反抗期=思春期には終わりがある【反抗期を科学する・2】(2ページ目)

なぜ始まりと終わりがあるのか?

では、さらに話を進めて、なぜ反抗期には始まりと終わりがあるのか、ということについて考えてみましょう。
「そんなの、当たり前だ」、「そういうものだ」としてもいいのでしょうが、ここに素晴らしく面白い回答があります。
反抗期=思春期は、脳の発達が作り出す、ということです。
詳しいことは次回、説明しますが、ここでは1つだけ、脳の成熟期の話をしておきましょう。

脳が大人になるのは25~27歳!?

脳が大人になるのは25~27歳!?

これまでの脳の研究により、ヒトの脳が成熟する、つまり大人になる時期が分かっていて、実は男性で27歳、女性で25歳と言われていますが、どう思われますか?

当然、個人差があります。
また、この年齢は、ヒトの脳が完成したときを言いますので、反抗期と言われるような行動の問題は、もっと以前、例えばその5年前(男性で22歳、女性で20歳くらい)に落ち着いてくると理解するといかがでしょうか。自分の体験や周りの様子を見ても、納得がいくと思うのです。
ここまでのことから、皆さんに分かっていただきたいことが2つあります。

親が理解しておきたい2つのこと

1つは、反抗期(思春期)とは、脳の発達に起因するものであり、そのため、誰にでも起こり得るということ。
つまり、いくら親が子どもをかわいがったとしても、素晴らしい子育てを実践してきたとしても、多かれ少なかれ、そうした時期が来ますし、発達の段階として当たり前のこと。逆にそうした時期が来ないのは困りものだということです。

もう1つは、最初にも書きましたが、反抗期(思春期)には必ず終わりがくるということ
まるでサナギが蝶になるように、子どもは反抗期を乗り越え、成熟した大人になってしまいます。そう考えると、発達段階としての反抗期は「やり過ごせばいい=終わりを待てばいい」と言うことができます。

しかし、いざ終わりが来てみると、反抗期という難しい時期でさえ、楽しい子育ての1ページです。やり過ごすなんて勿体ない、しっかりと向き合って、親子で葛藤し、互いに育ち合うというのがいいのではないか、と私は考えているのですが。

*次回の更新は8月16日(月)予定です。
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和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。