子どもにうまく関われないと悩む親たちが、誰よりも「頑張り屋」である理由

子どもの態度にイライラして、怒鳴ってしまっては自己嫌悪になる毎日…。
そんな悩める親御さんに、教育家の小川大介先生が新著「子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ」で伝えたかったのは、「『ちゃんと』子育てできていますよ!」ということ。どういった内容なのでしょうか。小川先生にお話をうかがいました。

「『ちゃんと』できていない」と自分を責めることが「心のゆとり」を奪う

もともとは中学受験指導者として活動してきた私は、これまでに6,000以上のご家庭と関わるうち、次第に勉強に限らず子育て全般の相談を受けるようになりました。

親御さんお一人お一人の事情を丁寧に受け止め、私に分かることを助言してきました。その中ではっきりと分かったことは、一生懸命に子育てを頑張っている方はみな共通して、「『ちゃんと』子育てしなくては」「『ちゃんと』親をしなければ」という気持ちが強いあまり、いつも自分に駄目出しをしてしまっているということです。

小川大介先生
教育家 小川大介先生

「『ちゃんと』できていない」と常に自分を責め続けると、心が不安定になります。なかなか気持ちを落ち着けることもできません。心がいっぱいになり、気持ちに余裕がなくなります。

そういった状態では、たとえば、子どもが勉強をしないと「じゃあ塾をやめてしまえ!」と言ってしまったり、せっかく作った食事を食べないときには「食べたくないならもういい!」と声を荒げてしまったり、瞬間的に思い浮かんだ言葉で反応してしまいます。心にゆとりがないから、状況を1回胸に落としてから言葉に出すということができなくなるのです。

ですから、子どもとの関わりを豊かにしていく上でのコミュニケーションの鍵は、やはり「親の心のゆとり」なのです。