まるで美術館!全生徒の作品が並ぶアートの祭典「女子美祭」

女子美術大学付属高等学校・中学校
女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、10月21日・22日の2日間にわたって女子美祭が開催されました。入場制限が緩和された今年は、一般来校者が事前予約1641組、来校者数3302名と、例年以上の大盛況ぶり! 女子美祭初日の様子をレポートするとともに、開催に尽力した生徒2名の思いをお届けします。

課題作品からクラス展示まで!女子美生の感性がさく裂

エントランスや教室など、校舎のいたるところに生徒たちの作品がずらり。授業で取り組んだ作品の展示から、ゲーム感覚で楽しめるクラス展示、部活動などの団体展示まで、まさに女子美生の感性がギュッと詰まった文化祭となっています。ここでは、数ある展示の一部を写真付きでご紹介します。

外観イメージ
当日は爽やかな秋晴れ。女子美祭と同時開催で学校説明会も開催されるため、受験生とその保護者も多く訪れていました

女子美の美術教育が分かる圧巻の作品展示

学年ごとの作品展示を見れば、女子美の6年間にわたる美術教育をたどることができます。中1~2では美術入門として多様な表現方法に触れ、中3からは絵画やデザインの授業が開始。高校生は絵画、デザイン、工芸・立体のコースに分かれ、より専門的な学びを深めていきます。女子美独自のユニークな課題内容にも注目です。

展示物(オリジナルエコバッグ)
中1が夏休みに取り組むのはオリジナルのエコバッグ作り。お菓子の包み紙などを集め、色や種類別に整理してパターンを考えます
展示物(ゴム版画)
中3で行うゴム版画は、3色の版を作り、限られた色数で絵を構成する課題です。色の重なりによって表現する多色刷りの面白さに触れます
展示物(お菓子の箱のパッケージデザイン)
中3デザイン基礎の授業で取り組む「お菓子の箱のパッケージデザイン」は、女子美伝統の課題。本当にありそうなデザインばかりで心が躍ります
展示物(「月刊JOSIHBI」の表紙)
高1デザインコースでは、架空の女性雑誌「月刊JOSHIBI」の表紙を制作。コンピュータを利用したデザイン技術を身に付けます
展示物(静物油彩)
高2絵画コースの静物油彩では、技術の向上だけでなく、ものを「見つめる力」も養います。同じようなモチーフでも、生徒ごとに異なる視点で捉えていることに驚きます
展示物(ジュエリーセット)
高3工芸・立体コースでは、いつか自分が身に着けることを想定したジュエリーセットを制作。どのような理由でモチーフを決めたのか、といった生徒の思いが綴られたキャプションも必見です
展示物(想定絵画)
高3絵画コースの生徒たちが、「社会とわたし」をテーマに制作した想定絵画。社会問題や世の中の出来事が鋭く表現されており、生徒の思いが心に刺さります

高2生渾身の女子美祭ポスターも見どころ

校内外で多くの人が目にする女子美祭のポスター制作は、高2生の全コース約200名が参加する夏休みの恒例課題となっています。女子美祭ではすべての候補作品が展示され、多くの来場者が足を止めて見入っていました。

女子美祭ポスター画像
今年の女子美祭ポスターはこちらの作品。美術科教員や代表生徒の選考をくぐり抜け、全校生徒の投票で見事選ばれました。普段の授業でモチーフとして使用するぬいぐるみや石膏像に命を吹き込んだ、躍動感あふれる作品です
最終選考5作品
最終選考に残った5作品は、廊下に堂々と並べられていました。それぞれが異なる魅力を持ち、女子美生の底力を感じます
約200点の候補作品
教室にずらりと並ぶ約200点の候補作品も必見です

目も心も楽しませるクラス・団体展示に感動

女子美のクラス・団体展示は、鏡友会(生徒会)の生徒による面接と審査に合格した団体のみが展示できる仕組みになっています。そのため、どの展示もクオリティが高く、見応えのある企画がそろっていました。部活動の展示や発表も、各教室や体育館で見ることができます。

高3桜組の「幽霊櫻研修所」
高3桜組の「幽霊櫻研修所」は、行列が絶えないほど人気。幽霊が仲間を増やすために設けた研修所で、塗り絵などの試験を受けて「おばけ免許証」の取得を目指します
教室の入り口
教室の入り口も展示内容に合わせて装飾されており、その完成度の高さに脱帽。展示の世界観が伝わってきて、廊下を歩くだけでワクワクします
イラスト研究部の部誌
イラスト研究部では、部員たち渾身のイラストが詰まった部誌を販売。夕方にはすでに売り切れていました! 時間制でイラストリクエストにも応えてくれます
「女子美エンナーレ」の生徒たちが授業外で制作した作品
鏡友会による「女子美エンナーレ」では、生徒たちが授業外で制作した作品を展示。気に入った作品に投票すると、かわいいシールがもらえます

女子美祭で改めて気付いた女子美生の魅力~生徒インタビュー~

今年の女子美祭を支える女子美祭実行委員長のM.I.さんと鏡友会会長のM.W.さんに、女子美祭への思いをうかがうとともに、受験生の皆さんへメッセージをいただきました。

女子美祭実行委員長M.I.さんプロフィール

プロフィール画像

・学年と組名:高3桜組
・女子美祭実行委員会に入ったきっかけ:女子美を代表する一大イベントに携わりたいと思ったため

鏡友会会長M.W.さんプロフィール

プロフィール画像

・学年と組名:高2松組
・鏡友会に入ったきっかけ:学校の運営に興味があったため

どのような女子美祭を目指して準備を進めてきましたか?

M.I.さん 来場者の皆さんも、私たち女子美生も楽しめる女子美祭を目指しました。展示内容は生徒一人ひとりの感性を大切にしているので、女子美祭は毎年あえてテーマを決めていません。もし仮にテーマを付けるとしたら、それは「自由」ではないでしょうか!

M.W.さん 鏡友会として安全面にも気を配りつつ、例年よりさらに活気のある女子美祭を目指しました。今年は昨年に比べて多くの団体が展示・公演できるようになり、来場者数も想像以上で大変嬉しいです。

女子美祭の準備で大変だったこと、苦労したことを教えてください。

M.I.さん コロナ禍中に入学してきた高入生たちに、従来の女子美祭について説明するのが大変でした。それでも「いい女子美祭を作り上げたい」という思いはみんな一緒なので、一致団結して準備を進められました。

M.W.さん 人手が足りない団体があり、準備が間に合うか心配でしたが、ほかの部活から助っ人に来てもらうことでなんとか間に合わせることができました。普段関わりのない生徒と交流するよい機会にもなったと思います。

女子美祭を通して、改めて「女子美生ってすごい!」と感じた点を教えてください。

M.I.さん 女子美生は基本にぎやかですが、お客さんに提供するものや美術の課題にはすごく真剣に取り組むんです。そういうギャップがすごくいいな、と改めて思いました。

M.W.さん 周りの友達は全員絵が上手、という環境はなかなかないと思います。だからこそ、このようなクオリティの高い女子美祭が生まれるのだと誇らしく思いました。

最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

M.I.さん 素晴らしい先生と設備に恵まれた女子美での生活は、美術が好きな人にとってはまさに楽園です。友達みんながよきライバルだからこそ、いいところを認め合う人間性も磨かれますよ。

M.W.さん 友達の作品に刺激を受けて、自分もどんどん成長できる環境だと思います。女子美には個性を認め合う文化があるので、元気な人もおっとりした人も、自分のペースで過ごせる学校です。女子美でお待ちしています!

編集後記

インタビューの後、M.I.さんは「お客さんの笑顔を見られてとても嬉しかったです」とも話してくれました。女子美祭は生徒たちにとっても“表現する喜び”を感じられる場となったようです。校風が体感でき、作品を通して授業内容も知ることができる来年の女子美祭に、ぜひ足を運んでみてください。

イベント名 日時
ミニ学校説明会
202416() 中学の部14:00~、高校の部16:00~ ※要予約
高等学校卒業制作展(於 東京都美術館)
2024229()35() 9:3017:30