表現力の競演!女子美運動会の名物企画「応援合戦」をレポート

女子美術大学付属高等学校・中学校
毎年6月に開催される女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)の運動会は、美術的要素を取り入れた“女子美らしさ”あふれる行事の一つ。その中でも毎年特に大きな盛り上がりを見せるのが、各組の応援団による「応援合戦」です。今回は、取材班が実際に会場へ赴き、現地の雰囲気とともに応援合戦の様子をレポートします。

全生徒が集結する、スポーツと美術を融合させた一大行事

中高合同で行われる運動会では、中学生は4色、高校生は5色のチームに分かれて点数を競い合います。個性豊かな各種目の面白さはもちろん、中学生、高校生それぞれに縦割りのチームを結成するため、先輩・後輩の垣根を超えた交流がより深まるのも魅力。どの学年の種目でも、チームメイトの名前が書かれたうちわを振りながら、全力で応援する生徒たちの姿が印象的でした。

運動会の舞台となるのは、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックでも使用された「武蔵野の森総合スポーツプラザ」のメインアリーナです
運動会の舞台となるのは、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックでも使用された「武蔵野の森総合スポーツプラザ」のメインアリーナです
生徒たちは、収容人数最大約1万人の広々としたメインアリーナでのびのびと競技に臨みます。写真は、お昼休憩に行われた生徒たちによる「マイム・マイム」の様子
生徒たちは、収容人数最大約1万人の広々としたアリーナでのびのびと競技に臨みます。写真は、お昼休憩に行われた生徒たちによる『マイム・マイム』の様子

まるで舞台作品!手作りの衣装や小道具で魅せる応援合戦

お昼休憩が終わると、いよいよ高校生による応援合戦が幕を開けます。松、梅、桜、菊、竹の5組が続けて登場し、それぞれに創意工夫を凝らした演技を披露。衣装や小道具、団幕など、すべて生徒たちが作り上げた渾身の演技をご覧ください。

【松組:白】 “音”をイメージした静と動のフォーメーションダンス

「響音」をテーマに掲げる松組は、黒と銀の衣装で登場。序盤は静かに舞い踊り、“静音”を美しく表現します
「響音」をテーマに掲げる松組は、黒と銀の衣装で登場。序盤は静かに舞い踊り、“静音”を美しく表現します
中盤には真っ白な衣装に早着替えし、盛り上がる音楽に合わせて踊りも激しく変化。最後には団幕を掲げて締めくくり、会場は一気にヒートアップ!
中盤には真っ白な衣装に早着替えし、盛り上がる音楽に合わせて踊りも激しく変化。最後には団幕を掲げて締めくくり、会場は一気にヒートアップ!

【梅組:赤】鮮やかな火花を散らす、鉱物たちの舞

梅組は真っ赤な紐状の小道具を駆使して、テーマである「火花」が散る様子を見事に表現。最初は数人ずつの細かいグループに分かれてダンスを披露していきます
梅組は真っ赤な紐状の小道具を駆使して、テーマである「火花」が散る様子を見事に表現。最初は数人ずつの細かいグループに分かれてダンスを披露していきます
さまざまな色の衣装をまとっていた生徒たちが、一斉に赤い衣装へ早着替え。躍動感のあるダンスで観客を魅了しました
さまざまな色の衣装をまとっていた生徒たちが、一斉に赤い衣装へ早着替え。躍動感のあるダンスが印象的でした

【桜組:青】アクロバティックなダンスで魅了する『千夜一夜物語』

「千夜一夜物語」をテーマとし、仮面をつけた怪しげな姿で登場した桜組。そのうちの一人が魔人のランプをこすり、まじないをかけます
『千夜一夜物語』をテーマとし、仮面をつけた怪しげな姿で登場した桜組。そのうちの一人が魔人のランプをこすり、まじないをかけます
全員がランプの魔神風の衣装にチェンジ。誰もが知る曲に合わせて繰り広げられる本格的なダンスに、観客からは黄色い歓声が。中にはバク転を披露する生徒も!
全員が青い衣装に着替えてランプの魔神に変身。誰もが知る曲に合わせて繰り広げられる本格的なダンスに、観客からは黄色い歓声が。中にはバク転を披露する生徒も!

【菊組:緑】戦国から明治へ、時代の変遷をミステリアスに表現

「天下無双」がテーマの菊組。まずは明治時代の貴族に扮した生徒たちが、くるくるとターンしながら優雅に踊ります
「天下無双」がテーマの菊組。まずは明治時代の貴族に扮した生徒たちが、くるくるとターンしながら優雅に踊ります
衣装も音楽も雰囲気がガラッと変わり、全員が戦国時代の武将へと変身。好戦的な一糸乱れぬダンスに息を吞みました
衣装も音楽も雰囲気がガラリと変わり、全員が戦国時代の武将へと姿を変えます。好戦的な一糸乱れぬダンスに息を吞みました

【竹組:黄】体全体で表現する、無限に広がる世界への賛美

「無限に広がる世界」への思いが込められた竹組の演技。亜熱帯をイメージした音楽とチーターのようなシンプルな衣装で、小道具もあえて使わず、全身を使って踊ります
「無限に広がる世界」への思いが込められた竹組の演技。亜熱帯をイメージした音楽とチーターのようなシンプルな衣装で、小道具もあえて使わず、全身を使って踊ります
最後はひらひらと舞うスカートが美しい黄色の衣装に早着替えし、星がまたたく宇宙を表現しました
最後はひらひらと舞うスカートが美しい黄色の衣装に早着替えし、星がまたたく宇宙の偉大さを表現しました

各組それぞれのこだわりが感じられる演技に、会場のボルテージも急上昇。まるで本物の舞台作品を見ているかのような完成度に、幾度となく歓声や拍手が沸き起こっていました。応援合戦の後には多くの種目が控えていますが、生徒たちの士気も十二分に高まったようでした。

応援合戦で得た最高の仲間と達成感〜応援団長インタビュー〜

約30分間にわたる応援合戦を終えたばかりの高校生の応援団長5名にインタビューを実施。興奮冷めやらぬなか、団長たちの演技に込めた思いや、演技を終えた感想をうかがいました。

<キャプ>左から、梅組団長のS.S.さん、松組団長のS.K.さん、竹組団長のU.Y.さん、桜組団長のA.Y.さん、菊組団長のS.K.さん

今年の応援合戦で工夫したことを教えてください。

菊組団長S.K.さん 戦国時代をよりリアルに表現するために、笠をダンボールから手作りしました。苦労はしましたが、チームメイトと試行錯誤しながら作るのがとても楽しかったです。

竹組団長U.Y.さん 小道具をあえて使わず、体やフォーメーションで表現することにこだわりました。最後は全員が黄色い衣装を着ることで、星がパッと広がる様子を表現しました。

松組団長S.K.さん 目に見えない音の広がりや波長を伝えるために、ダンスのフォーメーションを工夫しました。

桜組団長A.Y.さん 千夜一夜物語の美しさを再現するために、衣装づくりの際には模様までみんなで手描きしました。

梅組団長S.S.さん 紐で作った小道具で火花を再現するなど、今までにない演出を盛り込みました。入場時には団幕を背負って走るなど、入退場までこだわり抜きました。

各組の応援合戦が終わると、5名の団長がそろってダンスを披露。格好良く決めた演舞とは打って変わって、流行りの曲に合わせてお茶目に踊る一幕もあり、等身大で楽しむ姿が輝いていました
各組の応援合戦が終わると、5名の団長がそろってダンスを披露。格好良く決めた演技とは打って変わって、流行りの曲に合わせてお茶目に踊る一幕もあり、等身大で楽しむ姿が輝いていました

応援合戦を終えて、今の率直な思いをお聞かせください。

梅組団長S.S.さん 本番はあっという間に終わってしまいました! 高校1年生から3年生まで、団員一人ひとりが力を発揮できたので、本当によかったと安心しています。

桜組団長A.Y.さん ここまで完成させるのはとても大変でしたが、1つの作品を作り上げた達成感で胸がいっぱいです。

竹組団長U.Y.さん 団員は練習してきた成果を十分に発揮できたと思うので、ホッとしています。また、衣装や団幕作りには団員以外のクラスメイトも協力してくれて、みんなで1つのものを生み出す喜びを感じました。

松組団長S.K.さん 竹組団長が言うように、団員以外のクラスメイトも関わってくれたので、周りの協力があってこその今日の演技だったなと感謝しています。

菊組団長S.K.さん 午前中に行われた中学生の応援合戦はかわいらしいダンスが素敵ですが、私たちは高校生ならではの格好いいダンスができたかなと思います。この5人で団長を務めることができて良かったです!

フィナーレでは、各組の団員が一堂に会します。鮮やかな衣装に身を包んだ団員たちの大人数でのダンスは、まさに圧巻。会場全体が今日一番の熱気と感動に包まれました
フィナーレでは、各組の団員が一堂に会します。鮮やかな衣装に身を包んだ団員たちの大人数でのダンスは、まさに圧巻。会場全体が今日一番の熱気と感動に包まれました

編集後記

応援合戦は運動会の枠を超えたエンターテインメントとして完成されており、私自身も取材しながら感嘆の声を漏らしてしまうほどに素晴らしいものでした。衣装や小道具のクオリティの高さはさすが女子美生。それらに加えてダンスやフォーメーション、音楽など、演技全体に工夫を凝らしてテーマを伝える生徒たちは、まさに“表現者”といえるでしょう。受験生とその保護者用の観覧席も用意されていたので、気になる方はぜひ一度足を運んでみてください。

イベント日程

イベント名 日時
体験学習(小学生対象)
2023910() 午前の部1000~、午後の部1300~ ※要予約
高等学校作品講評会
2023930()14001530 ※要予約