学校生活の集大成!卒業制作に込めた生徒たちの熱い思い

女子美術大学付属高等学校・中学校
女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、高校3年生が3年間の学びの集大成として、毎年3月に卒業制作展を開催しています。今回は、2024年度卒業制作展で最優秀賞を受賞した3名の生徒に、女子美での学びを通して感じた自身の成長や、受賞作品に込めた思いについてお話をうかがいました。

大きな目標を胸に、表現へ挑む生徒たち

I.T.さん

プロフィール画像

・クラス:絵画コース梅組

M.F.さん

プロフィール画像

・クラス:デザインコース菊組

K.I.さん

プロフィール画像

・クラス:工芸・立体コース梅組

女子美での学びを通して、どのような成長を感じていますか。

I.T.さん 一枚の絵と長く向き合い続ける忍耐力が身についたと感じています。さまざまな角度から観察し、諦めずに考え続けることで、最終的に自分が納得できる作品を完成させることができました。

M.F.さん 各コースの先生方から経験にもとづいたアドバイスをたくさんいただき、知識や技術を吸収することができました。また、6年間所属したバレーボール部で、先輩・後輩・同級生との関わりを通して、美術以外の面でも大きく成長できたと感じています。

K.I.さん 絵を描くときは、立体の構造を理解し、見えていない部分まで意識して描くことが大切だと学びました。工芸・立体コースに進学してからは、生き物の骨格を考えるようになり、その経験が生きて、以前より絵が上達したと感じています。

クラスの友達の雰囲気について教えてください。

I.T.さん ほかの学校と比べて、女子美生は美術が好きという気持ちがとても強いと思います。みんなそれぞれ違った趣味や関心を持っていて、一緒にいてとても面白いです。

K.I.さん 女子美には、「個性を持っていて当たり前」という空気が当然のようにあります。一人ひとりが自分の考えを大切にしていて、多様性を自然に尊重し、受け入れていると感じます。

卒業制作で大切にしていたことは何ですか。

I.T.さん 制作の初めに描いたラフなスケッチでも、後半になると役立つことがあるので、練習で描いた絵も全てファイルに入れて残していました。また、行き詰まったら先生に相談し、作品づくりに生かせるアドバイスをもらっていました。

M.F.さん 最初に大きな目標を決めたことです。私は「最優秀賞を取る」という目標を立て、そこに向けて何をすべきかを考えながら、さらに小さな目標を設定しました。作業の進め方が自然と整理できたため、作品を最後まで完成させることができたと思います。

K.I.さん 私は、制作に入る前に指針を一つ決めることを大切にしています。今回は「大きくて迫力のある動物」を主軸に、さまざまな案を広げていきました。方針を決めておくとアイデアが出しやすくなり、途中で考えがぶれることなく、制作に向き合えたと思います。

作品づくりの原動力は、「自分が好きかどうか」

今回受賞した卒業制作について、どんな作品か教えてください。

I.T.さん 今回は、高校2・3年生で取り組んだ想定油彩の制作に挑戦しました。さまざまな質感を重ね、奇妙で没入感のある絵を描くことが好きなので、自分自身が描いていて楽しいと感じられる作品を目指しました。特に意識したのは、モチーフをあえてキャンバスの外にはみ出すように描いた点です。そうすることで、キャンバスの外側にも作品の世界が広がっているように表現しました。

M.F.さん 私は「祝う」をテーマに、卒業する自分自身へのお祝いとしてこの作品を制作しました。旅行先で食べた船盛の活け造りから着想を得て、おめでたい宝船をモチーフに選んでいます。宝船に乗せたモチーフは、これまでに自分が描いてきた植物や食べ物です。本物以上にみずみずしく見せるスーパーリアリズムの表現が好きなので、あざやかな色の絵の具を使い、その美しさを表現しました。

K.I.さん 小さいころから動物が大好きで、動物をモチーフにした大きな作品として、編み物をするゴリラを制作しました。ゴリラの不器用そうな姿と、一生懸命に編み物をする様子とのギャップを表現しています。バナナは毛糸で編んでゴリラに持たせ、編み棒や台座も含め、全て一から制作しました。

作品の中で、特にこだわったところはどこですか。

I.T.さん 今まで描いたことのない構図に挑戦したことと、絵肌の質感にこだわりました。例えば、手前に木のモチーフを配置することで、その陰に隠れた風景を想像させる効果をねらっています。木のざらざらとした質感は、ペインティングナイフで絵の具を重ね塗りして表現しました。油絵の具だけでなく、クレヨンやオイルパステルなども取り入れ、質感の描き分けを意識しています。

M.F.さん 彩度を高くすることで、実物以上にみずみずしく、おいしそうに見える表現を目指しました。よりリアルな絵を描くために、多くの作品を見て技法を研究したほか、実際にモチーフを買ってきて、じっくり観察しながら制作しました。

K.I.さん ゴリラを写実的に表現するため、実際に上野動物園を訪れ、骨格を何パターンも描き起こしながら特徴を観察しました。そのうえで、「筋肉質で野性的なゴリラ」と「編み物」という一見相反する要素の組み合わせを、作品の中でうまく表現できたと思います。

制作を進める中で、苦労したところはありますか。

I.T.さん 川の流れを油彩で表現するのが難しかったです。色や線が思うように描けなくなった際に、先生から旧中川水辺公園を紹介してもらい、実際に取材に行って、自分の目で川が流れている様子を研究しました。頭の中のイメージだけでは分からなかったことが明確になり、表現の幅を広げることができました。

M.F.さん 自宅制作期間中、キャンバスが大きすぎて自分の部屋に入らず、玄関で作業していました。寒さで指先が思うように動かず、制作を進めるのが大変でした。

女子美での学びが、今につながる――先輩から受験生へ

今後の目標を教えてください。

I.T.さん 大学では洋画専攻に進学し、絵画だけでなく、絵本制作や粘土を使った立体作品にも挑戦したいと考えています。

K.I.さん 木彫に興味があり、将来は職人として活躍したいです。大学では立体アート専攻に進学し、将来に生かせるよう技術を磨いていきたいと思います。

未来の女子美生へメッセージをお願いします。

M.F.さん 作品制作がつらく、大変に感じることもありますが、その分、女子美でしかできない経験や思い出をたくさん作ることができます。友達とアドバイスしあったり、休み時間に先生と話したりする日々は、とても充実していて楽しい時間です。

K.I.さん 自分の好きなことや夢が見つからず、焦っていた時期もありましたが、女子美で過ごす中で、時間をかけながら自分の興味をゆっくり見つけることができました。少しでも「気になる」と感じることがあれば、ぜひ挑戦してほしいです。

女子美⑤_04
2024年度受賞作品が一堂に展示されました

編集後記

卒業制作展では、長期間にわたる制作活動を最後までやり遂げた生徒たちの作品が、どれも誇らしく展示されました。作品一つひとつに添えられたタイトルからも、女子美生それぞれの豊かな感性が感じられます。
今年も東京都美術館で卒業制作展が開催されます。ぜひ会場に足を運び、女子美生が積み重ねてきた学びの集大成をご覧いただければと思います。どの作品が賞に選ばれるのか、今からとても楽しみです。

イベント名 日時 備考
高等学校卒業制作展 2026年3月1日(日)~3月6日(金) 9:30~17:30 予約不要
場所:東京都美術館ロビー館 第1・第2展示室
入試報告会 2026年3月21日(土) 中学の部①10:00~、②12:00~、高校の部14:00~ 要予約