反抗期は怖くない!反抗期を楽しむ3つの新・視点【反抗期を科学する・12】(2ページ目)

面白いところ2.反抗期の子どもは挑戦する!

反抗期の子どもの面白いところ2.反抗期の子どもは挑戦する!

以前、説明したとおり、反抗期の脳は、ホットブレインが強く、クールブレインのコントロールがききにくくなっています。(参照:反抗期を科学する・3)

そのため、情動が動きやすく、「怒り」「悲しみ」といったネガティブな感情だけでなく、「喜び」「興奮」「意欲」も強く出てきます。
その結果、思いも寄らぬことに興味を持ち、突っ走り、頑張ろうとする姿を見いだすことができます。

その対象が、スポーツだったり、音楽だったりします。「アイドル」「ゲーム」「ネット」など、親にとっては問題だと思うようなことである場合もあります。場合によっては、海外を放浪したり創作活動に没頭したりする場合もあります。
これは全て『挑戦』なのです。

思春期にしかできない「挑戦」

『挑戦』とは、『困難な物事や新しい記録などに立ち向かうこと』を言います。つまり、普通じゃできないこと、成功が約束されていないことに、リスクを考えずに挑んでいくことであり、これは大人じゃできないことだと思いませんか?

スポーツ、音楽などで成功する人なんて、本当に一握りで、ほとんどの人が失敗します。「アイドル」「ゲーム」に没頭したり世界を放浪したりしたとしても、そこで得られたものに対して、リスクは大きく、将来に活きる可能性が高いとは言えません。
しかし、そんな風に『リスクがあること』に対して、無防備に挑戦することこそ、実は思春期の特長です。

文化の発展は無謀な挑戦にあり!

ある研究者は、これをヒトの進化の過程で、必要不可欠なことだったと言います。
つまり、私たちの祖先は、太平洋を木の船で渡ったり、新しい食べ物や道具を試したり、様々な挑戦(太平洋を木の船で渡ろうとするなんて、マジか!?って思いません? それから、ウニやナマコを初めて食べた人もすごくありませんか?)しました。その結果、私たちはこのような文化的な生活をするに至りました。

つまり無謀な『挑戦』をする人がいるから、私たちは新たなテクノロジーを手に入れ、新たな文化を創り出すことができたわけです。そして、その無謀な『挑戦』は、おそらく思春期(=反抗期)に始まります!

親が楽しむポイント!

親が楽しむポイント!

さて、そんな目で子どもの反抗期を眺めてみましょう。
何か、彼らなりの『挑戦』がありませんか。

もちろん、それはリスクが大きく、無謀であり、親にとっては止めて欲しいことでしょう。しかし、そこに彼らなりの『挑戦』があるのならば、その『挑戦』の行方を見守るのも、既に『挑戦できない』状況になった親世代にとって、非常に楽しい体験ではないでしょうか。それが私たちの社会に、何らかの貢献をする可能性だってあるわけですから。

面白いところ3反抗期の子どもは変化する!

反抗期の面白いところ3. 反抗期の子どもは変化する!

確かに『反抗期』は危うく、面倒で、大変なのですが、これは誰にでも起こることです。この大変さは、ホットブレインとクールブレインのアンバランスから来ていて、クールブレインが十分に発達したところで、『反抗期=思春期』は終わります。

さて、この『反抗期=思春期』ですが、ヒトが生まれてから大人になるまでの発達の中で、大きな発達の可能性がある2つの時期のうちの1つと言われています。(もう1つは幼児期です)

大きな発達の可能性がある時期

思春期(反抗期)に大きく発達するホットブレインは、感覚、情動の脳です。クールブレインがコントロールできないくらい、この時期のホットブレインは敏感です。クールブレインは、そのホットブレインの影響を受けながら、育っていきます。
敏感なホットブレインと、育ちの過程にあるクールブレイン、両方とも変化の可能性が高いです。もちろん悪い方向への変化の可能性もありますが、逆だってあるんですよ。うまくいっていたものが、さらにうまくいく、とか、それまで十分でなかった才能が急に現れたり発達したりするなんていう、良い方向への変化だって、十分に期待できるはずです。

親が楽しむポイント!

親が楽しむポイント!

多くの映画、ドラマ、小説、マンガが語っているように、『反抗期=思春期』は、人生を変えるような体験で満ちています。一人で深く悩むこともあれば、仲間と切磋琢磨したり友情や愛情を育てたりすることもあるでしょう。多感な時期だからこそ、いくらでも変化の可能性があるのです。
実際、小学生まではパッとしなかった子どもが、中学生デビュー、高校生デビューを果たして、能力を開花させた例は少なくありません。

我が子の『反抗期=思春期』に、この子は何に変わろうとしているのか、と観察してみたらどうでしょうか。そして、その変化がより良いものになるように、刺激を与えたり環境を整えたりしてみるのも良いように思います。