反抗期の問題リスクになるもの ~危険因子と保護因子を知る【反抗期を科学する・7】

お子さまの反抗期の問題行動について「何がいけなかったのか…」と、ご自分を責めてしまっていませんか? 実は、これも世界中で研究されていて、ある程度の結論は出ているようです。「思春期の問題リスクを高めるもの」について、和久田学先生に教えていただきましょう。

反抗期の要因とは?

本連載のテーマは反抗期ですが、はじめにちょっとだけ、違う話につきあってください。

リスクは個人×環境

生活習慣病の1つに、糖尿病という病気があります。多くの方がご存知だと思いますが、糖尿病になる人には、ある程度、傾向があることが、様々な研究の結果、分かっています。

まずその人、個人にかかわることとして、遺伝の問題があります。両親、祖父母、家族の中に糖尿病だった人がいれば、その影響を受けてリスクが高まります。
次に環境にかかわることとして、その人の食生活やストレス、生活習慣などが関係します。当然、糖や脂肪、アルコールの過剰摂取、ストレスが多いこと、不規則な生活は糖尿病リスクを高めますし、逆にバランスが良く、腹八分目の食事、適度なストレスと規則的な生活習慣は糖尿病リスクを下げることでしょう。

つまり、糖尿病のリスクは、個人にかかわることと環境にかかわることの掛け算で決まるという風になります。
もちろん遺伝(個人)が100%決定する遺伝病というものもありますが、それは希なことであり、病気のほとんどが、個人にかかわることと環境にかかわることの掛け算で決まります。

いや、病気だけじゃありません。犯罪、年収、能力など、ヒトにかかわるほとんどの事柄が、そうなっていると考えていいと思います。

「子どもの学力」で考えると…

「子どもの学力」で考えると…

当然、子どもの発達についても、同様です。例えば、学力ですが、個人にかかわることとして、遺伝要因があります。皆さんもご存知の通り、両親の学歴はかなり大きな影響を与えます。「鳶が鷹を産む」ことは少なくて、「蛙の子は蛙」であることの方がずっと多いんです。

もちろん環境の影響も少なくないです。良い友達、良い教師、良い学校や塾に恵まれれば、それなりの成果があるはずです。また、家庭の経済状況も大きな影響を与えます。