反抗期を安全に迎えるには?クールブレインを育てよう【反抗期を科学する・4】

反抗期には、「ホットブレイン」と「クールブレイン」のバランスが大きく関わっているとわかった前回。今回は、大人になってからでもできる脳のアンバランスに対応する方法を、公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田学先生に教えていただきます。

反抗期のリスクを軽減!

反抗期のリスクを軽減!

前回、クールブレインとホットブレインの話をしました。
感情を司るホットブレインが反抗期(=思春期)に暴走しがちになり、それを冷静な思考の脳であるクールブレインが抑えきれなくなっている、というお話です。
そうなると、クールブレインを鍛えておけばいいんじゃないか、という風になりますが、その通り、それが正解です。

反抗期が反抗期でなくなる!?

実際、クールブレインが強いと、反抗期が反抗期でなくなるかもしれません。いえ、どんな子どもも、多少はホットブレインが強くなってしまうのですが、それでもクールブレインがそこそこ育っていた方がいいに決まっています。思春期のリスクが減ります。
よって、思春期になる前にクールブレインを育てておくのは、非常に良いことだと思います。

皆さんは『マシュマロテスト』という心理実験をご存知でしょうか(とても有名ですし、本にもなっていますので、知っている人も多いかもしれませんね)。マシュマロテストとは、スタンフォード大学のミシェル博士が行った実験で、幼児の自制心を測定したものです。このとき、ミシェル博士らのグループは、幼児の前にマシュマロ(子どもの好きな甘いもの。マシュマロに限っていたわけではありません)を置いて、このように問いかけたのだそうです。

「私が戻ってくるまで待つことができれば、目の前にあるお菓子を2つあげる。我慢できなかったら1つで終わり」

マシュマロテストとは?

つまり、ホットブレイン(お菓子をすぐに食べたいという気持ち)を抑えて、クールブレインを働かせる(後から得するから今は我慢する)ことができるかをテストしたのですが、そのとき自制心を働かせることができたグループは、思春期に成功していることが多いという事実が、その後、判明したのでした。

もちろんこれは統計上のことであり、マシュマロテストを通過すれば必ず思春期に成功することを保証するわけではありませんし、逆にマシュマロテストで我慢できないと、思春期に大変であると言っているわけでもないのですが、それにしても気になる結果だと思いませんか。なぜなら、クールブレインは幼児期から育てられるし、そうした方がいい、というエビデンスを提供してくれるわけですので。