反抗期の突破口!リスクを上下させる4つのもの【反抗期を科学する・8】(4ページ目)

反抗期の突破口は家庭の外にある!

こうして危険因子と保護因子の両方を考えていくと、思春期の段階、思ったより家庭ではなく、外の世界の影響が大きいことが分かってきます。

反抗期の突破口は家庭の外にある!

反抗期と言いたくなるような状況に遭遇すると、多くの親が、自分の子育ての問題ではないか、子どもの発達に何か課題があるのか、と悩むかもしれませんが、突破口は家庭や親子関係ではなく、学校や友達関係にある可能性が高いと言えるでしょう。

危険因子は取り除いたり減らしたりする、保護因子は強めたり増やしたりする、という考えが基本です。
学校も友人も、親以外の大人も、危険因子となっている場合(たとえば、学校でいじめられている、悪い友達がいる、など)もあれば、保護因子になっている場合(学校が楽しい、夢中になれる活動がある、良い友達、自分が信頼できる大人)があります。

親の好みや意向ではなく、子どもの発達を考えた上で、冷静に判断することが重要です。
案外、親が気に入らないと思っている友達、活動が、子どもを支えてくれているかもしれません。そうしたつながりを親が取り上げることが、子どものリスクを高めるのであれば、それは逆効果ですから。

親の悩みは家庭の中にある

親の悩みは家庭の中にある

前回と今回は、思春期リスクの危険因子、保護因子について話題にさせていただきました。小学校以降、家庭よりも学校や外の世界の影響が強くなっていることが分かってきましたが、もちろん親にとって、日々の悩みは家庭の中にあります。

次回は、親子関係について、行動科学の視点から、考えてみたいと思います。

次回の更新は、10月4日(月)の予定です。

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和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)、『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。