アポを取って人に会いに行く!?「シリコンバレー研修」

ドルトン東京学園中等部・高等部
ドルトン東京学園中等部・高等部(以下、ドルトン)の中3生・高1生20名が参加した10日間にわたる海外CAC(City As a Classroom)「シリコンバレー研修」。ドルトンの海外研修は一味も二味も異なり、「人に会いに行く」が重要テーマです。事前研修では、訪問先のアポ取りから生徒たち主導で準備します。Google社で働く社員、起業家、スタンフォード大学の学生など、たくさんの人と交流し、濃密な時間を過ごしました。5年生の北沼美侑さんと佐藤貴明先生に、シリコンバレー研修の様子を詳しくうかがいました。

「シリコンバレー研修」アポ取りが事前研修の柱

北沼美侑さん・5年生(高等部2年生)
北沼美侑さん 5年生(高等部2年生)
佐藤貴明先生 担当教科:英語
国際部長・佐藤貴明先生 担当教科:英語科

海外研修の事前研修と言えば、英語力の強化という学校が多い中、ドルトンは「アポ取り」がメインテーマとのこと。佐藤先生にその理由をうかがいました。

事前研修について教えてください。

佐藤先生 シリコンバレー研修の目的は「自らの手や足を動かし、知見や視野を広げ、将来について深く考える」ことです。その目的を達成するために、アポ取りを事前研修の柱に据えています。アポ取りによって生徒自らがアクションを起こし、自身の中に潜在的に眠るニーズを掘り起こすことができます。

いざ、アポ取りに向けたリサーチを開始すると、大抵の場合「企業」や「大学」といった組織単位での検索を行います。ところが、実際に現地に行って出会うのは組織ではなく、そこで働く「人」です。自分が実際に会って話をしてみたいと思う人を起点にリサーチをするようになると、必然的に自分の興味・関心と向き合うことになります。この変化がとても大切なんです。

アポ取りでの試行錯誤がもたらす効果

生徒はどのように連絡先を調べるのでしょうか。

佐藤先生 コンタクトの方法すら分からない段階から、生徒主体で調べていきます。企業の代表メールに直接アポ取りを試みても、なかなか実現には至りません。しかし、信頼できる人からの紹介があれば、成功率が格段に上がります。そこで、周囲の人たちとの繋がりを辿るようになり、人脈の大切さにも気づくことになります。

ネットワーキングの観点において、SNSが非常にパワフルなツールであることに気づくのもこの辺りです。こうした試行錯誤の末、現地でその憧れの人に出会えたときの感動はひとしおで、生涯忘れられない原体験になるのです。アポ取りは、こうしたいくつもの副次的な効果を持つため、事前研修の中核を担うものになっています。

シリコンバレー事前研修の様子
事前研修の様子

アポ取りを実際にやってみてどうでしたか?

北沼さん 苦労したのはアポ取りのメール文章の作成でした。こちらの要望を入れつつ、先方に刺さるメールはどのようなものなのか。ビジネスメールを書いたことのない私たちにはかなりの難題でした。

現地での学びを高めるイベント参加と企業訪問

事前研修では、現地で誰に会い、何を吸収するかを探るべく、チームごとにイベント参加や企業訪問も行われました。事前研修の成果を北沼さんにうかがいました。

北沼さん 「リディフェス(国内最大級の社会課題カンファレンス)」に参加して、「なぜ?どうして?」のシンプルクエスチョンをすることで、相手が持っている本当のニーズ、インサイトに近づけることを知りました。この事前研修での学びが、現地シリコンバレーで会った人との対話でもとっても活きました。

リディフェス
リディフェス(国内最大級の社会課題カンファレンス)

シリコンバレーで働く人の「マインド」を吸収

事前研修を経ていよいよシリコンバレーに出発。
多数の企業と大学への訪問、起業家との出会いの中から、2つご紹介します。

北沼さん Google社に勤めるチームマネジメントの担当者からは、良いプロダクトを作っていくための「チームビルディング」に関する話をうかがいました。その方の熱意にも触れることができ、人として憧れを持ちました。

Google社に勤めるマーケティングマネージャー池田さんとの懇談
Google社勤務の方との対話

北沼さん JAL事業創造戦略部の方からは、ホテルにて対話セッションの形で話をうかがいました。自身の「やりたい!」というひたむきな熱意に、その場にいた誰もが胸を打たれていました。

JAL社に勤める松崎さんとの懇談
JAL事業創造戦略部の方との対話

大きなステップアップとなった「シリコンバレー研修」

佐藤先生と北沼さんに、研修を終えた感想と今後の取り組みをうかがいました。

シリコンバレー研修を通して、生徒たちにどういった変化が生まれましたか?

フットヒルカレッジ訪問の様子
フットヒルカレッジ訪問

佐藤先生 「カッコイイ!」「あんな風になりたい!」と思えるようなロールモデルを見つけ、自身の生き方、高校生活を過ごす上での指標となるものを手に入れたように感じます。「人」との出会いの一つひとつは点であっても、やがてその繋がりは有機的に結びつき、ネットワークへと進化していきます。「あの人とこの人が繋がっている? この人も!」と、繋がりの連鎖が持つインパクトに、否が応でもネットワークの価値に気づくことでしょう。

また、本研修の参加要件として、「帰国後に何かしらのプロジェクトを立ち上げること」を掲げています。濃密な非日常の体験を経て、日常へと舞い戻った生徒たちは、それぞれが設定したプロジェクトに取り組みます。本研修の真価が問われるのはこれからです。中長期的な視野に立ち、振り返ったときに、この体験があったからこそ今がある、そう思ってもらえるよう引き続き伴走していきたいと思います。

今後の目標と立ち上げたいプロジェクトについて教えてください。

北沼さん 大きく決意したことは、研修前には進路の選択肢にもなかった「海外大への進学」です。英語オンリーという刺激的な環境で自分自身の学びを探究し、成長し続けるための選択として海外大への進学を決めました。今後は海外大進学というマイノリティ的な選択を促進していくような活動を行っていくと同時に、孤独受験を減らすためにも、海外大進学を検討している生徒のコミュニティを構築していこうと考えています。

最後に、先生から受験生に向けてのメッセージをお願いします。

佐藤先生 本校には、ユニークなバックグラウンドを持つ教員がたくさんおり、それぞれが個性を最大限に活かした研修を企画・設計しています。それらはみな、本校生徒に向けてデザインされたオリジナリティあふれるものばかりです。自身の興味・関心を起点にアクションを起こし、自分でもまだ気づいていないポテンシャルを探る旅に、一緒に出かけましょう!

編集後記

主体的に学び、探究・挑戦し続ける生徒を育てるドルトン。シリコンバレー研修に参加した生徒の気づきや成長は、ともに学ぶ仲間へも波及することでしょう。ぜひ学校を訪れ、最先端のドルトンの教育を感じてみてください。

イベント名 実施日時
学校見学会 2023年6月3日(土)
学校説明会 2023年6月17日(土)午前
帰国生対象説明会 2023年6月17日(土)午後
体験授業【小5・6限定】 2023年7月8日(土)
体験授業【小5・6限定】 2023年7月22日(土)