日大付属校で唯一の女子校に新校長が就任

日本大学豊山女子中学校・高等学校
日大付属校の中で唯一の女子校であり、伝統ある理数クラスを擁する日本大学豊山女子高等学校・中学校(以下、豊山女子)では、柳澤前校長に代わって、2024年度から黛(まゆずみ)俊行先生が新校長に就任されました。かつては男子校勤務の経験を持ち、豊山女子では中学教頭として「現場主義」を貫いてきた黛先生の思いや展望についてインタビューを行いました。

新校長が私学教育にかける思い

中高6年間の前半を支える中学教頭として、学習面に加えて卒業後のキャリアも考慮した指導に力を注いできた黛校長から、生徒を第一に考えた熱い今後の展望をお話しいただきました。

新たに校長へ就任された今、これからの展望をお話しいただけますか。

黛校長 現代を生きる中高生にとっては明るいニュースが少なく、見渡せば戦争や政治不正、経済不安といった暗い話題に囲まれている時代になってしまいました。中学生はまだ自分事として捉えられない年代かも知れませんが、難解な問題が山積みされた社会に出ていくタイミングが必ずやって来ます。だからこそ、予測不能な社会の中で逞しく生き抜く力を、本校の6年間で身につけてほしいと願っています。また、大人の負の遺産を背負わせることなく、幸せになってもらいたいとも考えています。どんな問題でもしっかり向き合って、ひとつずつ解決できる力と気持ちを育ててあげることが私の使命です。

黛俊行先生
2024年度から就任された黛俊行校長

中学校教頭としての経験を活かした今後の取り組みを教えてください。

黛校長 社会経験に乏しい中学生にとって刺激のある取り組みが必要だと考え、実社会で活躍する卒業生の協力を仰ぎ、校内で講義してもらうようなワークショップの機会をもっと増やしていきます。
現在は中学3年間の「総合的な探究の時間」を利用して、探究学習向け教材である「ENAGEED」を活用しています。導入7年目を迎えるこの教材は、指導の自由度が大きい分だけ、教員のスキルやマインドが重要になるのですが、教員陣が毎週ミーティングを重ね、学年単位でこの教材をどう展開するのか話し続けてきました。今では生徒自身が考えて発言し、他者に共感するためのアクティブラーニング教材として校内に定着しました。

従来の座学とは異なる授業が始まったのですね。

黛校長 各教科の授業でも単なる講義に終わることはほとんど無く、グループ内で協働しながら考える学習スタイルを採り入れています。例えば数学であれば、得意な生徒が率先して苦手な仲間をフォローするといったことは当たり前で、さらには数学探究・理科探究に取り組むレベルに至りました。
サイコロの目の出る確率が気になったら、実際に振って試してみるのが一番の学びであり、体験から学ぶことが中学生にとって最も大事なことだと考えています。刺激や体験から学ぶことと、教科書から学ぶことの意味や重さはまったく異なります。
中学3年生には高校から始まる「総合的な探究の時間」の前段階として、自分で決めたテーマを1年間かけて調べまとめて、プレゼンテーション形式で卒業発表を実施します。これは、意図を伝える文章表現や魅せるスライドの工夫などについて専門家がレクチャーしたうえで行われています。

豊山女子の理数教育授業
豊山女子の理数Sクラスには半世紀以上の歴史があります

柳澤前校長の代から受け継いだ方針を教えてください。

黛校長 今まで女性が校長に就任した前例がなく、改革への期待が大きい前代でしたが、私も「ゼロ」から価値を生み出す力であるアントレプレナーシップを基本とした方針を受け継ぎ、時代に合った教育改革をさらに加速させていきます。社会人になってから必要になる、より良い選択肢を持つ力(資格・経験・スキル)と併せて、正しい選択をできる力(価値観・判断力・モラル)の両方を養います。

日大付属校唯一の女子校としてのチャレンジ

校長として新たに打ち出す方針や新施策はありますか。

黛校長 多くの学校では探究学習を学力向上の手段として導入するケースが少ないように見受けられます。教科学習と両立させながら中高を問わず探究学習に注力してきたのは、新しいキャリア教育を実現させるためです。本校の理数Sクラスでは、半世紀以上前からグループ単位で探究的な学びを続けてきた歴史があり、理数系の科目以外でもデータサイエンスとして応用しています。
また、先生方がゼミ授業を用意し、新入生向けに自発的な学習姿勢を引き出す工夫が始まっています。そこでは大学教授や校外企業が参加するといったゼミも計画されており、既成概念の枠を超えた真の学びを実践していきます。
近い将来には、本校の生徒が他校の生徒と協力しながらアイデアのディスカッションを交わすようになるでしょう。失敗を恐れずに助け合える仲間とチャレンジできる学び舎であり続けたいと考えています。

時代に合った新しい学びの導入
時代に合った新しい学びが導入されています

共学化する学校が増えつつある中で、男女別学の意義をどのようにお考えですか。

黛校長 男女別学では男女の壁を取り払った社会を体現しています。校内では一般的に決めつけられている固定概念は通用せず、すべてを自分たちで解決する中でひとつの物事が成り立つ背景をきちんと知る機会に囲まれています。そこでは、いろんな性格の生徒たちが「素の自分」のままで過ごせるだけでなく、団結した際の力強さを感じることもできます。多様性が大切だと言われる時代だからこそ、まずは隣にいる友だちを理解することから始めてもらいたいですね。

人気を博した中学校の新入試

2024年度からスタートした英語1科入試の手応えについて教えてください。

黛校長 以前から導入している英語インタビュー型入試は、英検3級レベルのコミュニケ―ション力を試す10分程度の面接を行うといった内容でした。新たに導入した英語1科入試は、英検3級レベルの筆記試験とリスニング問題を合わせた内容で、結果的に2名の特待生が選出されました。初年度だったので受験生が少ないと予想していましたが、志願者数だけでなく受験者数も多く、良い意味で驚かされたほどです。本校の英語授業への高い期待を感じたため、一定以上の英語レベルを身につけた生徒向けのハイレベル英語授業を開設しました。

中2British Hills研修
中2の夏休みに実施するBritish Hills研修

受験生に向けたメッセージをお願いいたします。

黛校長 受験生の皆さんが社会に飛び出す頃には、とても難しい社会問題に直面する時代となっていることでしょう。私たち教員と一緒に、6年間の中高生活を通して多くの物事を学び、日本を変えるリーダーになってほしいと願っています。全力でバックアップしますので、入学後の学校生活に期待感をもって勉強を頑張ってください。

編集後記

従来の改革路線と新たな指導方針が一体となって、別学校の可能性を押し広げていく豊山女子。2028年度には新校舎が竣工し、先進的な女子教育がさらに加速します。より進化する豊山女子の今後にご期待ください。

イベント日程

 

イベント名 実施日時
土曜見学会 2024年6月1日(土)・8日(土)・29日(土) 10:00~
体育祭 2024年6月14日(金)
第1回ナイト説明会 2024年6月21日(金) 18:00~
夏休み学校見学会 2024年8月24日(土) 10:00~15:00