紅青黄 三つ巴の闘い!女子聖の運動会

女子聖学院中学校高等学校
女子聖学院中学校高等学校(以下、女子聖)の運動会が6月に実施されました。中高合同で、さらに生徒主体で行われる女子聖の一大イベントについて運営の中心メンバーにうかがいます。

実行委員長は「審判長」

女子聖の生徒
左からCさん、Yさん、Tさん。代々木第一体育館で行われた運動会の運営メンバーです

取材に参加してくださったのは、審判長のCさん(高3)と、副審判長のYさん(高2)とのTさん(高1)です。女子聖の運動会では、審判長が全体を統括する実行委員長を務めます。先生の推薦を受けて運営メンバーになった生徒は、3年間持ち上がりで同じ係を務め、運動会をつくりあげます。Cさんは高2で副審判長を務めて今年審判長に。来年、YさんはCさんに代わり審判長を務めます。高1のTさんは今年初めて副審判長に挑みました。

1年がかりの事前準備

6月の運動会に向けて、いつから準備を始めたのでしょうか。

高3 Cさん 昨年の運動会が終わってからすぐ動き出し、改善策を考えたり、年間計画を立てたりしました。運動会が近づいたら係ごとの実施練習をしたりと、本番を想定した内容で詳細を詰めていきました。

準備期間中にはどのような苦労がありましたか。

高2 Yさん 生徒会の活動も並行して行っており、さらに高2生として勉強もしなければいけないので、スケジュール管理が大変でした。曜日ごとにやるべき仕事を振り分けて、勉強は学校にいるときと朝の電車の中だけと決めて頭を切り替えていました。

高1 Tさん 今年初めて副審判長を務めたので、分からないことだらけで常に大変だった印象です。なかでもきつかったのが総練習。本番前に全てのプログラムを行う練習のことで、その日は競技に出たり副審判長の仕事をしたりと一日中走り回っていました。ただ、総練習を経て仕事への理解がかなり深まり、落ち着いて本番に臨めました。

高3Cさん
高1までテニス部に所属し、高2で探究同好会を立ち上げたCさん
高2  Yさん
ディベート部と生徒会に所属するYさん
高1  Tさん
ダンス部に所属するTさん

熱戦と感動が交差する運動会!本番で感じた仲間との絆

女子聖の運動会は3色対抗。組分けは独特で、中学生は縦割り、高校生は学年別で各学年から応援団長が選出されます。今年は青組が高3、紅組が高2、黄組が高1。各学年の高校生は、同じ組の中学生と力を合わせて練習に励みます。高1生率いるチームが優勝を果たしたのは過去1度だけですが、毎年本気で優勝を狙っています。

当日は審判長、副審判長としてどのような動きをしていましたか。

高3 Cさん 審判長は審判席に座り、競技責任者の生徒と一緒に競技の進行をチェックします。

高2 Yさん 副審判長は、各競技の出場者の誘導をします。また、私はCさんが競技に参加する間は、審判長代理として審判席に座りました。

大玉転がし
中1の種目の大玉転がし。女子聖の運動会には仲間と協力する競技が数多くあります
3人縄跳び
両端の生徒が縄を回し、中央の一人が飛びながら走る「3人縄とび」

最後の運動会で、印象に残っている種目はありますか。

高3 Cさん 1位を獲得したHRリレーです。この種目はクラス対抗で、クラスの選抜メンバーが走ります。クラス替えは毎年ありますが、文理選択の人数の都合で、私のクラスは高2と高3のメンバーが同じ。すごく仲が良く、体育の授業や放課後にリレーの練習に励んだので、良い結果になって嬉しかったです。
また、好きな競技は色別リレーで、このリレーは最終種目で配点が大きく、順位が入れ替わることがあるので盛り上がります。かつて、2位だったチームが色別リレーの配点により逆転優勝した年がありました。

女子聖のリレー
会場が盛り上がるHRリレーや色別リレー。高3率いる青組は総合優勝を果たしました
女子聖の種目「なかよし」
一人一脚から始まり、四人五脚でゴールする種目「なかよし」

仲間との思い出を教えてください。

高3 Cさん 運動会が近づくにつれて、学年の仲間意識を強く感じたことです。私の学年は中2のときからコロナ禍になり、多くの学校行事が中止になった分、交流が希薄でした。高1のときは運動会が中止になり、今年は最高学年でありながら現・高2と同じ経験値しかなく、しかも高2が強いことを知っていたので、優勝に向けて高3全員が気合を入れていました。この運動会で仲間とのつながりを感じられたことが嬉しかったです。

高2 Yさん 3色それぞれに代々伝わる色の歌があり、リレーの前には応援歌を歌い、選手が円陣を組み、それを見届けてレースが始まります。今年もその様子をみて「いいな」と思いました。生徒が円陣を組む瞬間が運動会のなかで一番好きです。

高1 Tさん 高1の黄組は3位でしたが、誰もがすごく頑張ったので、得点発表のあと抱き合いながらみんなで大泣きしてしまいました。くやしかったけど、学年の絆を感じました。

高3 Cさん 本番の1週間後くらいに、高3だけ特別に運動会を振り返る機会があります。勝ったら祝賀会、負けたら残念会という名目で、高3生が集まり、準備期間や本番の映像を見るんです。今年は優勝することができたので祝賀会となり、生徒会と旅行委員を務めた生徒が、運動会の運営メンバーにプレゼントを用意してくれました。

行進
色別リレーの後、全員で手を取り会場を回ります。行進の形式が独特です
女子聖生徒3人
行進するときの手のつなぎ方を再現

運動会で養った「他者理解」と「自己管理」の力

運動会を通してどのように成長したと感じますか。

高3 Cさん 運動会を通して学んだことは他者との関わり方です。私は自分が正しいと思ったことを相手が受け入れてくれないと、「どうして?」と納得できずにいました。実行委員には先輩や後輩、同輩を含めて本当にいろいろな生徒がいて、さまざまな考え方があるので、どうしても意見がぶつかり合います。それを見ていると、一人ひとりの考えや意見に正解がないことが分かり、自分の考え方を押し通すのではなく、まずは相手の意見を受け入れて自分の考えと融合させ、より良い形にできないか模索することが大事なのだと気づかされました。

高2 Yさん 何の役割もなかった中学生のときは「1回くらい放課後の練習をさぼっても大丈夫だろう」と思っていました。でも運営する立場になってみて、そうした考えではいけないことを実感し、自分の行動に責任を持ち、自主的に動こうとするようになりました。

高1 Tさん 任された仕事をやり遂げるため、1日でどれくらいのことができるのか、自分自身と向き合いながら考えるきっかけになりました。

「人のために何ができるのか」を考えて動く

在校生だから分かる女子聖の魅力を教えてください。

高3 Cさん 「人のために働きたい」と思えるようになったのは、女子聖で6年間を過ごしたからです。学校行事を通して、スクールモットーである「神を仰ぎ 人に仕う」の精神を実践していくと、「たとえ感謝されなくても、人のために自分がやるべきことを模索して動こう」と考えるようになります。

高2 Yさん 礼節ある生徒が集まっているなかで、みんなが言いたいことを言える環境があります。そして、仲間意識の強さも女子聖の魅力で、在校中も、卒業してからも、学校や仲間に誇りを持っているところが素晴らしいと思います。

高1 Tさん クラスが毎年変わるので友達がたくさんできるし、クラブでも友達ができます。仲間に囲まれて毎日を過ごすという、何気ないけれど楽しい日々を過ごせることが女子聖の良さです。行事があればみんなが協力して一つのものを作り上げようとするところも好きです。

2023年春に卒業した生徒の記事はこちら≫

編集後記

生徒が作り上げるからこそ、苦労も感動もある運動会。Yさんは「誰もが一度は泣きます」と笑って教えてくれました。今年の種目には、当日のエントリーで卒業生が参加できるリレーもあり、応援に駆けつけた卒業生が奮闘したそうです。OGが卒業しても学校とつながりを持つように、女子聖では在校生のパパも学校とつながりを持っています。次回は生徒の学校生活を応援する父親中心の団体「パパプロ」にスポットを当てます。お楽しみに。