偏差値では測れない“考える力”を評価!聖学院の「思考力入試」

聖学院中学校・高等学校
2013年度から「思考力入試」を開始した聖学院中学校・高等学校(以下、聖学院)。2026年度から入試日が変わり、多くの生徒がより良い条件で受験しやすくなったことから、昨年よりも受験者数が増加しました。同時に、思考力セミナーの人気も高まっています。今回は、2026年度の思考力入試を終えた先生3名に、思考力入試の狙いや作問の特徴、採点のポイントなどについてお話をうかがいます。

思考力入試に込めた聖学院の想い

井上渉先生

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・役職:進路指導部長
・担当教科:英語
・2026年度思考力入試の担当:グローバル思考力

本橋真紀子先生

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・担当教科:数学
・2026年度思考力入試の担当:デザイン思考力

早川太脩先生

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・役職:広報部長
・担当教科:理科
・2026年度思考力入試の担当:ものづくり思考力

「思考力入試」を導入した経緯について教えてください。

井上先生 思考力入試は、2科・4科の試験だけでは測りきれない能力を持つ受験生を「適切に評価したい」という想いから導入しました。実際に、小学生向けの「思考力セミナー」では、面白い考え方を持つ非認知能力が高い生徒を数多く見てきました。

本橋先生 2科・4科の点数を取れなくても、思考力の高さから中学生以降に成績が伸びる生徒は必ずいます。そのような生徒を見極める方法を模索した結果、思考力入試にたどり着きました。

思考力入試時の教室
思考力入試当日の教室

作問において、受験生のどのような力を引き出したいとお考えですか。

井上先生 グローバル思考力では、「異なるものと共にある」という状態をグローバルと定義しています。その中にある空気感や生きづらさを把握したうえで、「自身の関わり方を考える力」を引き出すことをテーマに作問しています。

本橋先生 デザイン思考力の問いは、身の回りにあるものを観察して、共通点や違いを見つけ分類するという内容です。あらゆる物事に対して興味関心を持ち、「なんでこうなるのだろう」という疑問や面白さを見つける力を引き出すために作問しています。
入試が一つの体験となり、「こういう考え方があるのか」「もっと調べてみよう」と、新たな興味関心につながればと考えています。

早川先生 ものづくり思考力では、今まで知らなかったことに対するリアクションの取り方を鍛える作問を心がけています。批判されやすい時代だからこそ、自分の考えを臆せずに表現する力も引き出したいと考えています。

思考力セミナーの様子
思考力セミナーの様子

評価しているのはここ!「特殊で難しい入試」ではない

“正解”や“模範解答”が存在しない思考力入試の、評価・採点ポイントについてもうかがいました。

思考力入試では、どのようなポイントを評価していますか。

井上先生 解答に至るまでのプロセスから、思考力を総合的に評価しています。公平性を担保するために1人の受験生に対して、複数の先生(今年度は5名)が時間をかけながら答案を採点しています。

本橋先生 問いに対して、自分の意見を自分の言葉で一生懸命に書いてある解答は、評価が高くなる傾向があります。それは、問いへの賛成意見でも反対意見でも構いません。

早川先生 問題によって多少変わりますが、「自らを客観視できているか」「多角的な視点で物事を考えられているか」という軸で評価しています。最終的な結論だけでなく、前の問いから次の問いへ思考がどう発展したのか、その過程も見ています。

過去の出題例を教えてください。

井上先生 「自らの選択によって誰かの反感を買ってしまった」「良かれと思って解決したことが誰かにとっては不利益なことだった」という日常に起こり得る場面で、「あなたは何に迷い、どのように考え行動しますか」という問いを出しました。

本橋先生 HBや2Bなどの種類が多い鉛筆に対して、「自分には必要だ」「自分には不必要だが、必要な人もいるかもしれない」という意見を書き、さらに「なぜこんなにたくさんの種類があるのか」を考える問いがありました。

早川先生 ランドセルの思い出から始まり、資料を読み取ったうえでランドセルの価値を考え、その価値をさらに大きくするためのサービスや新機能を提案するという一連の問いを出しました。そして、最後に「あなたのアイデアが実装された結果、どのようなクレームが来たか想像してください。また、クレームに対してどのように対応しますか。」という問いを投げかけます。最後の問いが最も重要なポイントです。

「思考力入試=特殊な才能が必要、難しい」という不安の声もありますが、どのようにお考えですか。

本橋先生 特殊な才能は必要ないと考えています。思考力入試は、高尚な解答を求めているわけではありません。私たちは、受験生一人ひとりの個性あふれる考え方や物事の捉え方を知りたいと思っています。

早川先生 小学生の頃は塾に通わず、思考力入試に合格した生徒もいます。

生徒たちの成長と、これから受験する皆さんへ

思考力入試で入学した生徒の特徴はありますか。

井上先生 私立大学や国立大学、海外の大学に満遍なく進学している印象です。その理由として、やりたいことや得意分野を早期に発見し、そこを伸ばしていく力があるのではないかと感じています。

本橋先生 面白い視点を持った子が多い印象です。特に高校GIC(Global Innovation Class)のプロジェクト発表では、アイデアの独創性や物事を見極める力の高さを感じます。

早川先生 行事などの実行委員を募る際に、立候補してくれる生徒が多いと感じます。さまざまなことに興味関心を持ちやすく、自ら動く力があります。

▼思考力入試出身の先輩たちも活躍中!
以下の記事に登場する原田さん(上段画像右)や2名の先輩(下段)も、思考力入試で入学し活躍しています。

次年度の思考力入試に向けて、家庭で意識しておきたいことがあれば教えてください。

井上先生 日常で感じたことを丁寧に言葉にする練習が大切です。例えば、お子さまが何かに対して「やばい」と発した際に、「具体的に、何をどのように感じたのか」と問いかけ、その答えを引き出してみてください。保護者の方が仮説を立てて「こういうこと?」と投げかけるのもおすすめです。

本橋先生 お子さまがニュースに対して「なんで」と疑問を持ったら、それを家庭内で「なぜ、このようなことが起こっているのか」「どのような意味があるのか」と一緒に考えていただきたいです。思考力入試の合格者の中には、「自分はこう考えた」という内容の日記を毎日書いていた受験生もいます。また、買い物の際にはスーパーの品揃えの傾向を共有したり、野菜を観察して形や色で分類したりするのもおすすめです。

早川先生 新たに得た知識をアウトプットする練習をしていただくと良いと思います。

小学4年生対象の思考力セミナーの様子
小学4年生を対象とした思考力セミナー

最後に、受験生や保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

井上先生 思考力入試は、完成された答えを持つ生徒を選ぶ試験ではありません。考え続ける姿勢があり、粘ることや変化を楽しめるお子さまには、ぜひ挑戦してほしいです。思考力セミナーに来ていただくことで、聖学院が大切にしていること、思考力入試の輪郭が見えてくるのではないかと思います。

本橋先生 聖学院の教育理念である「Only One for Others」は、思考力入試とマッチしていると思います。また、さまざまなことに対して「なぜ?どうして?」という疑問や興味関心を持てるお子さまは、思考力入試を楽しめるはずですので、ぜひ受験していただきたいです。

早川先生 思考力入試は、自分の中に答えがある入試です。内面を表現することを楽しめるお子さまは、自分らしく受験ができると思いますし、それを認められるのが聖学院の特徴でもあります。まずは、本校の学校説明会や思考力セミナーを受けていただけたら嬉しく思います。

編集後記

聖学院の思考力入試は、特別な才能や対策は必要なく、日常の中で生まれる「なぜ」を深掘りすることが大切です。“正解”が存在せず、ときには批判を受けることもある社会で自分らしく生きていくためには、思考力入試で求められる非認知能力も必要なのではないかと感じました。

イベント情報

イベント名 日時
ミニ学校説明会 2026年4月25日(土) 午後