますよね? でも、そこには、その子ども、その親だけに当てはまる特別な要因があるんですよ。

東京大学

たとえば、東大に一発で合格した人の話を一般化する(誰にでもあてはめる)のは、かなり乱暴でしょう(おそらく環境もDNAも違うでしょうし…)。同様に、すごく大変な環境から成功した人の話も、それを自分の子育ての参考にするのは違いますよね(興味深いことではありますけど)? こんな風に、経験則を一般化するのは難しいし、乱暴なので、そこに「科学」を使わなければなりません。

海外では科学を使うのが当たり前

科学は、たくさんの、ホントにたくさんのデータを偏りなく集め、本当の本当に言えることは何かを明らかにします。
しかも、子育て、教育の分野の科学って、諸外国ではとてもとても使われているのです!(びっくりしますよ!)

さて、これから反抗期、もとい、思春期の話をしていきますが、このとき重視するのは、科学です。たとえば、科学的に思春期とは何かと考えたとき、実は脳の発達を語らなくてはいけません。「反抗」という子どもの行動を科学的に考えると、家庭、保護者の態度といった「環境」について考慮する必要が出てきます。

科学は子育て、教育を整理するのにピッタリな道具です。これから一緒に学んでいくことができればと思っています。

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和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。