多摩市が期末テストの舞台に!たまひじの探究学習「街なかプレゼンテスト」

多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
少人数教育を活かした面倒見の良さと、アットホームな校風で知られる多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校(以下、たまひじ)。高校1年生が取り組む期末テストは、教室ではなく多摩市内を舞台に行う「街なかプレゼンテスト」です。評価するのは、先生ではなく市民の方々。約120名の生徒が20グループに分かれ、多摩市の課題や「もっとよくしたい」という思いを、通行する大人たちに自ら声をかけて伝えます。

街なかへ出る「期末テスト」!多摩市と連携した探究学習

今回で4回目の実施となった「街なかプレゼンテスト」。その狙いや実施までの道のりについて、出水良仁先生にうかがいました。

出水良仁先生

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担当教科:国語(国語科主任)

なぜ校内ではなく、あえて「街なか」でプレゼンを行うのでしょうか。

出水先生 多摩市について探究した成果を発表するなら、多摩市民や関連する方々に聞いていただくのは自然なことですし、何より「教員以外の意見の重要性」を生徒自身が感じているからです。また、地域全体で子どもを見守り、育てていくという構図に大きな魅力を感じています。生徒たちも、ただ学ぶだけでなく地域に訴えかけ、還元するという相互関係を築けるのではないでしょうか。

街なかプレゼンテストの様子
多摩センター駅前のパルテノン大通りで、約2時間にわたり行われた「街なかプレゼンテスト」

高校1年生の2学期末というタイミングで実施している理由を教えてください

出水先生 高校1年生の1学期に「ものの考え方」などの探究の基礎を学びます。2学期はそれを実践し、発表に至るまでの工程を歩むことで、2年次のゼミ活動につなげていくためです。

本番まではどのようなプロセスで準備を進めたのでしょうか。

出水先生 2025年度は、テーマ設定もグループ分けも生徒が行いました。何度もフィールドワークを行い、うまくいかずにやり直すグループもありましたが、教員や市職員がアドバイスを送り、生徒たちは最後まで粘り強く準備を進めました。

学内で完結する探究との最大の違いはどこにありますか

出水先生 学内での生徒・教員の関係性よりも、ポジティブな動機による頑張りが見られる点です。「面白いと思ってもらえるように」と工夫する姿には、良い意味での緊張感と市民の方々に評価されるというハードルの高さが影響していると感じます。

生徒が不安を感じる場面で、先生方はどのようなサポートをされているのでしょうか。

出水先生 過度に手を差し伸べることはしません。もちろん前向きな声かけは常に行いますが、不安や抵抗感があるのは当たり前ですし、得手不得手があるのも当然です。だからこそ、互いに補い合えるよう「チーム」で動く環境を整えています。自分たちの課題を自分事として捉えていれば、無責任な役割分担にはなりません。教員も「教える」のではなく、一緒に考え、学ぶスタンスで伴走しています。

校内セッション
本番1週間前に行われた校内ポスターセッション
校内セッション
先生たちに向けて、2学期の探究の学びや成果を発表

勇気を出して踏み出した一歩!生徒たちの挑戦と本音

実際に、街なかプレゼンテストに挑戦した高校1年生の二人にお話をうかがいました。

N.H.さん(高校1年生)

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発表したテーマ:「若者×高齢者=ファミリー」
若者と高齢者が関わる機会が減っていることに着目。高齢者は自身の経験を伝えることで「誰かの役に立った」という自信を得られ、若者もその人生経験に触れることで視野が広がると考えた。世代を超えて支え合える「家族」のような関係づくりを提案。

S.M.さん(高校1年生)

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発表したテーマ:「多摩市民を幸せに」
市役所へのヒアリングで知った「転出者の多さ」という課題に対し、駅と住宅街をつなぐ道に、中高大学生のニーズに合った店舗を誘致するアイデアを考案。日常の満足度を高めることで、定住につながる街づくりを提案。

準備の中で苦労したことや工夫したことはありますか。

N.H.さん 完成したと思っても、先生から新しい視点で指摘を何度もいただき、終わりが見えず、心が折れそうになることもありました。また、当日はあえて台詞を固定せず、その場の雰囲気に合わせて言葉を選ぶことで、親しみを感じてもらえるよう工夫しました。

S.M.さん 苦労したのは、資料作りです。伝えたい情報が多く、PowerPointなどにまとめるのが大変でした。ポスターセッションでは見ている方との距離があるため、図を多く取り入れ、文字を少なくして、見やすくする工夫に時間をかけました。

実際に街に立ち、知らない大人に声をかける瞬間はどのような心境でしたか。

N.H.さん 直前まではとても緊張しました。でも、勇気を出して一度声をかけてみると緊張がほぐれ、その後は円滑に進められました。行動を起こさないと何も始まらないこと、失敗からも学びが得られることを実感しました。

S.M.さん 話を聞いてくれる方に失礼のないようにと心がけていました。声をかけても素通りされることも多かったのですが、「聞いてもらうこと自体が難しくて当たり前」と割り切り、毎回気持ちを切り替えてくじけずに声をかけ続けました。

市民の方から反応をもらえたときの気持ちを教えてください。

N.H.さん 先生とは異なる視点の意見がとても新鮮で、学びの大きさを感じました。分からない点を指摘された際には正直に伝え、「今後の活動に活かしていきます」と説明することで、市民の方との対話そのものが成長の機会につながっていると実感できました。

S.M.さん 「こんなお店があるといい」と共感してもらえたこともあれば、「例として挙げた地域と多摩市は本当に比較できるのか」といった厳しいご意見もいただきました。どちらも今後の課題につながる内容で、この経験自体がとても価値のあるものだと感じました。

街なかプレゼンテストの様子
テーマは環境問題から地域活性化まで多岐にわたります。多摩市でのフィールドワークを重ね、自分たちの足で得た情報をもとに解決策を練り上げました
街なかプレゼンテストの様子
多摩市民の生の声を受け止め、対話を通して自分たちの考えをさらに深めていきます
街なかプレゼンテストの様子
発表後は市民の方々に「よかった」と感じたテーマへ投票してもらい、リアルな評価を受けます

教室では得られない自信と成長!次へのステップ

今回の経験を通して「変わったな」「成長したな」と思える部分はありますか。

N.H.さん 発表力だけでなく、考え方や行動力が成長したと思います。失敗や断られることを必要以上に怖がらず、「まずはやってみることが大切」と思えるようになりました。また、一つの答えにとらわれず多角的に考える姿勢も身につき、国語や探究の授業でも「別の視点はないか」と意識できるようになりました。さまざまな意見を大切にしながら、深く考える力をより伸ばしていきたいです。

S.M.さん 初対面の方に内容をしっかり伝える難しさを知りましたが、経験を積んで慣れることでスムーズに話せるようになりました。不安を感じるハードな状況でも、挑戦し続ければ、緊張が減っていくことを実感できました。

街なかプレゼンテスト後の生徒たちを見て、先生はどのような変化を感じますか。

出水先生 全てにおいて変化が見て取れます。深く考える力、自分の足で行動し責任を持つ姿勢、そして何より、生徒自身が自分の成長を実感していることが大切です。この経験を糧に、社会における人間の在り方を、身近な多摩市を起点に考えていってほしいと願っています。今後も、生徒たちが成長できるような環境をしっかり整えていきたいです。

最後に「入学してよかったな」と感じる、たまひじの魅力を教えてください。

N.H.さん 個性を尊重してくれる先生が多く、一人ひとりを丁寧に見ていただける環境です。また、先生方が外部の方々と積極的に連携し、生徒をつないでくださるおかげで、社会の多様な姿に触れられるのも大きな魅力です。海外への修学旅行や短期留学、OB・OG訪問などの外部活動も豊富で、価値観や視野を広げてくれる機会が多くあります。日々成長を感じられる学校です。

S.M.さん 少人数ならではの距離の近さや、さまざまな人とコミュニケーションが取りやすいことが魅力です。部活動では先輩・後輩の仲が良く、学校行事でも先輩からアドバイスをもらえるので、スムーズに準備を進められます。また、探究の授業では先生方が一人ひとりに助言をくださり、今回のように市役所の方々と直接お話しする機会もあります。多摩市について理解を深めながら探究活動に取り組める点も、この学校ならではの良さだと感じています。

編集後記

街ゆく多摩市民にプレゼンを評価してもらう。見知らぬ人に声をかけるという高い壁を乗り越え、高校1年生が堂々とやり遂げる姿に驚かされました。教室では得られない経験が、確かな自信となって積み重なっていくのでしょう。たまひじの挑戦を後押しする温かい雰囲気や、地域との連携が、生徒たちの成長を力強く支えているのだと実感しました。

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