反抗期の影に自己肯定感の危機!親にできること【反抗期を科学する・5】(4ページ目)

反抗的行動は、親への問いかけ?

反抗的行動の理由は明確です。「ボクは誰なの?」「ワタシは、大切な存在なの?」と彼らは問うているのです。厳しい現実の中で、消えてしまいそうな自分を何とかこの社会の中に繋ぎ止めようと、必死の覚悟で親に立ち向かっているのです。

エリクソンの心理社会的発達段階論によると、思春期はアイデンティティの危機とのこと(アイデンティティとは、自己同一性、すなわち、自分が自分であるという自信のようなもの)。つまり、彼らはこの危機的状況の中で、自分自身が生きる価値を、反抗的行動により、身近な大人たちに問いかけているんです。
もっとも、本人にその自覚はありません。私たちがそうであったように、彼らは思春期の不安に、ただただ翻弄されているのですから。

であるとするならば、親がすべきことは決まっていると思いませんか。

反抗的行動は、親への問いかけ?

彼らの反抗が、「ボクは誰なの?」「ワタシは、大切な存在なの?」という問いそのものだとしたら、親はそれに、答え続けるべきでしょう。「あなたほど大切な人はいない」「あなたを愛している」のだと。もちろん彼らが納得するまで、時間が掛かるかもしれませんが、それをやり続けなければ、反抗期の出口は見えてこないかもしれないのです。

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■引用元
東京都教職員研修センター
「Ⅱ 子供の自尊感情の傾向を把握する方法と指導のポイント」より引用

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和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)、『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。