反抗期を安全に迎えるには?クールブレインを育てよう【反抗期を科学する・4】(3ページ目)

反抗期の子どもにも有効な手段

反抗期の子どもにも有効な手段

それから、クールブレインの発達は、言葉の発達と相関します。そのため、楽しいことをたくさんやったあと、親子で「今日、どんなことして遊んだの?」「何が楽しかった?」などと話をすることは、とても理にかなっているわけです。

もちろん、こうしたことは幼児期だけ有効なわけではありません。実は大人になってからも、クールブレインを育てることは可能ですし、そのためにはホットブレインをしっかりと働かせつつ、コントロールの機会を作ること、さらには言葉を使うことが重要になります。

繰り返しになりますが、言語発達とクールブレインの発達は相関します。いえ、言語発達はクールブレインの発達そのものだと言ってもいいかもしれません。

例を挙げましょう。
思春期の子どもたちに限らず、自分の気持ちを言葉で説明できる人は、つきあいやすいと思いませんか? 逆に、言葉にすることが難しい人こそ、怒ったり泣いたり、不安に陥ったりと困難な状況になると思いませんか?

自分の気持ちを言語化させよう!

クールブレインを育て、クールブレインを活性化させるためには、言葉がキーになります。

思春期の子どもたちの場合、ホットブレインが興奮しているときはなかなか難しいかもしれませんが、クールブレインが働き始めたと分かったら、やってみたらいかがでしょうか。
そのときの気持ち、状況、考えを言葉にするように励ますのです。場合によっては、こちらからこんな気持ち、こんなことを考えていたんじゃないの?と優しく手伝ってあげることもできます。

そうした働きかけを続けると、子どものクールブレインは、ゆっくりと、しかし確実に育っていきます。そして、クールブレインの発達は、その人の豊かで幸せな生活を支えることになるのです。

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■参考URL
The Science of Adult Capabilities(ハーバード大学)

和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)、『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。