反抗期の影に自己肯定感の危機!親にできること【反抗期を科学する・5】(2ページ目)

なぜ?反抗期の影に潜む危機

この表は、平成22年度に東京都が慶應義塾大学と共に調査した結果です。(自尊感情と自己肯定感は、ほぼ同じ意味だと思ってください)

出典:「Ⅱ 子供の自尊感情の傾向を把握する方法と指導のポイント」14ページ
出典:「Ⅱ 子供の自尊感情の傾向を把握する方法と指導のポイント」14ページ

見ていただくと分かりますが、小学校6年から中学校1年、2年にかけて、ググッと下がっていますね。それも自尊感情の中心である「自己評価・自己受容」、つまり、自分で自分をどう評価するのかという部分です。

このデータは日本のものですが、諸外国でも同様の調査がたくさんあります。そうした研究が総じて主張しているのは、思春期こそ、自己肯定感の最大の危機だということです。
幼児期から小学校の低学年、中学年の頃(つまり思春期の前)の自己肯定感は全体として高いのですが、小学校高学年から中学校のあたり、つまり思春期前期になると、急激に自己肯定感が下がること、特に女子にその傾向が高いことが、既にたくさんの研究によって報告されています。

自己肯定感が下がる理由

では、なぜ思春期になると自己肯定感は下がるのでしょうか?

自己肯定感が下がる理由

このことについては、メタ認知の発達と関連づけられて語られることが多いようです。
メタ認知とは、自分自身を客観的に認知する(捉える)ことを意味します。「自分を外から観察する」ということです。
もしかしたら皆さんも、小学校中学年から高学年になったある日、自分を客観的に観察することに成功し、自分自身がちっぽけな存在であることに愕然としたことがあるのではないでしょうか。
まさに、この感覚こそ、自己肯定感の低下の引き金なのです。